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31.討伐の結果
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ヴォルテル様が付けてくれた侍従の人が、全員分のお茶を用意すると綺麗な一礼をして退室した。
「こんな時間まで待たせて悪かったね、ハルト」
「いえ、俺が勝手にここへ来ただけなので。むしろこのお部屋を貸してくださってありがとうございました」
あの侍従さんにいろいろとお世話になったこともお礼を伝えると、ヴォルテル様は笑顔で「彼に伝えておこう」と言ってくれた。
「実はまだ事後処理が終わっていなくて余り時間が取れないんだ。手短に話そう」
すまないね、と一言謝ったヴォルテル様に、とんでもないと首を振った。そしてヴォルテル様が今回の討伐について話をしてくれた。
まず変異種を一体討伐に成功したまではよかったが、犠牲になった騎士の数があまりにも多すぎた。その原因が、ユリウスさんの兄であるジヘルの暴走にあったと言うのだ。
変異種に攻撃を仕掛けるも、外皮も硬く魔法もなかなか効果がない。そして変異種の攻撃は凄まじく、かなり強いメンバーでの編成だったにもかかわらず、なかなか思い通りの戦闘が出来なかった。
日が一日、二日と経ち、なかなか討伐が出来ない状況にジヘルは焦りから苛立ちが目立つようになる。
人員は交代で一体の変異種と戦っているものの、変異種が強すぎて何も変わらない状況。騎士も負傷者が増え、それに焦れたジヘルはとうとう無理な行動に出ることになった。
自分の隊の騎士を数人巻き込んで特攻することにしたのだ。それに気がついた別の部隊の隊長が止めるも、ジヘルは聞く耳を持たず作戦を実行。
そして結果、ジヘル以外の騎士が死亡することになった。
だがその無理やりな特攻のお陰と言っていいのか、突破口が開けたのは事実で他の部隊も一斉攻撃を仕掛ける。すると負傷した騎士が多いながらもなんとか討伐に成功。
だが負傷者が多かったことと、呪いを受けた騎士も出てきたため、治療に数日専念することになった。
だがジヘルはそれが気に食わず、ランベルトさん達治療班に『いつまで時間をかけるつもりだ! さっさと治せ!』と声を荒げた。
しかも『お前達は弱すぎて話にならない! 今まで何をやっていた!』と討伐隊の騎士にも恫喝。そこに他部隊の隊長がジヘルの言葉に怒りを覚え、言い争いになったそうだ。
『ここまで犠牲者が出たのはお前の無謀な作戦のせいだ!』
『そんなもの、攻撃を避けられず死んだ奴が悪い!』
言い争いの結果、ジヘルは大声でそんなことを言い放ち、その言葉を聞いた騎士達の士気は下がる一方。治療に当てる予定の日数も早めに切り上げ、次の変異種の討伐を開始させようともした。
だがそこは流石に他の隊長達が止めたらしい。
そしてその後、二体目の変異種を討伐することは出来ず、これ以上犠牲は出せないと帰還することに。それを最後まで納得しなかったジヘルだったが、他部隊の隊長が全員帰還に賛成したため、本日王宮へと帰ってくることになった。
「酷いっ……! 全部人のせいにしてっ……」
「……我々も考えが甘かったようだ。ジヘルがそんな無謀な作戦を実行することを念頭に置くべきだった」
ジヘルが特攻を仕掛けた時、他の騎士を盾にするような動きをしたそうだ。そのせいで、特攻作戦に巻き込まれた騎士達は死亡することになった。
いくらユリウスさん以上の戦功が欲しかったとはいえ、人の命をなんだと思ってるんだ。ユリウスさんを超えられない自分の力量を弁えず、無謀な作戦を決行した挙句人のせいにする。
ユリウスさんとのこともあって、ジョストン伯爵家のことがますます嫌いになった。
「とりあえず、ジヘルは隊長の任を解きました。しばらくは監禁部屋に入れて事情聴取などをしますが……あの様子だと反省はしないでしょうね」
ジヘルは今回のことで隊長から外されたそうだ。当たり前だ。このまま騎士もクビになればいい。
だがジヘルは納得がいかず暴れたそうだ。そこでヴォルテル様直々に魔法封じの腕輪を着けることになった。それを外せるのはヴォルテル様だけだそう。
「これから早いうちに再度討伐隊を組み直し、変異種の討伐に出る必要がある。その時にはユリウスにも出てもらうつもりだ。そして私も」
今回の討伐で、変異種を刺激してしまったこと。そして割と人里に近い場所での発見だったため、早いうちに討伐する必要があるらしい。
それにユリウスさんとヴォルテル様が出る。それを聞いて心臓が嫌な音を立てる。
もしユリウスさんもヴォルテル様も変異種にやられたら……そう考えただけで勝手に体が震えてくる。
「ハルトさん、大丈夫ですか? 顔色がよくありませんね」
「ぁっ……は、い……大丈、夫です……」
「ハルト、俺もヴォルテルも心配いらない。俺達はこの国で一番強い二人だぞ」
「ユリウスさんっ……」
それは以前聞いたから知ってる。でも、それでも怖い。こんな怖い得体の知れない生き物がこの世界にいる。それにユリウスさんがやられるかも知れない。
きっとこの二人なら、ユリウスさんなら討伐して生きて帰ってきてくれるはずだ。そう思うようにしても、最悪な結果が頭の中をぐるぐると駆け回る。
「次回の討伐も私は参加予定です。その時は後衛での援護部隊として前線に出ます」
「そんなっ……ランベルトさんまでっ……」
「だから大丈夫なんですよ。私を誰だとお思いで? この国で一番の王宮魔術師ですよ。この私の魔法とユリウス殿に殿下の魔法。これが揃えば変異種なんて怖くありません」
今回のことを重く受け止めたヴォルテル様は、ランベルトさんの力も借りることにしたらしい。治療班では無く、討伐隊の一員として。
この三人と騎士団長も参加させる予定だそうだ。変異種を早急にかつ安全に討伐するつもりで、過剰戦力ともいえる人員を投入する。だから大丈夫なのだと。
「むしろ可哀想なのは変異種の方だろうな」
「こんなところに現れた自分の不運を呪うしかないでしょう」
ヴォルテル様とランベルトさんが不敵な笑みを浮かべている。それがまた様になっていてカッコイイと、そんな場合ではないのに思ってしまった。
「……ハルト。騎士団長も含めたこの人員は、本気で危険なんだ。主に敵側が」
ユリウスさん曰く、団長さんは穏やかに見えたが、戦闘においては実はかなりの脳筋で戦闘狂らしく、ヴォルテル様は危険な魔法を思いっきりブッパするのが大好きで、ランベルトさんは魔法で魔物をチクチクと死ぬか死なないかの瀬戸際を攻めていじめるのが気持ちいいのだそう……
だから今回の変異種の討伐は、全員の趣味嗜好を思いっきり出せる絶好の機会となる。そう言われて俺は唖然とした。
「今回の討伐で亡くなった騎士達の弔い合戦だ。手を抜くことなどしない。徹底的にやる」
「ええ。思いっきり痛めつけてやりましょう。ああ、考えただけでゾクゾクしますね」
「はぁ……だから言っただろう? 大丈夫だと」
ヴォルテル様もランベルトさんも悪い笑みを浮かべている。それを見て、その二人以外の面々は呆れ顔だ。
そういえばこの世界って魔力量が多いほど脳筋なんだっけ……
「はは……はははっ! そうですね。本当に大丈夫な気がしてきました」
こんな風にされたら笑うしかないじゃないか。これだけ強い人達が行くんだから大丈夫。気がつけば俺の体の震えは止まっていた。
「それに何かあってもハルトの治癒がある。そう思えるだけで、気持ちの面は随分と楽なんだ」
「いろいろな実験の結果でも証明されてますしね」
「はい! でしたらまた俺の血を好きなだけ取ってください! だから必ず皆さん生きて帰ってきてくださいね!」
皆が助かるなら俺の血なんかいくらでもくれてやる。死ぬ一歩手前までドンと来いだ!
「でしたら血以外の……そうですね、精液でもいいですか?」
「おい! 調子に乗るな!」
「……それはお断りいたします」
ユリウスさんに怒鳴られたのに、ランベルトさんは「やっぱりダメですか~。残念ですね。はっはっはっ」と笑っている。いきなり精液とか言われて俺は真っ赤になりながらも流石にお断りをした。
きっとランベルトさんは俺を元気づけるためにそんなことを言ったんだろう。自分の欲望は無しで。
…………ない、よな?
「こんな時間まで待たせて悪かったね、ハルト」
「いえ、俺が勝手にここへ来ただけなので。むしろこのお部屋を貸してくださってありがとうございました」
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まず変異種を一体討伐に成功したまではよかったが、犠牲になった騎士の数があまりにも多すぎた。その原因が、ユリウスさんの兄であるジヘルの暴走にあったと言うのだ。
変異種に攻撃を仕掛けるも、外皮も硬く魔法もなかなか効果がない。そして変異種の攻撃は凄まじく、かなり強いメンバーでの編成だったにもかかわらず、なかなか思い通りの戦闘が出来なかった。
日が一日、二日と経ち、なかなか討伐が出来ない状況にジヘルは焦りから苛立ちが目立つようになる。
人員は交代で一体の変異種と戦っているものの、変異種が強すぎて何も変わらない状況。騎士も負傷者が増え、それに焦れたジヘルはとうとう無理な行動に出ることになった。
自分の隊の騎士を数人巻き込んで特攻することにしたのだ。それに気がついた別の部隊の隊長が止めるも、ジヘルは聞く耳を持たず作戦を実行。
そして結果、ジヘル以外の騎士が死亡することになった。
だがその無理やりな特攻のお陰と言っていいのか、突破口が開けたのは事実で他の部隊も一斉攻撃を仕掛ける。すると負傷した騎士が多いながらもなんとか討伐に成功。
だが負傷者が多かったことと、呪いを受けた騎士も出てきたため、治療に数日専念することになった。
だがジヘルはそれが気に食わず、ランベルトさん達治療班に『いつまで時間をかけるつもりだ! さっさと治せ!』と声を荒げた。
しかも『お前達は弱すぎて話にならない! 今まで何をやっていた!』と討伐隊の騎士にも恫喝。そこに他部隊の隊長がジヘルの言葉に怒りを覚え、言い争いになったそうだ。
『ここまで犠牲者が出たのはお前の無謀な作戦のせいだ!』
『そんなもの、攻撃を避けられず死んだ奴が悪い!』
言い争いの結果、ジヘルは大声でそんなことを言い放ち、その言葉を聞いた騎士達の士気は下がる一方。治療に当てる予定の日数も早めに切り上げ、次の変異種の討伐を開始させようともした。
だがそこは流石に他の隊長達が止めたらしい。
そしてその後、二体目の変異種を討伐することは出来ず、これ以上犠牲は出せないと帰還することに。それを最後まで納得しなかったジヘルだったが、他部隊の隊長が全員帰還に賛成したため、本日王宮へと帰ってくることになった。
「酷いっ……! 全部人のせいにしてっ……」
「……我々も考えが甘かったようだ。ジヘルがそんな無謀な作戦を実行することを念頭に置くべきだった」
ジヘルが特攻を仕掛けた時、他の騎士を盾にするような動きをしたそうだ。そのせいで、特攻作戦に巻き込まれた騎士達は死亡することになった。
いくらユリウスさん以上の戦功が欲しかったとはいえ、人の命をなんだと思ってるんだ。ユリウスさんを超えられない自分の力量を弁えず、無謀な作戦を決行した挙句人のせいにする。
ユリウスさんとのこともあって、ジョストン伯爵家のことがますます嫌いになった。
「とりあえず、ジヘルは隊長の任を解きました。しばらくは監禁部屋に入れて事情聴取などをしますが……あの様子だと反省はしないでしょうね」
ジヘルは今回のことで隊長から外されたそうだ。当たり前だ。このまま騎士もクビになればいい。
だがジヘルは納得がいかず暴れたそうだ。そこでヴォルテル様直々に魔法封じの腕輪を着けることになった。それを外せるのはヴォルテル様だけだそう。
「これから早いうちに再度討伐隊を組み直し、変異種の討伐に出る必要がある。その時にはユリウスにも出てもらうつもりだ。そして私も」
今回の討伐で、変異種を刺激してしまったこと。そして割と人里に近い場所での発見だったため、早いうちに討伐する必要があるらしい。
それにユリウスさんとヴォルテル様が出る。それを聞いて心臓が嫌な音を立てる。
もしユリウスさんもヴォルテル様も変異種にやられたら……そう考えただけで勝手に体が震えてくる。
「ハルトさん、大丈夫ですか? 顔色がよくありませんね」
「ぁっ……は、い……大丈、夫です……」
「ハルト、俺もヴォルテルも心配いらない。俺達はこの国で一番強い二人だぞ」
「ユリウスさんっ……」
それは以前聞いたから知ってる。でも、それでも怖い。こんな怖い得体の知れない生き物がこの世界にいる。それにユリウスさんがやられるかも知れない。
きっとこの二人なら、ユリウスさんなら討伐して生きて帰ってきてくれるはずだ。そう思うようにしても、最悪な結果が頭の中をぐるぐると駆け回る。
「次回の討伐も私は参加予定です。その時は後衛での援護部隊として前線に出ます」
「そんなっ……ランベルトさんまでっ……」
「だから大丈夫なんですよ。私を誰だとお思いで? この国で一番の王宮魔術師ですよ。この私の魔法とユリウス殿に殿下の魔法。これが揃えば変異種なんて怖くありません」
今回のことを重く受け止めたヴォルテル様は、ランベルトさんの力も借りることにしたらしい。治療班では無く、討伐隊の一員として。
この三人と騎士団長も参加させる予定だそうだ。変異種を早急にかつ安全に討伐するつもりで、過剰戦力ともいえる人員を投入する。だから大丈夫なのだと。
「むしろ可哀想なのは変異種の方だろうな」
「こんなところに現れた自分の不運を呪うしかないでしょう」
ヴォルテル様とランベルトさんが不敵な笑みを浮かべている。それがまた様になっていてカッコイイと、そんな場合ではないのに思ってしまった。
「……ハルト。騎士団長も含めたこの人員は、本気で危険なんだ。主に敵側が」
ユリウスさん曰く、団長さんは穏やかに見えたが、戦闘においては実はかなりの脳筋で戦闘狂らしく、ヴォルテル様は危険な魔法を思いっきりブッパするのが大好きで、ランベルトさんは魔法で魔物をチクチクと死ぬか死なないかの瀬戸際を攻めていじめるのが気持ちいいのだそう……
だから今回の変異種の討伐は、全員の趣味嗜好を思いっきり出せる絶好の機会となる。そう言われて俺は唖然とした。
「今回の討伐で亡くなった騎士達の弔い合戦だ。手を抜くことなどしない。徹底的にやる」
「ええ。思いっきり痛めつけてやりましょう。ああ、考えただけでゾクゾクしますね」
「はぁ……だから言っただろう? 大丈夫だと」
ヴォルテル様もランベルトさんも悪い笑みを浮かべている。それを見て、その二人以外の面々は呆れ顔だ。
そういえばこの世界って魔力量が多いほど脳筋なんだっけ……
「はは……はははっ! そうですね。本当に大丈夫な気がしてきました」
こんな風にされたら笑うしかないじゃないか。これだけ強い人達が行くんだから大丈夫。気がつけば俺の体の震えは止まっていた。
「それに何かあってもハルトの治癒がある。そう思えるだけで、気持ちの面は随分と楽なんだ」
「いろいろな実験の結果でも証明されてますしね」
「はい! でしたらまた俺の血を好きなだけ取ってください! だから必ず皆さん生きて帰ってきてくださいね!」
皆が助かるなら俺の血なんかいくらでもくれてやる。死ぬ一歩手前までドンと来いだ!
「でしたら血以外の……そうですね、精液でもいいですか?」
「おい! 調子に乗るな!」
「……それはお断りいたします」
ユリウスさんに怒鳴られたのに、ランベルトさんは「やっぱりダメですか~。残念ですね。はっはっはっ」と笑っている。いきなり精液とか言われて俺は真っ赤になりながらも流石にお断りをした。
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