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30.変異種現る
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それからたったの三日後。俺はまたランベルトさんに呼ばれて王宮へとやってきた。いつもはユリウスさんに送り届けられるとここで別れるのに、今日は部屋の中まで付いてきた。
おまけに今日連れてこられたのはランベルトさんの執務室では無く、ヴォルテル様の執務室。中にはヴォルテル様だけじゃなく、久しぶりに見るロキュスさんとルーカスさんの姿もあった。
「ハルト、久しぶりだな。元気そうで何よりだ」
「はい。皆さんもお変わりないようで」
ソファーに案内され、そこに座るとすぐにお茶が出される。全員座ると同時にヴォルテル様が口を開いた。
「つい先日ハルトの血液を採取したそうだが、また改めて採取させて欲しいのだ。……それも出来れば前回よりも多めに」
「何かあったんですか?」
「……変異種を複数体確認した」
「変異種……?」
変異種って確か、以前ユリウスさんが怪我と呪いを受けたのもこの変異種だったよな。
一体だけでもかなり手こずるような相手らしく、しかも今回はそれが複数体目撃されているとのこと。当然そのままにはしておけないので騎士団が討伐に向かうそうだ。
だがおそらくユリウスさんのように呪いを受ける可能性が高いと考えていて、しかも今の所それを治せるのは俺の体液しかない。
そこで呪いを受けた騎士の治療用に、俺の血液をストックしておきたいとのことだった。
「協力してもらえるだろうか」
「もちろんです! むしろそれくらいしか貢献出来ず申し訳ないです」
「いや、十分だ。ハルトがいなければ解決出来ないことだからな。本当に感謝する」
それから俺の血液をまた改めて採取することに。今回は注射器三本分だった。薄めて使うからこれで十分だそうだ。
「じゃあユリウスさんもその討伐に行くんですか?」
「……いや、俺は出る予定はない」
若干眉間に皺が寄ったユリウスさん。何かあったんだろうか。俺の疑問を感じ取ったのか、ヴォルテル様が理由を話してくれた。
「今回はジヘル・ジョストン隊長の熱い希望で、ジョストン隊を中心に討伐に向かうことになったんだ」
ジヘル・ジョストンってユリウスさんのお兄さんだ。その人が自ら志願して討伐に向かうが、その時にユリウスさんの出動を禁じたらしい。
その理由が「以前ヘマをして呪いを受けたユリウスでは足手纏いだ。自分ならばそんなことにならず、全て討伐出来る」と言い放ったらしい。
「え!? 個人的にそんなこと出来るんですか!?」
絶対ユリウスさんに美味しいところを持っていかれたくなくて言ったことだろう。仕事なのに私情を挟みまくりで驚いた。
「……本来なら余り推奨はされないな。だがいい加減ユリウスとの力量さを思い知るべきかと思い許可した」
だけど当然それに巻き込まれる他の騎士はたまったもんじゃない。普通の討伐ですら死と隣り合わせの状況なのに、今回はさらに危険な変異種。
そこで何かあっても対応出来るよう、今回俺に要請が来たということみたいだ。そして今回の討伐には治療班としてランベルトさんも同行するらしい。
ランベルトさんならもし魔物に襲われても魔法で対処出来るし、俺の血液を使った治療も問題ない。
出発は一週間後だそうだ。
「ランベルトさん、無事に帰ってきてくださいね」
「もちろんです。ありがとうございます、ハルトさん」
ユリウスさんのお兄さんの部隊以外にも、個々の力量が高いベテラン隊も同行するらしく、心配はないと言われた。
だけど変異種の討伐なんて普段と違って何が起こるかわからない。だから俺の血液を採取したんだろうし……
心配だが無事に帰ってくることを祈るしかない。
そして一週間後、ランベルトさん含む討伐部隊が出動した。帰還は一ヶ月後を想定している。
「ランベルトさん達、大丈夫でしょうか……」
「心配ない。あのランベルトなら大丈夫だ」
ランベルトさんのことはもちろん心配だが、討伐部隊の騎士達も心配だ。もし何かあっても俺の血液が役に立って、死者が出ないことを祈るのみだ。
それから俺はいつも通り家政夫業に勤しんだ。ランベルトさんが王宮に不在なので、呼ばれることもない。
ただ早く帰ってきてほしくて、ユリウスさんに何か情報が入っていないのかを毎日確認していた。
流石に出発してからの数日は何も報告がなかったようだけど、一週間くらい経つとポツポツと報告が上がってきた。
ユリウスさんが毎日のように教えてくれた情報によると、出発してから五日目に変異種を確認。その数三体。固まっての行動ではないらしく、一体ずつ討伐することになった。
翌日から討伐開始するものの、やはり手強いようでなかなか討伐に至らない。
怪我人も多く出たらしく、救護班はてんてこ舞い。呪いの付与はまだないものの、それも時間の問題だと思われていた。
そしてついに呪いが付与された騎士が現れた。ランベルトさん達の治癒も虚しく、やはりなかなか解呪に至らない。そこで俺の血液を使った薬を与えたところ、全回復したそうだ。
だが結局討伐出来たのは一体のみ。任務中に即死した騎士が全体の三分の一。これ以上は無理だと撤退することになった。
その騎士達が明日、王宮へと到着予定らしい。多くの遺体を抱えての帰還となる。
「……そんなっ……俺がもっと血をあげていたらっ……!」
「それは違う。即死だったんだ。いくらハルトの血液が万能だとしても、即死の者に与えても意味はない。それに俺達騎士はいつ死んでもおかしくない。それを覚悟の上でこの仕事に就いている」
わかってる。ユリウスさんの言ってることは理解している。
直接俺の知り合いでもないが、ユリウスさんの職場の人がたくさん亡くなったと聞いて俺は不甲斐ないと思ってしまった。
もし俺が魔法を使えていたら、助かる命も多かったかもしれない。そんな風に出来もしないことを考えて、一人で勝手に落ち込んだ。
そして翌日、ユリウスさんにお願いして俺も王宮へ連れて行ってもらうことにした。もしかしたらランベルトさんに会えるかもしれない。
会えないかもしれないが、一目だけでもいいから無事な姿を確認したかった。
ヴォルテル様の計らいで俺に客室を貸してくれることになった。そこでしばらくお茶を飲みながら待っていて欲しいと言われたのだ。
俺は一人でうろうろと出来ないのでありがたく使わせてもらうことにした。
部屋にはヴォルテル様の信頼のおける侍従を付けてくれた。本を持ってきてくれたり、食事を運んでもらったりと俺のことをいろいろと気遣ってくれた。
ユリウスさんも休憩時間に顔を出してくれ、その時に討伐部隊が到着したことを教えてくれた。ランベルトさんが無事なことも。
それを聞いてホッとしたものの、やはりあの優しい顔を見ないと本当の意味で安心出来ない。そのまま客室で過ごし、時間はもう夕方も終わる頃。突然部屋の扉がノックされた。
「ランベルトです。入室してもよろしいですか?」
「ランベルトさん!?」
久しぶりに聞く声に、俺は急いで駆けつけ勢いよく扉を開けた。そこにはちょっと驚いた顔のランベルトさんが立っていて、俺の顔を見た瞬間ふにゃりと笑ってくれた。
少し痩せたのか頬がこけているように見えるが、手も足もちゃんとあって無事なことが確認出来た。
無事だと聞いていたのに、ランベルトさんの顔を見たら本当の意味で安心して、自然と涙がボロボロとこぼれ落ちてきた。
「ハルトさんっ……!? 私は無事ですから大丈夫ですよ! な、中に入りましょう!」
俺がいきなり泣き出してビックリしたランベルトさんに背中を押されて部屋に戻された。そのままソファーに連れて行ってもらい、ランベルトさんに促され腰掛ける。
その時に初めてランベルトさんだけじゃなく、ヴォルテル様にロキュスさんとルーカスさん、そしてユリウスさんもいたことがわかった。
「まさか泣かれるとは思いませんでした。ご心配をおかけいたしましたが、私はこうして無事ですのでご安心を」
「はいっ……本当に、よかったです」
皆の反応は笑っていたり呆れていたり。でもこうして無事な姿を見れてよかった。
* * * * * * * *
拙作をお読みいただきありがとうございます!
とてもとてもありがたいことに、お気に入り登録数が1000を超えました!本当にありがとうございますm(_ _)m
本来は別視点の話を投稿するつもりはなかったのですが、嬉しかったのでユリウス視点の番外編を2話、夜9時に公開します。
ハルトが異世界転移してユリウスと初めて会った時の話です。
よければこちらもぜひお読みいただけると嬉しいです。
いつも、『いいね』や感想などいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!
おまけに今日連れてこられたのはランベルトさんの執務室では無く、ヴォルテル様の執務室。中にはヴォルテル様だけじゃなく、久しぶりに見るロキュスさんとルーカスさんの姿もあった。
「ハルト、久しぶりだな。元気そうで何よりだ」
「はい。皆さんもお変わりないようで」
ソファーに案内され、そこに座るとすぐにお茶が出される。全員座ると同時にヴォルテル様が口を開いた。
「つい先日ハルトの血液を採取したそうだが、また改めて採取させて欲しいのだ。……それも出来れば前回よりも多めに」
「何かあったんですか?」
「……変異種を複数体確認した」
「変異種……?」
変異種って確か、以前ユリウスさんが怪我と呪いを受けたのもこの変異種だったよな。
一体だけでもかなり手こずるような相手らしく、しかも今回はそれが複数体目撃されているとのこと。当然そのままにはしておけないので騎士団が討伐に向かうそうだ。
だがおそらくユリウスさんのように呪いを受ける可能性が高いと考えていて、しかも今の所それを治せるのは俺の体液しかない。
そこで呪いを受けた騎士の治療用に、俺の血液をストックしておきたいとのことだった。
「協力してもらえるだろうか」
「もちろんです! むしろそれくらいしか貢献出来ず申し訳ないです」
「いや、十分だ。ハルトがいなければ解決出来ないことだからな。本当に感謝する」
それから俺の血液をまた改めて採取することに。今回は注射器三本分だった。薄めて使うからこれで十分だそうだ。
「じゃあユリウスさんもその討伐に行くんですか?」
「……いや、俺は出る予定はない」
若干眉間に皺が寄ったユリウスさん。何かあったんだろうか。俺の疑問を感じ取ったのか、ヴォルテル様が理由を話してくれた。
「今回はジヘル・ジョストン隊長の熱い希望で、ジョストン隊を中心に討伐に向かうことになったんだ」
ジヘル・ジョストンってユリウスさんのお兄さんだ。その人が自ら志願して討伐に向かうが、その時にユリウスさんの出動を禁じたらしい。
その理由が「以前ヘマをして呪いを受けたユリウスでは足手纏いだ。自分ならばそんなことにならず、全て討伐出来る」と言い放ったらしい。
「え!? 個人的にそんなこと出来るんですか!?」
絶対ユリウスさんに美味しいところを持っていかれたくなくて言ったことだろう。仕事なのに私情を挟みまくりで驚いた。
「……本来なら余り推奨はされないな。だがいい加減ユリウスとの力量さを思い知るべきかと思い許可した」
だけど当然それに巻き込まれる他の騎士はたまったもんじゃない。普通の討伐ですら死と隣り合わせの状況なのに、今回はさらに危険な変異種。
そこで何かあっても対応出来るよう、今回俺に要請が来たということみたいだ。そして今回の討伐には治療班としてランベルトさんも同行するらしい。
ランベルトさんならもし魔物に襲われても魔法で対処出来るし、俺の血液を使った治療も問題ない。
出発は一週間後だそうだ。
「ランベルトさん、無事に帰ってきてくださいね」
「もちろんです。ありがとうございます、ハルトさん」
ユリウスさんのお兄さんの部隊以外にも、個々の力量が高いベテラン隊も同行するらしく、心配はないと言われた。
だけど変異種の討伐なんて普段と違って何が起こるかわからない。だから俺の血液を採取したんだろうし……
心配だが無事に帰ってくることを祈るしかない。
そして一週間後、ランベルトさん含む討伐部隊が出動した。帰還は一ヶ月後を想定している。
「ランベルトさん達、大丈夫でしょうか……」
「心配ない。あのランベルトなら大丈夫だ」
ランベルトさんのことはもちろん心配だが、討伐部隊の騎士達も心配だ。もし何かあっても俺の血液が役に立って、死者が出ないことを祈るのみだ。
それから俺はいつも通り家政夫業に勤しんだ。ランベルトさんが王宮に不在なので、呼ばれることもない。
ただ早く帰ってきてほしくて、ユリウスさんに何か情報が入っていないのかを毎日確認していた。
流石に出発してからの数日は何も報告がなかったようだけど、一週間くらい経つとポツポツと報告が上がってきた。
ユリウスさんが毎日のように教えてくれた情報によると、出発してから五日目に変異種を確認。その数三体。固まっての行動ではないらしく、一体ずつ討伐することになった。
翌日から討伐開始するものの、やはり手強いようでなかなか討伐に至らない。
怪我人も多く出たらしく、救護班はてんてこ舞い。呪いの付与はまだないものの、それも時間の問題だと思われていた。
そしてついに呪いが付与された騎士が現れた。ランベルトさん達の治癒も虚しく、やはりなかなか解呪に至らない。そこで俺の血液を使った薬を与えたところ、全回復したそうだ。
だが結局討伐出来たのは一体のみ。任務中に即死した騎士が全体の三分の一。これ以上は無理だと撤退することになった。
その騎士達が明日、王宮へと到着予定らしい。多くの遺体を抱えての帰還となる。
「……そんなっ……俺がもっと血をあげていたらっ……!」
「それは違う。即死だったんだ。いくらハルトの血液が万能だとしても、即死の者に与えても意味はない。それに俺達騎士はいつ死んでもおかしくない。それを覚悟の上でこの仕事に就いている」
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会えないかもしれないが、一目だけでもいいから無事な姿を確認したかった。
ヴォルテル様の計らいで俺に客室を貸してくれることになった。そこでしばらくお茶を飲みながら待っていて欲しいと言われたのだ。
俺は一人でうろうろと出来ないのでありがたく使わせてもらうことにした。
部屋にはヴォルテル様の信頼のおける侍従を付けてくれた。本を持ってきてくれたり、食事を運んでもらったりと俺のことをいろいろと気遣ってくれた。
ユリウスさんも休憩時間に顔を出してくれ、その時に討伐部隊が到着したことを教えてくれた。ランベルトさんが無事なことも。
それを聞いてホッとしたものの、やはりあの優しい顔を見ないと本当の意味で安心出来ない。そのまま客室で過ごし、時間はもう夕方も終わる頃。突然部屋の扉がノックされた。
「ランベルトです。入室してもよろしいですか?」
「ランベルトさん!?」
久しぶりに聞く声に、俺は急いで駆けつけ勢いよく扉を開けた。そこにはちょっと驚いた顔のランベルトさんが立っていて、俺の顔を見た瞬間ふにゃりと笑ってくれた。
少し痩せたのか頬がこけているように見えるが、手も足もちゃんとあって無事なことが確認出来た。
無事だと聞いていたのに、ランベルトさんの顔を見たら本当の意味で安心して、自然と涙がボロボロとこぼれ落ちてきた。
「ハルトさんっ……!? 私は無事ですから大丈夫ですよ! な、中に入りましょう!」
俺がいきなり泣き出してビックリしたランベルトさんに背中を押されて部屋に戻された。そのままソファーに連れて行ってもらい、ランベルトさんに促され腰掛ける。
その時に初めてランベルトさんだけじゃなく、ヴォルテル様にロキュスさんとルーカスさん、そしてユリウスさんもいたことがわかった。
「まさか泣かれるとは思いませんでした。ご心配をおかけいたしましたが、私はこうして無事ですのでご安心を」
「はいっ……本当に、よかったです」
皆の反応は笑っていたり呆れていたり。でもこうして無事な姿を見れてよかった。
* * * * * * * *
拙作をお読みいただきありがとうございます!
とてもとてもありがたいことに、お気に入り登録数が1000を超えました!本当にありがとうございますm(_ _)m
本来は別視点の話を投稿するつもりはなかったのですが、嬉しかったのでユリウス視点の番外編を2話、夜9時に公開します。
ハルトが異世界転移してユリウスと初めて会った時の話です。
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