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22.ハンバーグが広まっていた
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それから日々が過ぎ、ユリウスさんの治療として設けられた一ヵ月が終了した。今後の予定の最終確認のため、ヴォルテル様の執務室へお邪魔することになった。
この一か月の間に、俺はこの世界での生活にだいぶ慣れたと思う。家政夫業も順調で、ランベルトさんのお陰で魔道具を使うことも出来るようになって、一人でやれることが格段に増えたことも要因の一つだと思う。
ユリウスさんとの生活も特に問題はないし、いつも「美味しい」とか「ありがとう」と言ってくれるし、とてもやりがいがあって毎日が充実している。
「さて、予定の一ヵ月が経過した。ユリウスは明日から騎士団復帰で大丈夫だな?」
「ああ、問題ない。むしろ体が鈍りそうでもっと早くてもよかったくらいだ」
ユリウスさんは綺麗になった庭で、よく素振りや筋トレなんかをやっていた。家でじっとしていると筋肉も衰えるし復帰した時に大変なんだそうだ。
俺も手が空いた時に少しだけ一緒にやらせてもらったけど、早くもバテてしまって笑われた。運動なんて高校生くらいまでしかやっていなかったし、自分の体力の低下に愕然とした。
「では予定通りそのように進めておく。となると、ユリウスが勤務中はハルトの護衛がいなくなってしまう。それでこれを受け取って欲しい」
ヴォルテル様に渡されたのは、真珠のような小さな白い石が付いたイヤーカフだった。
「それは一度だけ『攻撃無効』の術式が付与されたイヤーカフだ。肌身離さず身に着けておくように」
「あ、ありがとうございます」
そう言われて大人しく耳に着ける。こんな小さなものが一度だけとはいえ攻撃を無効化するとか凄いな。
俺は聖人だと公表していないから狙われる危険は低い。だけど日本よりも治安は悪いらしく、何かあってはいけないということらしい。それにただの世話係に王宮から護衛が付くとそれはそれで不自然だ。だからこその魔道具とのこと。
あと俺は一人で街に行くことは禁止されてしまった。どこかへ行く時は必ずユリウスさんか、もしくは他の護衛と一緒の時だ。そのため食材などは家に届けてもらうことになった。
ヴォルテル様の信用出来る人が責任を持って届けてくれるとのこと。事前に何が欲しいとか言えば持って来てくれるそうだ。便利で有難い反面、市場で自由に買い物が出来ないのはちょっと寂しい。まぁ守られる立場となった以上、仕方ないのだけど。宅配を頼んだと考えればいいか。
「そのイヤーカフは一度しか効かない。攻撃を防いだ時はそれなりに大きな音がするはずだから気が付くだろう。もしそうなった場合は必ず報告をしてほしい」
「わかりました」
このイヤーカフの出番がないことを祈ろう。面倒事に巻き込まれるのはごめんだ。俺は普通に生きていければいいんだから。
「では今からハルトの血液を少し採取させてもらえるか?」
明日からの確認をいろいろと済ませると、ヴォルテル様にそう言われた。どうやら俺の体液がどれほどの力を持っているのか調べるそうだ。
血液を薄めた場合と、直接塗ったり飲んだりした場合とどれくらい差が出るのか。薄めた時も、どれくらい薄めるとどれくらいの効果になるのか。そういったことを事前に把握するんだそう。
「本当は血液以外も欲しいのだが、ハルトが嫌だった場合は止めておく」
血液以外、というと汗とか涙とかだよな。あ、精液もあったわ。っていうかユリウスさんは精液飲んで完全復活したんだっけ。
汗とか涙はまだいいけど、精液は流石に遠慮したい。恥ずかしすぎて無理。強制しないと言ってくれて助かった……
ランベルトさんが持ってきた小さな瓶に、俺の血液を垂らしていく。指先を少し切って血を垂らすけど、治癒能力によって傷はすぐに塞がってしまう。何度か同じことを繰り返して血を溜めた。
ランベルトさんはしっかりと蓋をすると「大切に使わせていただきます」と頭を下げた。この実験に関してランベルトさんが主導で行うそうだ。
あと患者の用意も必要だが、その時は治療に関して魔法契約を交わすとのこと。その契約を交わすと、なんとこの治療に関してのことは全て記憶から消去されるそうだ。記憶にはないが治療出来た、と患者は思うらしい。魔法って凄いな。
血液以外の体液、汗や涙はまた後日採取することになった。とりあえずは今日採った血液から実験を始めるらしい。
その後少しだけ雑談すると昼食の時間となった。俺とユリウスさんはお暇しようと思ったのだが、そこにヴォルテル様が待ったをかけた。
「今日はここの食堂で食べていくといい」
そうにこにこと話すヴォルテル様から引き継ぎ、ランベルトさんが同行してくれることになった。ヴォルテル様の執務室を出て、三人で以前も行った食堂へと向かう。
食堂へ到着すると、以前同様たくさんの人で賑わっていた。開いている席に向かっている途中、既に食事をしていた人の皿を見るとなんとそこにはハンバーグらしき料理があった。
「え!?」
「ふふ。気が付きましたか」
くすくすと笑うランベルトさんが席を確保したので、そこにユリウスさんと共に座る。ランベルトさんが手を上げると、給仕の人が人数を確認してすぐに何処かへと消えた。
そしてしばらく待っていると料理が運ばれてきたのだが、やっぱりまじまじと見てもハンバーグにしか見えない。
「ここでもハルトさんのハンバーグが提供されるようになったんです。しかも凄く人気で今はハンバーグだけは毎食出てくるんですよ」
ヴォルテル様に渡したレシピを元に、王宮の料理人の人が作ってみたそうだ。すると皆ハンバーグを気に入ったらしく、食堂でも出してみたところ大ヒット。毎日食べたいという声に応えて二週間は毎食ハンバーグが出ることに決まったそうだ。二週間も出されて飽きないのかと思うが、ここの人達は珍しさもあってまだ続けて欲しいと言っているらしい。
「料理人が、肉を調理する時に出る切れ端も無駄なく使えるとのことで喜んでいましたよ。しかも使う肉によってどう変わるのかといろいろ研究しているそうです」
「凄いですね。じゃあミートボールとかも出来そう」
「なんですか、それは?」
「ハンバーグとほぼ同じなんですが、これくらい小さく丸めて焼いたり揚げたりするんです。それをソースに絡めたり、あ、あとは茹でてスープに入れたりも出来ます」
「なんと!? いろいろと応用出来るのですか! それはいいことを聞きました。早速伝えておきます」
フードプロセッサーで食材を簡単に細かく出来るので、それでポタージュが作れたりディップソースが作れたりすることも伝えた。それもランベルトさんは嬉々として聞いていて、料理人に伝えてくれるとのこと。
あとは研究熱心な料理人の人達が素晴らしい料理へと昇華してくれるだろう。ここの料理がまた変わっていって、利用する人たちが楽しんでくれたら嬉しい。
俺も王宮の料理人が作ったハンバーグを一口口に放り込む。するとじゅわりと肉汁が溢れ凄く美味しかった。ソースは少し酸味があり、何の味かはわからないが美味しい。この世界のソースで味付けされたハンバーグも格別だった。
周りからは「ハンバーグが美味しい」という声が聞こえた。俺が発明したわけじゃないけど、こうやって皆が喜んでいる姿を見ているとあの時頑張ってよかったと思った。
「ここのハンバーグももちろん美味いが、俺はハルトが作ったハンバーグの方が好きだな」
「ユリウスさん……ありがとうございます。嬉しいです」
うわぁ……お世辞かもしれないけど、ユリウスさんにそう言ってもらえて本当に嬉しい。にまにまが止まらない。
ここのハンバーグはプロが作っただけあって本当に美味しいと思った。なのにユリウスさんは俺の方がいいって言ってくれた。その言葉がどれほど嬉しいかなんて、きっとユリウスさんにはわからないだろう。
これからももっとユリウスさんが喜んでもらえるように家政夫の仕事を頑張ろう。明日からユリウスさんは仕事に戻る。きっと疲れて帰って来るに違いない。その時に少しでも疲れが癒えるようにしないと。
「ハルトさん、あなたの何気ない知識がこうして広まって世界は変わっていくんです。やはりあなたは平凡な方ではありませんよ。少なくともこの世界ではね」
「ランベルトさん、ありがとうございます」
何気ない小さなことも、この世界じゃ大きなことだったりする。それがいいことなら俺も嬉しい。
この一か月の間に、俺はこの世界での生活にだいぶ慣れたと思う。家政夫業も順調で、ランベルトさんのお陰で魔道具を使うことも出来るようになって、一人でやれることが格段に増えたことも要因の一つだと思う。
ユリウスさんとの生活も特に問題はないし、いつも「美味しい」とか「ありがとう」と言ってくれるし、とてもやりがいがあって毎日が充実している。
「さて、予定の一ヵ月が経過した。ユリウスは明日から騎士団復帰で大丈夫だな?」
「ああ、問題ない。むしろ体が鈍りそうでもっと早くてもよかったくらいだ」
ユリウスさんは綺麗になった庭で、よく素振りや筋トレなんかをやっていた。家でじっとしていると筋肉も衰えるし復帰した時に大変なんだそうだ。
俺も手が空いた時に少しだけ一緒にやらせてもらったけど、早くもバテてしまって笑われた。運動なんて高校生くらいまでしかやっていなかったし、自分の体力の低下に愕然とした。
「では予定通りそのように進めておく。となると、ユリウスが勤務中はハルトの護衛がいなくなってしまう。それでこれを受け取って欲しい」
ヴォルテル様に渡されたのは、真珠のような小さな白い石が付いたイヤーカフだった。
「それは一度だけ『攻撃無効』の術式が付与されたイヤーカフだ。肌身離さず身に着けておくように」
「あ、ありがとうございます」
そう言われて大人しく耳に着ける。こんな小さなものが一度だけとはいえ攻撃を無効化するとか凄いな。
俺は聖人だと公表していないから狙われる危険は低い。だけど日本よりも治安は悪いらしく、何かあってはいけないということらしい。それにただの世話係に王宮から護衛が付くとそれはそれで不自然だ。だからこその魔道具とのこと。
あと俺は一人で街に行くことは禁止されてしまった。どこかへ行く時は必ずユリウスさんか、もしくは他の護衛と一緒の時だ。そのため食材などは家に届けてもらうことになった。
ヴォルテル様の信用出来る人が責任を持って届けてくれるとのこと。事前に何が欲しいとか言えば持って来てくれるそうだ。便利で有難い反面、市場で自由に買い物が出来ないのはちょっと寂しい。まぁ守られる立場となった以上、仕方ないのだけど。宅配を頼んだと考えればいいか。
「そのイヤーカフは一度しか効かない。攻撃を防いだ時はそれなりに大きな音がするはずだから気が付くだろう。もしそうなった場合は必ず報告をしてほしい」
「わかりました」
このイヤーカフの出番がないことを祈ろう。面倒事に巻き込まれるのはごめんだ。俺は普通に生きていければいいんだから。
「では今からハルトの血液を少し採取させてもらえるか?」
明日からの確認をいろいろと済ませると、ヴォルテル様にそう言われた。どうやら俺の体液がどれほどの力を持っているのか調べるそうだ。
血液を薄めた場合と、直接塗ったり飲んだりした場合とどれくらい差が出るのか。薄めた時も、どれくらい薄めるとどれくらいの効果になるのか。そういったことを事前に把握するんだそう。
「本当は血液以外も欲しいのだが、ハルトが嫌だった場合は止めておく」
血液以外、というと汗とか涙とかだよな。あ、精液もあったわ。っていうかユリウスさんは精液飲んで完全復活したんだっけ。
汗とか涙はまだいいけど、精液は流石に遠慮したい。恥ずかしすぎて無理。強制しないと言ってくれて助かった……
ランベルトさんが持ってきた小さな瓶に、俺の血液を垂らしていく。指先を少し切って血を垂らすけど、治癒能力によって傷はすぐに塞がってしまう。何度か同じことを繰り返して血を溜めた。
ランベルトさんはしっかりと蓋をすると「大切に使わせていただきます」と頭を下げた。この実験に関してランベルトさんが主導で行うそうだ。
あと患者の用意も必要だが、その時は治療に関して魔法契約を交わすとのこと。その契約を交わすと、なんとこの治療に関してのことは全て記憶から消去されるそうだ。記憶にはないが治療出来た、と患者は思うらしい。魔法って凄いな。
血液以外の体液、汗や涙はまた後日採取することになった。とりあえずは今日採った血液から実験を始めるらしい。
その後少しだけ雑談すると昼食の時間となった。俺とユリウスさんはお暇しようと思ったのだが、そこにヴォルテル様が待ったをかけた。
「今日はここの食堂で食べていくといい」
そうにこにこと話すヴォルテル様から引き継ぎ、ランベルトさんが同行してくれることになった。ヴォルテル様の執務室を出て、三人で以前も行った食堂へと向かう。
食堂へ到着すると、以前同様たくさんの人で賑わっていた。開いている席に向かっている途中、既に食事をしていた人の皿を見るとなんとそこにはハンバーグらしき料理があった。
「え!?」
「ふふ。気が付きましたか」
くすくすと笑うランベルトさんが席を確保したので、そこにユリウスさんと共に座る。ランベルトさんが手を上げると、給仕の人が人数を確認してすぐに何処かへと消えた。
そしてしばらく待っていると料理が運ばれてきたのだが、やっぱりまじまじと見てもハンバーグにしか見えない。
「ここでもハルトさんのハンバーグが提供されるようになったんです。しかも凄く人気で今はハンバーグだけは毎食出てくるんですよ」
ヴォルテル様に渡したレシピを元に、王宮の料理人の人が作ってみたそうだ。すると皆ハンバーグを気に入ったらしく、食堂でも出してみたところ大ヒット。毎日食べたいという声に応えて二週間は毎食ハンバーグが出ることに決まったそうだ。二週間も出されて飽きないのかと思うが、ここの人達は珍しさもあってまだ続けて欲しいと言っているらしい。
「料理人が、肉を調理する時に出る切れ端も無駄なく使えるとのことで喜んでいましたよ。しかも使う肉によってどう変わるのかといろいろ研究しているそうです」
「凄いですね。じゃあミートボールとかも出来そう」
「なんですか、それは?」
「ハンバーグとほぼ同じなんですが、これくらい小さく丸めて焼いたり揚げたりするんです。それをソースに絡めたり、あ、あとは茹でてスープに入れたりも出来ます」
「なんと!? いろいろと応用出来るのですか! それはいいことを聞きました。早速伝えておきます」
フードプロセッサーで食材を簡単に細かく出来るので、それでポタージュが作れたりディップソースが作れたりすることも伝えた。それもランベルトさんは嬉々として聞いていて、料理人に伝えてくれるとのこと。
あとは研究熱心な料理人の人達が素晴らしい料理へと昇華してくれるだろう。ここの料理がまた変わっていって、利用する人たちが楽しんでくれたら嬉しい。
俺も王宮の料理人が作ったハンバーグを一口口に放り込む。するとじゅわりと肉汁が溢れ凄く美味しかった。ソースは少し酸味があり、何の味かはわからないが美味しい。この世界のソースで味付けされたハンバーグも格別だった。
周りからは「ハンバーグが美味しい」という声が聞こえた。俺が発明したわけじゃないけど、こうやって皆が喜んでいる姿を見ているとあの時頑張ってよかったと思った。
「ここのハンバーグももちろん美味いが、俺はハルトが作ったハンバーグの方が好きだな」
「ユリウスさん……ありがとうございます。嬉しいです」
うわぁ……お世辞かもしれないけど、ユリウスさんにそう言ってもらえて本当に嬉しい。にまにまが止まらない。
ここのハンバーグはプロが作っただけあって本当に美味しいと思った。なのにユリウスさんは俺の方がいいって言ってくれた。その言葉がどれほど嬉しいかなんて、きっとユリウスさんにはわからないだろう。
これからももっとユリウスさんが喜んでもらえるように家政夫の仕事を頑張ろう。明日からユリウスさんは仕事に戻る。きっと疲れて帰って来るに違いない。その時に少しでも疲れが癒えるようにしないと。
「ハルトさん、あなたの何気ない知識がこうして広まって世界は変わっていくんです。やはりあなたは平凡な方ではありませんよ。少なくともこの世界ではね」
「ランベルトさん、ありがとうございます」
何気ない小さなことも、この世界じゃ大きなことだったりする。それがいいことなら俺も嬉しい。
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