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覚醒
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朝から何も食べていなかった。
もちろん、木の実の収穫は大事な仕事だ。
僕だってそのへんは心得ている。
でも空腹の状態で、
目の前にある食料を我慢し続けるのも限界だ。
だから、木の実じゃなけりゃ、
これをつまみ食いするくらいいいだろう。
動くアリたちを噛みしめると、
プチプチと弾けて中からアリ特有の旨味が…
「ヴェッ!オエッ!」
慌てて吐き出した。
アリ!?
なんで僕はアリを食べているんだ?
「サボるな。」
後ろから仲間に小突かれた。
「早く木の実を集めろと言われていル。思い出セ。」
聞き取りにくい、くぐもるような声…。
思い出せ。
思い出せ。
思い出した。
僕は、転生したんだ。
振り返れば、声をかけてくれた仲間の姿が。
おお…。
ネ、ネアンデルタール人だよ!
転生って
思っていたのとは
かなりイメージが違っていた。
「おおっ!周りの景色がまるでちがう!転生に成功したんだ!やった!」
みたいになると。
そう思っていたし、
そうなると聞かされていた。
確かに
僕は転生した。
というか、とっくにしていた。
思い出すのに、
転生してから何年かかったのだろう…。
慌てて自分の今の姿を確認する。
自分の手、腹、脚など
どれを見ても以前の僕じゃない。
けど、不思議な感覚で
もうこの姿で何年も、
というかずっと暮らしてきた気がしていて、
この暮らしの経験も蓄積されてて、
何年も過ごした後に
「そういえば、僕は転生したんだ。」
と
記憶が突然にぶり返す。
そんな感じだった。
違っていたと言えば、
もうひとつ違っていたことがある。
僕は人類に転生していなかった。
確認した自分の身体の体毛の濃さといったら…。
おぞましいくらいだ。
ネアンデルタール人を見に来たんだけど、
彼らを見る人類に、なりにきたはずだけど
僕が
僕自身がネアンデルタール人に
転生してた。
違うんだ!
転生前に比べて異常に手が長い。
それは仲間たちもそうで、
ネアンデルタール人の髪は赤茶色く、
顔立ちの彫りが深すぎる。
目が小さい。
髭や体毛が濃い。
発音が不明瞭。
二言目には自然と
「ウホッ」
という声が口に出る…。
ショックだ。
プログラムを間違えたのだろうか。
しかし、ものは考えようだ。
ネアンデルタール人のことを知るなら
ネアンデルタール人、そのものになるのは
非常に貴重な経験になると言える。
前向きに取り組んでいこう。
僕は彼らを学びにきたのだから。
転生に成功した事実が僕を勇気づけた。
先ほども記した通り、
僕はネアンデルタール人として生きてきた
さっきの瞬間まで、
ネアンデルタール人であることを疑わずに生きてきた記憶がある。
転生してから気づくまで何年経ったのだろう。
身体はかなり成長している。
現代人でいうと15、6才というところか。
ネアンデルタール人は現代人より成長速度が早かったと言われている。
今の僕は、ネアンデルタール人として10年は生きてきたのではないだろうか。
そして、
ようやく二万年後の自分の意識を取り戻したのだ。
その経験をもとに
ネアンデルタール人の一日を報告する。
ー続くー
もちろん、木の実の収穫は大事な仕事だ。
僕だってそのへんは心得ている。
でも空腹の状態で、
目の前にある食料を我慢し続けるのも限界だ。
だから、木の実じゃなけりゃ、
これをつまみ食いするくらいいいだろう。
動くアリたちを噛みしめると、
プチプチと弾けて中からアリ特有の旨味が…
「ヴェッ!オエッ!」
慌てて吐き出した。
アリ!?
なんで僕はアリを食べているんだ?
「サボるな。」
後ろから仲間に小突かれた。
「早く木の実を集めろと言われていル。思い出セ。」
聞き取りにくい、くぐもるような声…。
思い出せ。
思い出せ。
思い出した。
僕は、転生したんだ。
振り返れば、声をかけてくれた仲間の姿が。
おお…。
ネ、ネアンデルタール人だよ!
転生って
思っていたのとは
かなりイメージが違っていた。
「おおっ!周りの景色がまるでちがう!転生に成功したんだ!やった!」
みたいになると。
そう思っていたし、
そうなると聞かされていた。
確かに
僕は転生した。
というか、とっくにしていた。
思い出すのに、
転生してから何年かかったのだろう…。
慌てて自分の今の姿を確認する。
自分の手、腹、脚など
どれを見ても以前の僕じゃない。
けど、不思議な感覚で
もうこの姿で何年も、
というかずっと暮らしてきた気がしていて、
この暮らしの経験も蓄積されてて、
何年も過ごした後に
「そういえば、僕は転生したんだ。」
と
記憶が突然にぶり返す。
そんな感じだった。
違っていたと言えば、
もうひとつ違っていたことがある。
僕は人類に転生していなかった。
確認した自分の身体の体毛の濃さといったら…。
おぞましいくらいだ。
ネアンデルタール人を見に来たんだけど、
彼らを見る人類に、なりにきたはずだけど
僕が
僕自身がネアンデルタール人に
転生してた。
違うんだ!
転生前に比べて異常に手が長い。
それは仲間たちもそうで、
ネアンデルタール人の髪は赤茶色く、
顔立ちの彫りが深すぎる。
目が小さい。
髭や体毛が濃い。
発音が不明瞭。
二言目には自然と
「ウホッ」
という声が口に出る…。
ショックだ。
プログラムを間違えたのだろうか。
しかし、ものは考えようだ。
ネアンデルタール人のことを知るなら
ネアンデルタール人、そのものになるのは
非常に貴重な経験になると言える。
前向きに取り組んでいこう。
僕は彼らを学びにきたのだから。
転生に成功した事実が僕を勇気づけた。
先ほども記した通り、
僕はネアンデルタール人として生きてきた
さっきの瞬間まで、
ネアンデルタール人であることを疑わずに生きてきた記憶がある。
転生してから気づくまで何年経ったのだろう。
身体はかなり成長している。
現代人でいうと15、6才というところか。
ネアンデルタール人は現代人より成長速度が早かったと言われている。
今の僕は、ネアンデルタール人として10年は生きてきたのではないだろうか。
そして、
ようやく二万年後の自分の意識を取り戻したのだ。
その経験をもとに
ネアンデルタール人の一日を報告する。
ー続くー
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