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■【チュートリアル】はじめてのレッスン
▶【チュートリアル】はじめてのレッスン「データインストール」
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――――――――――――――――
■ レッスンルーム ■
――――――――――――――――
最後は、『データインストール』という、一時的に機能を追加できる能力について教えてもらう事にした。
カナエ「データインストールは、データをインストールしている間だけになりますが、あらゆるデータの技術や知識が扱えるようになる能力です」
チサト「例えば、料理人のデータをインストールすると、その料理人と同じ味が出せたり、格闘家のデータをインストールすると同じように戦う事ができるようになる」
アスカ「口で説明するよりやって見せた方が早いわよ! 当然ここはアスカが、むぐぐ……」
サクヤ「アスカがやるとムキになりすぎるから、今回はおとなしくさせておくわね」
アスカは、サクヤに押さえ付けられて後ろに下げられてしまう。
チサト「わかった。今回はチサトが取り仕切らせてもらおう。システィ、レッスンルームを道場に設定してくれ」
一瞬で、和風の道場に切り替わる。
チサト「カナエとヒナタは、各自好きな格闘技データのインストールをシスティに申請してくれ」
データインストールもステータス調整と同じく、システィさんの承認が必要なようだ。
カナエは『拳法』で、ヒナタは『酔拳』のデータをインストールしたらしい。
2人は軽く確認するように、準備運動をする。
足の運びや体の使い方が、先ほどまでと全然違う事に気付く。
――――――――――――――――
チサト「二人とも準備はいいか?」
ヒナタ「はーい♪」
カナエ「では、軽くやってみましょうか」
お互いに顔を見合わせて構える。
チサト「では、はじめっ!!」
開始早々、カナエの素早く激しい突きと蹴りを、ヒナタが酔拳特有の酔っ払いのようなフラフラした動きで、避けては弾き、スキがあれば攻撃を仕掛ける。
姿はカナエとヒナタのままだが、まるで2人の姿をしたアバターの中に、武術の達人が入っているのではないかと錯覚してしまう。
アスカ「こんな程度で驚いてもらっては困るわ!」
そう言われて見れば、2人は遊んでいるかのように楽しそうに笑顔のままだ。
アスカ「そんな事じゃないわよ、鈍いわね~。データインストールにステータス調整を組み合わせる事もできるのよ?」
なるほど、2つの能力を組み合わせれば、アニメやゲームのキャラみたいな強さになれるという事か。と私はつぶやく。
アスカ「何それ、おもしろそうね! 詳しく教えなさいよー!」
私の独り言にアスカが興味を示すが、また今度教えると言ってはぐらかしておいた。
みんなに教える前に、一応ミコトさんとシスティさんに相談しておいた方が良いだろう。
そう考えている間にも、カナエとヒナタの達人レベルの攻防が蹴り広げられている。
お互い致命的な攻撃を食らう事はなく、だが決して手を抜いてるような緩さやスキはない。
達人同士の戦いのため、なかなか勝敗がつかないのだ。
チサト「そこまで!」
チサトの声で2人はピタッと止まる。
2人の顔には疲労の色は少しも見えず、息も全く乱れていなかった。
カナエ「どうでしたマスター、楽しんでもらえましたか?」
ヒナタ「ねぇ! ヒナタたち、すごかった?」
素直にすごかったと感想を伝えると、二人は嬉しそうに喜ぶ。
さっきまで戦ってた二人とは思えない、穏やかで無邪気な笑顔だ。
――――――――――――――――
それにしても、バーチャルドールの能力には驚かされる事ばかりだ。
ただの人間である私が、みんなのために何がしてやれるのだろうと物思いにふける。
そういえば、ミコトさんの言っていた、
「実技レッスンの内容については、あとからシスティに伝えさせるとしよう。むふふ、マスターも役得と思って楽しむが良い♪」
という言葉の最後の『役得と思って楽しむが良い』の意味がいまだにわからない。
黙って考え込んでいる私を、みんなが不思議そうに注目している事に気付く。
難しく考えても仕方がないと思い、自分にできる範囲でみんなの力になってあげようと結論付けて立ち上がる。
いつのまにかこんな事になってしまったが、『バーチャルドールのマスター』をやっていくのも、この子たちだけでなく自分にとっても良い事なのかもしれないと、自分の中でやっと決心がつく。
今日のレッスンは、ここまでにしよう。
みんな、また明日もよろしく頼むよ。
■ レッスンルーム ■
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最後は、『データインストール』という、一時的に機能を追加できる能力について教えてもらう事にした。
カナエ「データインストールは、データをインストールしている間だけになりますが、あらゆるデータの技術や知識が扱えるようになる能力です」
チサト「例えば、料理人のデータをインストールすると、その料理人と同じ味が出せたり、格闘家のデータをインストールすると同じように戦う事ができるようになる」
アスカ「口で説明するよりやって見せた方が早いわよ! 当然ここはアスカが、むぐぐ……」
サクヤ「アスカがやるとムキになりすぎるから、今回はおとなしくさせておくわね」
アスカは、サクヤに押さえ付けられて後ろに下げられてしまう。
チサト「わかった。今回はチサトが取り仕切らせてもらおう。システィ、レッスンルームを道場に設定してくれ」
一瞬で、和風の道場に切り替わる。
チサト「カナエとヒナタは、各自好きな格闘技データのインストールをシスティに申請してくれ」
データインストールもステータス調整と同じく、システィさんの承認が必要なようだ。
カナエは『拳法』で、ヒナタは『酔拳』のデータをインストールしたらしい。
2人は軽く確認するように、準備運動をする。
足の運びや体の使い方が、先ほどまでと全然違う事に気付く。
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チサト「二人とも準備はいいか?」
ヒナタ「はーい♪」
カナエ「では、軽くやってみましょうか」
お互いに顔を見合わせて構える。
チサト「では、はじめっ!!」
開始早々、カナエの素早く激しい突きと蹴りを、ヒナタが酔拳特有の酔っ払いのようなフラフラした動きで、避けては弾き、スキがあれば攻撃を仕掛ける。
姿はカナエとヒナタのままだが、まるで2人の姿をしたアバターの中に、武術の達人が入っているのではないかと錯覚してしまう。
アスカ「こんな程度で驚いてもらっては困るわ!」
そう言われて見れば、2人は遊んでいるかのように楽しそうに笑顔のままだ。
アスカ「そんな事じゃないわよ、鈍いわね~。データインストールにステータス調整を組み合わせる事もできるのよ?」
なるほど、2つの能力を組み合わせれば、アニメやゲームのキャラみたいな強さになれるという事か。と私はつぶやく。
アスカ「何それ、おもしろそうね! 詳しく教えなさいよー!」
私の独り言にアスカが興味を示すが、また今度教えると言ってはぐらかしておいた。
みんなに教える前に、一応ミコトさんとシスティさんに相談しておいた方が良いだろう。
そう考えている間にも、カナエとヒナタの達人レベルの攻防が蹴り広げられている。
お互い致命的な攻撃を食らう事はなく、だが決して手を抜いてるような緩さやスキはない。
達人同士の戦いのため、なかなか勝敗がつかないのだ。
チサト「そこまで!」
チサトの声で2人はピタッと止まる。
2人の顔には疲労の色は少しも見えず、息も全く乱れていなかった。
カナエ「どうでしたマスター、楽しんでもらえましたか?」
ヒナタ「ねぇ! ヒナタたち、すごかった?」
素直にすごかったと感想を伝えると、二人は嬉しそうに喜ぶ。
さっきまで戦ってた二人とは思えない、穏やかで無邪気な笑顔だ。
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それにしても、バーチャルドールの能力には驚かされる事ばかりだ。
ただの人間である私が、みんなのために何がしてやれるのだろうと物思いにふける。
そういえば、ミコトさんの言っていた、
「実技レッスンの内容については、あとからシスティに伝えさせるとしよう。むふふ、マスターも役得と思って楽しむが良い♪」
という言葉の最後の『役得と思って楽しむが良い』の意味がいまだにわからない。
黙って考え込んでいる私を、みんなが不思議そうに注目している事に気付く。
難しく考えても仕方がないと思い、自分にできる範囲でみんなの力になってあげようと結論付けて立ち上がる。
いつのまにかこんな事になってしまったが、『バーチャルドールのマスター』をやっていくのも、この子たちだけでなく自分にとっても良い事なのかもしれないと、自分の中でやっと決心がつく。
今日のレッスンは、ここまでにしよう。
みんな、また明日もよろしく頼むよ。
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