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第5章

第5章:ヴァローナとメイド達3(第2章ifルート:サイドストーリー)

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 その日の夜。



 二人は息子のケルシュの事を夕食後にコイトスの部屋へと預け、深夜の大浴場に来ていた。

 オイルプレイを楽しむつもりなら、個人でなら水場が絶対に良いと言う事たったので、こっそりと使わせてもらう事にしたのだ。



 その手には、コイトスが用意してくれた植物性のオイルのボトル。
 なんでも、そのオイルは肌へ浸透しやすく美肌効果がある物で、高級娼館では、浸透しやすさを利用して媚薬を混ぜて使ったりもする程に、しっかりとした物らしい。



 ヴァローナとクレマティオは、生まれて初めてのオイルセックスに緊張の色を隠せなかった。

 夫婦のベッドでの、ノーマルで淡泊なセックスしか経験の無い二人。
 そんな夫婦には、普段から日常的に身体を洗う事に使っている大浴場と言う公衆の空間で、性行為に及ぶ事自体が刺激に溢れていた。



 緊張しながら更衣室で服を脱ごうとする二人。

 ヴァローナは赤毛の長い髪をシニヨンで纏めていたピンを髪から抜くと、手櫛で髪をおろす。
 ヴァローナの蒸れた頭皮の匂いがクレマティオの鼻に香る。

「ほどいてくれる?」

 ヴァローナが普段着のコルセットをクレマティオに取るのを手伝わせる。
 コルセットの紐をゆるめると、細かった腰に上から脂肪が降りてきて、ヴァローナ本来のむっちりとした体形へと戻っていく。

 まだ服を着ていて見慣れている筈なのに、クレマティオは最小限のランプの明かりで照らされた更衣室で見るヴァローナの姿に心を奪われた。
 非日常感によってか、いつも以上に色っぽく感じてしまう。



 ヴァローナが服を脱ぎ去って下着姿になると、揺れる明かりの中でヴァローナの白い肌がしっとりと煌めいた。

「クレオも早く脱ぎなさいよ」

「……ああ」

 クレマティオは薄く綿の入った鎧の下にも着られる上着を脱ぐ。
 それから、剣や小物を引っかけられる細身の腰ベルトを外すと、ズボンを下着と共に脱ぎさった。

 短く刈り込んだ金髪に、優しい表情をした灰色の大きな瞳。
 彫の深い顔に、薄っすらと割れた顎。
 少しだけ面長な顔立ち。

 身長が百八十五センチと人族の中では少し背が高い程度のクレマティオ。

 だが、その身体は筋骨隆々とした凹凸がはっきりする程に鍛え抜かれ、白金色の毛が薄く生えている。
 六つに割れた腹筋に押されてか、ヘソは極端に浅く、胸筋の下部にある乳首は胸板の上に乗ってやや横長に広がっていて、色気がある。
 全体の筋肉量が多いせいか、身長以上に大きく見えた。

 白金色の薄い陰毛の下には、皮が常時半分ほど剥けた状態の、肌に比べればピンクがかって黒ずんでいる十二センチほどの大きさのペニスがぶら下がっている。
 人族の中では標準的なのだが、身体が大きい分、平常時は小さく見えてしまう。

 ヴァローナは、既にクレマティオの股間の物が少しだけ前へと怒張し始めているのを見て、久しぶりの興奮を思い出しながら自身も下着を脱ぎ去り、クレマティオと同じ様に全裸になった。



 普段から日常的にセックスをしている二人であったが、ケルシュを起こさない様に明かりを消したまま、ベッドのシーツの中で身体を密着させ、隠れる様に行為に及んでいた為、お互いの裸を明かりの下で見るのは久しぶりであり、オイルが必要無いのでは無いかと言うほどに二人共に興奮していた。



 オイルのボトルを片手に、クレマティオが浴場へと足を踏み入れると、ヴァローナはその後についていった。

「まず、どうする?」

「オイルセックスって言うからには、身体に塗るんじゃない?」

 勝手が分からず、沈黙を挟んでからボトルを開けると、まずはクレマティオがヴァローナの肌にオイルを塗り始めた。

 ヌルヌルのオイルから、僅かに花の香りがする。
 手で表皮に伸ばす様に塗っていくと、ムチムチとした肉感溢れるヴァローナの肌がオイルで包まれ、手触りが新鮮であった。

 ヴァローナもクレマティオの筋肉の鎧に覆われた身体にオイルを塗り始める。
 オイルを塗った所から、クレマティオの身体の表面がランプの明かりを綺麗に反射して、まるで陶器で出来ているかのような美しさを見せだした。

 二人が黙りながらお互いの身体にオイルを塗り終えると、まずは興奮したヴァローナがクレマティオのペニスにオイルを塗り始めた。

 ベッドの中で手で触ってもらうのとも、愛液で濡らされるのとも違う感触。
 半剥けの皮を剥いて、包皮の下に隠れていたカリ首にもオイルを丁寧に塗ると、そこだけ普段から守られているせいか敏感らしく、クレマティオの腰が引ける。

 ヴァローナは、今までそこが弱点だとは知らなかったと思いながら、オイル塗れの手でマッサージをしてやる。
 クレマティオはタイルの床にペタンと座ったまま、後ろ手に身体を支えて、ヴァローナの奉仕を受け入れた。

 ぬちょぬちょと音が鳴り、意外とうるさいなとヴァローナは思いながらも、クレマティオを手だけで一度果てさせる。
 ヴァローナに押し付けられた手の中に射精をするクレマティオのペニスがビクビクと動くのを止めると、ヴァローナは手の中で溢れそうな標準的な量の色が半透明の精子をクレマティオに見せてから、床に捨てた。

 クレマティオは、今度は自分の番と、ヴァローナを背中から抱き寄せ、オイルをヴァギナへと垂らし、ヴァローナが自分にしてくれたのと同じ様にマッサージを始めた。

 オイルと愛液が混ざって普段よりも濡れて見え、それだけでヴァローナの背中に押し当てられたペニスがビクビクと勝手にひくつきながらもう一度大きくなり出す。

 ヴァローナは、もう我慢できないと四つん這いになると、背中に当たっていたクレマティオのペニスをお尻で挟む。
 ヴァローナの大きなお尻の上でオイルをペニスで楽しむと、ヴァローナのヒクヒクと勝手に動いてしまう膣口へとペニスを滑り込ませた。

 十六センチ程に大きくなったペニスを、一息でヴァローナの一番深い所へと飲み込ませ、激しく腰を打ちつけていく。
 身体をこんな広い所に晒しながら、いや、身体を起こした状態で音も気にせずにセックスをするのは、いつ以来だろうか。

「もっとっ♡ もっと押し込んでっ♡」

「ふうぅぅ、ふうぅぅ♡」

 パチンパチンとクレマティオの硬い筋肉が、ヴァローナの柔らかいお尻にぶつかって揺らすたびに、ヴァローナの中はいつになく締まっていく。

「ふうぅぅ……出る……出る……♡」

「出してっ♡ 赤ちゃん作ってっ♡」

「うあぁはあぁぁ♡♡♡」

 クレマティオがヴァローナの中に射精すると、二回目にしては濃いと言える一度目と同じ様な精液が子宮口を叩いた。

 すぐにクレマティオはペニスを抜くと、満足した様に床に座ってしまう。

「なぁ、ヴァローナ、これ、時々やらないか?」

「……うん……」



 * * *



 浴場を二人で綺麗に掃除してから二人は部屋に戻ると、いつものセックスをもう一度した。
 ベッドの上でシーツはかぶらず、ベッドをギシギシと軋ませての、普段からは考えられない激しいセックスとなった。

 なったのだが、ヴァローナはオイルプレイこそ楽しかったが、普段と何が違うのだろうと思いながらも、あまりにも楽しそうなクレマティオの手前、それを言い出せずに、その日を終えた。



 そして、次の日。

「ねぇ、レーラー」
 ヴァローナは、仕事の手を動かしながらレーラーと話をしていた。

「なに?」
 レーラーは、ヴァローナの事が正直苦手であったが、普通に対応してくれる。

「ロッテとキアラから、薬買ってたでしょ」
 レーラーは、ヴァローナのこういう所が正に苦手であった。

 普段のヴァローナは、興味の赴くままにデリカシー無く何でも聞いてくるし、思わぬことを盗み聞きしたり、盗み見たりしていて、それを周囲に話してしまう。
 レーラーの中では、下手に関わるとトラブルを起こされるイメージが強すぎて、現在進行形で対応に苦慮している。

「……なんのこと?」

「トイレで買ってたでしょ」

「……そんな事聞いて、どうするの?」
 レーラーは、態度で不快感を表明した。
 こんな態度取りたくないが、普段のヴァローナなら、これを数回繰り返せば諦める時があるのだ。

 しかし、今回は様子が違う様であった。

「絶対に、誰にも言わないから……薬の、その……使い心地を、聞かせて欲しくて……」

 レーラーは、ヴァローナが絶対に誰にも言わないと言った事が信じられなかった。
 ヴァローナは、知りたがりの聞きたがりだが、話してくる情報がデマである事はあっても、話す内容が嘘だった事は無かった。

「……ヴァローナ、そんな事聞いてどうするの?」
 レーラーは、素直に疑問を聞く。

「実は、夫のクレオとの事で……」



 ヴァローナは、レーラーに口外しないで欲しいと、どの口が言うかと言う念押しをしてから、夫のクレマティオとの夜の生活が上手くいっていない事を相談した。
 会計係のコイトスに相談し、試しにオイルセックスをしたのだが、クレマティオは満足したのだが、自分はまるで満足できなかった事まで包み隠さずである。



「事情は分かった」

「じゃあ!」

「ヴァローナ、今後私の噂話はしないって約束してくれるなら、話しても良いわ」

「えっ……えぇぇぇ」

「そんなに嫌なら、他を当たって」

「待って! わかったから、我慢するから!」

「我慢じゃなくて約束だってば」

「うううぅぅ……わかった約束するから! 約束破ったら何でもします!」



 * * *



 レーラーに手痛い対価を払わされて手に入れた例の薬の情報。

 ヴァローナが薬の提供者であるカルロッタとキアラに聞かなかったのは、あの二人の言う事が信用出来なかったからだ。
 レーラーがヴァローナを苦手な事は薄々気付いていたが、それでも信用が出来る人物に聞かなければ、確かな情報は得られない。



 レーラーの話では、例の薬は超強力な精力増強薬と言う呼び名では足りないぐらいに、怖いぐらいよく効く薬だと言う話だった。

 最初は、レーラーの旦那である小人族のモアレムとの夜の生活が、体格差と体力差によって、モアレムがどんなに頑張ってもレーラーを満足させる事が出来なかった所に、どこで話を聞きつけたのかカルロッタが接触してきたと言う。



 話を聞いているヴァローナは、クレマティオとの夜の生活に自分は満足していると言う惚気の引き合いに、カルロッタとキアラに話したのが自分である事は黙っておこうと思った。



 とにかく、レーラーはカルロッタから、それなら良い薬があると話を聞き、藁にも縋る思いで頼っていた。

 レーラーの実家は、鍛冶職人の家系で、後継ぎに適している男の子が必要だったのだ。
 ドワーフの間には、女性が絶頂中に種付けをされると妊娠しやすく、男の子が生まれやすいと言う古い考えが根強くあった。
 レーラーは恋愛結婚で小人族と結ばれ、ヴァローナと同じ様に昼も夜も不満の無い生活を送っていたのだが、どうしても男の子を生まなければならない状況に、薬に手を出してしまったのだ。



 ちなみに、オーガズムと妊娠は別に関係が無いが、オーガズムと男女の産み分けには確率的な関連性がある。
 絶頂を迎えた方が、男が確率的には生まれやすく、絶頂を迎えていない方が、女が確率的には生まれやすくなるのだ。

 それは、膣内の分泌液によって、絶頂すれば酸性からアルカリ性に傾き、奥へと射精をする事で男を作るY精子が有利になるからだ。

 逆に、女が欲しければ、絶頂に達さない様に、膣の浅い位置に射精する等して、女を作るX精子が有利になる膣内環境を作ってやると確率が高まと言われている。



 レーラーの実家の事情や、小人族の旦那など、ヴァローナは誰かに「ねぇ、知ってる?」と言いたい衝動に駆られるが、約束は守らなければならない。

 レーラーは、そこまで話すと、薬の効果について、自身の体験談を話し始めた。
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