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第六章

『変わりゆく未来の予感』

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 探知システム自体は完成したが、オマケが微妙だった。
ゴーレムが魔法知覚で対象を確認して、魔物であるかどうかを物見の塔へ伝達。そこで情報を精査して、多寡と大きさを詰め所へと送るシステムというのが本質に成る。ここまでは良いのだ、間に挟む経由地となる伝達用ゴーレムの数が問題になるだけでしかないかったのだから。

問題になったのは『質の向上』に関するデータが得られてしまった事である。

「埋めた方は距離が伸びないのに露出させた方は感度が良いな」
「質の向上は『象徴する力』の向上という結果が出て良かったじゃないか! おかげさまでどんな造りなのか、一目で判っちまったがな。まあ、秘匿に関しては諦めろ」
 あれからゴーレムでの拠点計画も、その苦情処理も終えた。
商人や地主たちの『こんな所に大穴を空けられたら困る!』なんて苦情を適当に宥められるくらいには慣れてしまい、漸く探知システムが整ったのだ。しかし、その過程で魔物やスパイに壊されないように埋めたゴーレムが、あまり長距離に送信できなかったのである。対して、物見の塔の上に作った方は、実に長距離へ伝達出来てしまう。

おそらくだが、『丁字暗号』に関しても『電波』に関しても、『塔である方が正しい』という認識を俺が思ってしまっている事が一つ。また説明を聞いた他の連中も、『塔で狼煙を上げた方が判り易いのでは?』という類似の考えを持っていたことが原因かもしれない。作業工程を見ていたガブリールの奴が概念を覚えてしまう程度には見える範囲で何度も繰り返してしまった。

「何が問題なのかな? 判り易く説明してもらえるとありがたいね」
「アンドリオ副団長、主に予算と露の問題ですよ。見えて居れば予算は限りなく抑えられますが、他者から見て一目で判り、同時に壊し易くなります。逆に埋めているとまず判りませんが、中継用のゴーレムが多数必要になるので予算が掛かりますね」
 俺は判り易く示すために、紐とナイフをテーブルの上に置いた。
もう一本、長めの物を用意して、テーブルの下に隠してから軽く引いて見せる。テーブルの下に隠れた長い方は、時間を掛ければ回収できる。だが、テーブルの上にある短い紐は、ナイフで切るのは簡単だろう。ゴーレムによる探知システムであると判らなくとも、ゴーレムは魔法の品だと判るので、壊して持って帰って売りさばこうとする奴は一定数出ると思われる。

この様子にさしものアンドリオ副団長も黙るしかない。
騎士たちにとっても予算は永遠の敵であり、国防の機会でもなければ今ほどに予算が使えないし、国防の危機とはいえ無制限に垂れ流して良いとは思えないのも当然だった。魔王軍を撃破するまでの疲労がひどすぎて判り難いが、現時点での国庫は必ずしても潤沢などではない。余分な金があるならば、国土の復興に充てたいだろう。

「妥協案として猟師小屋や炭焼き小屋に隠すのはどうかな?」
「煙突の脇に偽装すれば行けるでしょう。しかし、全部は無理です」
「今は重ねていくしかないだろ。後はそうだな……塔の方が『幅』が広いんだろ? 塔の方から拾わせていくのはどうだ? 送るんじゃなくて、向こうにある様子を真似っ子するんだ。塔なら大型のゴーレムを設置できるし、かなり広がるぜ」
 妥協点を俺達が話しているとガブリールが決め打ちした。
塔1から経由地のT字を動かし、幾つかの経由地を踏まえて、塔2は情報を読み取りに行く。それだけでは予算は浮かないが、塔3・4と数を増やしそこに偽装小屋という塔を混ぜれば良いだろうという案である。

確かに、この方法ならば何割かを抑えられるし、小屋が間に幾つもあるという不自然さを隠せるのは確かであった。小型のゴーレムより大型のゴーレムの方が魔力を注げるので、伝達距離も段違いになる。ただし、この方法には問題もあった。

「ふむ。機能的には要するに狼煙台であるとして、煙を上げもせず、見もせずに判るという段階でありがたくはあるね。ミハイル君。この案に関して問題はあると思うが、どんなものかな?」
「距離と物で判断しますので……偽情報を用意可能ですね」
「それは問題だね。特に緊急性に関して間違った情報というのは困るな」
「ええ。全力出撃して大物どころか雑魚が少数では他が困るでしょう」
 ゴーレムはプログラム前提で杓子定規な為、出来る事が決まっている。
探知範囲と伝達範囲では後者の方が広くし易く、同時に前者の方が必要な場所が狭かったりする。その辺りも含めると、どうしても経由地を指定して探知するのは難しかった。あくまで伝達距離限界くらいにあるゴーレムの動作を読み取るのが精々で、その場合、偽物の伝達ゴーレムを用意すると誤魔化せてしまうのである。

情報の重要さを知るからこそ、俺達はここで黙ったままお見合いに成る筈だったのだが……。

「あのよう。ここで詰まって居るよりも、実行して見た方がよほど早いと思うぜ? 試している間に何か思いつくかも知れねえし、何だったら十年の間に作りあえちまえば良いんだ。すくなくともその間はバレないか、バレても問題になるような知恵ある魔将は早々に出てこないと思うしな」
「それはそうだが……お前、次の研究したいだけだろ」
「ガブリール君の意見は乱暴だが一理ある。もうコレなしに計画は動かないよ」
「仕方ありませんね。ひとまずその方向で進めましょうか」
 やはり意見が異なるというのはありたがいのだろう。
ガブリールが挙げた『十年後に騙されるのを覚悟で運用して、十年内にバージョンアップする』という意見は実に乱暴である。だが、今の状況を改善す琉と言う意味で大きな躍進に成るのは確かだろう。少なくとも試験中に国境との中間にある詰め所で試したところ、『数が多い』と『大物が居る』という情報を得ただけで、その苦労はかなり軽減されていたのだ。

その情報を騎士団の拠点でも同時に受け取る事が出来れば、援軍の是非も判断できるため前線である詰め所の方も心強いという報告があったのだ。

「では私は団長の元に報告に行って来るよ。後はよろしく」
「はい。よろしくお願いします。有力者の方には予算回りの事も」
「ははは。善処しよう」
 話がまとまったところで副団長は上に報告へ行く。
おそらく現実的な範囲で話をまとめ、追加予算は……残念ながら他の地域に探知システムを増やすという方向で決まるだろう。十年後に一部をまた作り直すより、今の間に隠せる物を用意する方が良いと思うのだが、騙し騙される事象は一つではないというのが結論になるだろう。それを考えたら騙されるのを覚悟で現状よりマシにするという点では衆人の一致するところである。

それに、十年後なら弟子やその下の職人たちも育つことを計算に入れられるからな。

「十年後は王都の大学に新人たちの育成を期待するとして、ひとまず国境での作業は終りだな。次はバルガス河で暫く色々やって、最後が南部国境に成る『筈』だ」
「どんな素材が手に入るか俺は愉しみで仕方ないね。これで同じことの繰り返ししかない町とはおさらばだ」
 国家に対する奉仕なら既に十分終えているだろう。
国境での魔物探知システムが上手く行くなら、今後にどんどん国が安全になって行くはずだからだ。騎士団の疲弊も取り除かれ、交代要員をある程度補充すれば、同じ場所に幾つもの騎士団は必要なくなる。そうなれば防備の薄い場所に回すか、あるいは大きめの集団として統合されていくのかもしれない。

俺と一緒に初歩のゴーレムを作って奉仕義務を終え得ているであろうガブリールは、次なる場所への期待を寄せていた。国境には基本的に亜人の集落ばかりで、魔獣を除けば珍しい素材はあまり手に入らないからだ。魔犬や妖鷹といった当たりの素材で試すにしても限界がある。此処で果てに入らない素材を求めて早く次の地に行きたいのだろう。

「しけた町だったが、今回判った事は結構大きいぜ」
「ああ。象徴する力は外に出してこそ。それも目立つ場所で、相応しい場所に限るって事だな。ひとまずゴーレムで試してみるとして、そっちも簡単なマジックアイテムを作ってみろよ」
 同じことの繰り返しだが、この地で一つの検証は得られた。
伝達型ゴーレムは埋めるよりも塔として掲げた方が効果が高かった。伝承やら信仰やら理由は考えられるが、人々がそう信じているという事が重要なのだろう。これまでのマジックアイテム作成で噂も出なかったのは、ゴーレムは『願いによって作られた守護神』であったという経緯がある事、マジックアイテムはあくまでマジックアイテム目的で造られたという差のせいだろう。だから象徴を持ったゴーレムは強いし、ゴーレム創造魔法の流用で作られた伝達型ゴーレムも性能が高くなるということである。

ここから応用すれば、ガブリールが目指している特殊なマジックアイテムも可能であろう。

「そうしたいのはやまやまだけどよ。まずは何から作るよ?」
「前に言ったろ、獣の耳と尻尾を付けたセット防具で……って、確かにパパっと作れないな。しかも此処じゃあ着たい奴もいないし。ファイヤボールを投げつけるバリスタでも作るか? それなら協力するぞ、うちの領地も守る為に使えるかもしれないしな」
 もっとも、判ったからと言って即座に思いつける実験はない。
バルガス河に移動することもあり、スケジュールが推しているので簡単な物しか作れない。作るなら本格的にやる為に、向こうで素材やモチーフを元に検討すべきだろう。

一方で、ゴーレムはひとまず幾つか試すことはある。
意味が無い頭に意味を持たせる。その上で兜とか、顔を守るための装甲も付ける感じだな。そうすれば1%か2%くらい差がついて、頭に増やした機能と合わせて、同格との勝負には勝てるようになるだろう。最大能力の定まったゴーレム同士で戦う意味なんかあるとも思えないんだが。

「バリスタだと使い切りになっちまわねえか? ただ、他に共通してそうな呪文なんかそうないし……象徴的な形なんか思いつかねえが」
「だよなあ。リストを書いても良いが多分だめだな」
 問題になっているのは、呪文を覚えてないと共同作成できない事だ。
付与魔術や魔法陣を運用するための基礎部分だけの手伝いでは、大して時間の効率化には成らない。補助呪文や儀式魔法で呪文を強化する時には、『強化一段階ごとに、別の基準で繰り返す』という一定のルールを踏まえる必要がある。同じ詠唱、同じ意味の文言、同じ意味を示す絵や象形などだ。こういうのを周知するために、ただ共同作業を割り振るだけでも面倒くさい。

そして何より、魔術を磨く時に覚えていく中間の呪文がみんな違うのである。『だいたいこのレベル帯の難易度』という経験則を先人から聞いているだけで、定番のファイヤボールくらいしか共通で覚えて居そうな呪文は存在しそうになかった。

「伝声なんかは? あれなら筒の向こうとこっちを繋ぐって遊びがあるぞ。伝声管として、城で上層部の決定を、前線の櫓に届けるとか」
「城の中ならそれこそ伝令で良いだろ。それに、風は送風で覚えちまったんだよなあ。まさか風を送るゴーレムなんて作られるとは思ってもみねえよ」
「流石に今みたいな話は想定してなかったし、便利だからな」
 生前の知識で思いついたのは糸電話や伝声管である。
それこそ竹の筒の中に糸を通すだけでも出来そうだし、金属製の筒ならそれだけで機能する可能すらあった。その場合は声の正確さを保って伝達できそうなのだが……言われてみれば、文明の発達度合い的に、船の伝声管みたいな効率の良さそうな使い道は無いだろう。あえていうならバリスタを山ほど並べて、割り振りを即座に指示するくらいであろう。

ちなみに、俺は伝声はゴーレムで風魔法の封入にイメージし易いのと、送風自体は扇風機を思いついたので取得しなかった。

「悩んでいてもラチが明かないな。迷うくらいなら塩を煮る鍋に協力してくれ。次のテーマではジブに協力するってことで」
「それっきゃねーが、モチーフは?」
「鍋の下にサラマンダーの像でも用意する」
「それは良いが象徴する素材なんぞ……あ、灰で良いか」
 流されるのは嫌だし、迷う暇が惜しい。
そこで俺は妥協するのではなく、かねてから欲しかった物を発注することにした。このアイテムで検証することにすれば一石二鳥なのだ。問題として面倒くさがっているガブリールを説得するために、彼に無条件で次回協力することになってしまったのだが……まあ、このままグダグダと時間をも打にして、しかも欲しい物が間に合わないよりは良いだろうと判断した感じだな。

そしてこの決定はガブリールにも影響を与えたようだ。
嫌そうな顔をして考え始めたが、サラマンダーをモデルにした像というアイデアから、サラマンダーに燃やさせた灰を用意すれば問題ない事を思い立ったようだ。やはり妥協の連続であるとか、悩んだまま動かないよりは、よほど魔術師の研究らしくなってきた気がする。

「ならサラマンダー呼んでもらうとして、精霊使いに伝手は?」
「遊牧民と仲良くなったから最悪、火遣いに頼む。火は再生の象徴でもあったはずだし、なんだったら『火蜥蜴に挑む試練』に協力してくれとでも言うさ。魔剣の一本も提供すれば、その部族で同じような試練に挑めるようになるだろうから、多分協力してくれる筈だ」
 話というのは持って行き方一つで腹も立つし角が立つ。
だが、相手が納得すれば良いので、その辺りの流れを最初から作れば良いだろう。というか……ここまで話して置いて、鍋を煮るだけなら別に倒さなくても良い事に気が付いた。サラマンダーが燃やした灰であったり、鍋に付着した灰や錆びなどを色々混ぜ込んでも良いだろう。まあ、ガブリールの奴が納得するかは分からないので、倒すところまで一連の儀式にしてしまう方が良いのかもしれない。

そして、一つの行き詰まりが解けてアイデアを思いつくと、次々と思いついて行くのが不思議だった。

「そうだ。サラマンダーで鍋ってんなら、リザードマンなり水棲の魔物の素材で泳ぐための道具なんかどうだ? ひとまず俺は強化呪文が幾つか使えるんだが……」
「初歩なら問題ないぞ。賢者がまったく使おうとしなかったからな」
「なんだったら人魚型のゴーレムも作っちまえよ」
「無茶を言いやがるな。まあ興味が無い訳じゃないけどな」
 こんな風にトントン拍子で次の研究テーマも見つかった。
バルガス河流域に居る水棲の魔物を退治して、その素材で水中での能力強化を行うマジックアイテムを開発することにしたのだ。最悪、足に付けるフィンとか使い回し易い短槍でも作れば良いだろう。

後は現地で時間を掛けて工事やマジックアイテムの作業をし、南部の国境まで確実に仕上げて行けば良い……そう思っていたのだ。まさか、他所で起きた玉突き事故の結果、この『流れ』が一気に加速するとは思っても見なかったのである。ただし、あまり俺たちにとってはよろしくない形で。
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