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お嬢様との立て籠もり & 決着
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俺は、金本の銃に撃たれたらしい。
銃の名手だったのか、それともただ単に俺がアンラッキーなだけだったのかはわからない。しかし、現実に、俺の体に銃弾が撃ち込まれた事には変わりは無い。
今更、動かなければ良かった等考える必要は無い。
しかし、動いてなかったら、彼女に当たったかも知れない。そう考えることによって、少しは痛みに耐えられ、自分の心に余裕が出来るようになってきた。
「……連絡……!!」
「……すね……、……チがここに……」
断片的にだがようやく言葉が聞こえるようになってきた。
そして、二人の様子を見ると、うろたえていて何をしているのかわからなかった。
警備員の手は震え、そして、足まで震えたまま何かを探していた。
知佳子はその警備員の事を落ち着かない様子で足踏みしながら眺めている。
このような状況で、適切な対処が出来る様な小説やマンガ、映画ばかり見てきた。実際はやはりこんな物なのだろうなと、二人の様子を冷めた目で見続ける。
しかし、それがより脳を冷静にさせることが出来、今自分たちが何をしなければならないか、頭の中に浮かんできた。
「警備員さんは小窓を閉めて! そして警備会社本社に連絡! 知佳子は警察、そして実家に連絡して!」
なんとか出せる限りの声を出すと、二人にはその声が届き、怖い顔でこちらを見てきた。しかし、二人とも俺の声で動揺が収まったのか、目の色が変わり、震えも止まり、適切に動いていった。
警備員は慌てて小窓を閉める。そして、その小窓の内側に付いているシャッターも閉めた。
普通であれば、この小窓は鉄製のワイヤーが入ったガラスで作られており、壊すのに困難な物だ。本来の日本のビルは大抵このような物になっている。だが、ここはもう一段階上に物事を考えているようで、シャッターが付いていた。鉄製のシャッターは俺の体を貫いた銃弾で壊すには難しい物だ。ひょっとしたらこのことを想定して設置された物なのかも知れない。設計した人の先見の明が今回はとてもありがたかった。
そして、机の下にあるボタンを強く押し、警備員は一息大きく吐いた。
これは通報ボタンだろう。このボタンを押されたと言うことは、緊急事態発生という事になる。これだけで順番は定かで無いが警察と、警備会社に通報が入ることだろう。
そして、知佳子は室内にある電話を使い、110番に連絡を入れている。
「フジヤマS支社が銃を持った男達に襲われています!」
繋がった途端、その様な事を伝えるため、相手もよくわかっていないようで、再度色々なことを聞き返されている。それがすごく知佳子にはイライラさせられたようで、地団駄を踏みながらなんとか怒りを抑えて伝えていた。
そんな時、大声と共に銃声が3発、そして、それを弾く音がすぐ隣の鉄製の扉から3回鳴り響いた。
「くそっ! 弾切れだ!」
銃声が鳴り響いた後、扉を蹴る音と共に金本の大声が聞こえた。電子ロックで施錠されているため、そう簡単に開くような物では無い。
しかし、8発、そして、もう8発、合計19発の銃弾がこの扉の鍵に撃ち込まれる。
いかに強固な作りをしているとは言え、ここまで耐えられるのかは正直わからなかった。
「弾よこせ!!!」
金本の大声が聞こえる。それは、この扉にさらに銃撃を加えることを意味していた。
恐怖からか、警備員は部屋の隅で怯え、知佳子も受話器を持ったまま、しゃがんで震えている。
そして3発撃った後、今度はドアを蹴り始めた。
内側からもドアノブが動き、傾いている様子がわかる。
この扉は頑丈で壊れることは無いだろうと安心していた俺だが、非常に危険な状況になっていると理解できた。
蹴り終えた後、3回の銃声が鳴り、扉の何かの金属の壊れる音が鳴った。
俺は、万が一を考え、痛い体にムチを打ち立ち上がる。そして、ドアノブをつかんで外側に開かないように力を入れた。
だが、その万が一が当たってしまったようで、外から引っ張る力が加わってきた。
あの太った先輩が参戦した場合、俺達の未来は無いだろう。
およそ8発ずつの弾。
知佳子を殺すことはまず無いだろう。そのため、残りの残弾2発、俺に1発、警備員に1発で最低限の仕事は出来る。
俺は壁になることを決意したが、警備員にはそこまでの義理も無い。そのため、痛む体だが、無理に声を出す。
「知佳子! 警備員さんと一緒に逃げろ!」
俺は扉に向かって力を込めているため、彼女がどのような顔をしているのか見ることが出来ない。だが、彼女がこの警備室から出て行った事だけは確認できた。
これでこの会社内で隠れていれば、最低限、警察や警備会社の到着までは時間が稼げるだろう。
俺の命はこの体力がいつまで持つかと言う事だけになる。
「どうしてこうなった……」
思わずここ数日よくつぶやいてた言葉が浮かび上がる。
全ては知佳子に関わってからつぶやき始めた言葉。大抵が知佳子の事だった。
今回も、外的要因もあるが、結局は知佳子関連だ。もうこうなる運命だったのだろうなと諦め、そして腹をくくった。
「来るなら来やがれ!」
そう心に思った瞬間、外から声が聞こえた。
「おう、お前やれ!」
「はいっす!」
太った先輩の返事が聞こえる。
どうやら、この意気込みも短い時間で終わりを告げそうだ……。
だが、負けてなるか! と全身に力を入れた直後、意図も簡単に俺は扉を開けられ、外に引きずり出された。
「よう、つづき。良い根性してるな」
もう見上げるような気力も無い。およそ、金本は俺に銃口を向けていることだろう。
だが、知佳子はこのビルのどこかに隠れている。だから、後は時間の問題だ。そう思ったとき、上から声が聞こえた。
「くらえー!」
力の入った女性の声。
俺が守りたいと思っていた知佳子の声だった。
そして、彼女の攻撃が金本に直撃する。
「あっちーーーー!!!!!!!」
「もういっちょ!」
「ぎゃぁぁぁーー!!!!」
俺にもその二人への攻撃の余波が届き、どのような攻撃をしたのかはっきりとわかってしまった。
金本と、太った先輩は、知佳子から、熱湯をかけられた様だ。
ざまあみろ! とも思ったが、俺の右腕にも何滴も跳ねてきているため、俺もすごく熱かった。
しかし、太った先輩は服を脱ぎながら近くを走り回っているが、金本はそのまま耐え続け、怒りの声を上げていた。
「殺してやる……!」
その言葉を聞いて慌てて金本の方を見ると、顔が真っ赤になった金本が、怒りながら歯ぎしりしていた。そして、彼の左手には、まだ未使用と思われる拳銃のマガジンが握られていた。
このままでは知佳子が殺されてしまう! そう思った俺は、無理矢理立ち上がり、金本にタックルを決める。
しかし、力を使い果たした男のタックルは、非常に弱い。だが、熱湯にひるんでいた金本を倒すには十分だった。
「この野郎!!」
怒りのままに俺のことを殴り続ける金本。だが、俺も彼の足を全力でつかんでいた。知佳子の元に行かさないようにと。
そして、金本の腕による攻撃が収まり、一瞬の間があく。多分、俺に銃口を向けているのだろう。
走馬灯の様に色々なことが思い出される。だが、それらの殆どは俺のつまらない人生の中で珍しく色濃い物、知佳子との数日の思い出だった。
ああ、このまま死ぬのかな……と思ったとき、事態は好転する。
警察のサイレンだった。
俺の命には届かなくても、知佳子の命には間に合った。そう思った俺は、次の瞬間意識を失った。
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明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い申し上げます。
併せて、このような所で途切れて申し訳無いです。
昨年末と同じ引きなのも申し訳無いです……。
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銃の名手だったのか、それともただ単に俺がアンラッキーなだけだったのかはわからない。しかし、現実に、俺の体に銃弾が撃ち込まれた事には変わりは無い。
今更、動かなければ良かった等考える必要は無い。
しかし、動いてなかったら、彼女に当たったかも知れない。そう考えることによって、少しは痛みに耐えられ、自分の心に余裕が出来るようになってきた。
「……連絡……!!」
「……すね……、……チがここに……」
断片的にだがようやく言葉が聞こえるようになってきた。
そして、二人の様子を見ると、うろたえていて何をしているのかわからなかった。
警備員の手は震え、そして、足まで震えたまま何かを探していた。
知佳子はその警備員の事を落ち着かない様子で足踏みしながら眺めている。
このような状況で、適切な対処が出来る様な小説やマンガ、映画ばかり見てきた。実際はやはりこんな物なのだろうなと、二人の様子を冷めた目で見続ける。
しかし、それがより脳を冷静にさせることが出来、今自分たちが何をしなければならないか、頭の中に浮かんできた。
「警備員さんは小窓を閉めて! そして警備会社本社に連絡! 知佳子は警察、そして実家に連絡して!」
なんとか出せる限りの声を出すと、二人にはその声が届き、怖い顔でこちらを見てきた。しかし、二人とも俺の声で動揺が収まったのか、目の色が変わり、震えも止まり、適切に動いていった。
警備員は慌てて小窓を閉める。そして、その小窓の内側に付いているシャッターも閉めた。
普通であれば、この小窓は鉄製のワイヤーが入ったガラスで作られており、壊すのに困難な物だ。本来の日本のビルは大抵このような物になっている。だが、ここはもう一段階上に物事を考えているようで、シャッターが付いていた。鉄製のシャッターは俺の体を貫いた銃弾で壊すには難しい物だ。ひょっとしたらこのことを想定して設置された物なのかも知れない。設計した人の先見の明が今回はとてもありがたかった。
そして、机の下にあるボタンを強く押し、警備員は一息大きく吐いた。
これは通報ボタンだろう。このボタンを押されたと言うことは、緊急事態発生という事になる。これだけで順番は定かで無いが警察と、警備会社に通報が入ることだろう。
そして、知佳子は室内にある電話を使い、110番に連絡を入れている。
「フジヤマS支社が銃を持った男達に襲われています!」
繋がった途端、その様な事を伝えるため、相手もよくわかっていないようで、再度色々なことを聞き返されている。それがすごく知佳子にはイライラさせられたようで、地団駄を踏みながらなんとか怒りを抑えて伝えていた。
そんな時、大声と共に銃声が3発、そして、それを弾く音がすぐ隣の鉄製の扉から3回鳴り響いた。
「くそっ! 弾切れだ!」
銃声が鳴り響いた後、扉を蹴る音と共に金本の大声が聞こえた。電子ロックで施錠されているため、そう簡単に開くような物では無い。
しかし、8発、そして、もう8発、合計19発の銃弾がこの扉の鍵に撃ち込まれる。
いかに強固な作りをしているとは言え、ここまで耐えられるのかは正直わからなかった。
「弾よこせ!!!」
金本の大声が聞こえる。それは、この扉にさらに銃撃を加えることを意味していた。
恐怖からか、警備員は部屋の隅で怯え、知佳子も受話器を持ったまま、しゃがんで震えている。
そして3発撃った後、今度はドアを蹴り始めた。
内側からもドアノブが動き、傾いている様子がわかる。
この扉は頑丈で壊れることは無いだろうと安心していた俺だが、非常に危険な状況になっていると理解できた。
蹴り終えた後、3回の銃声が鳴り、扉の何かの金属の壊れる音が鳴った。
俺は、万が一を考え、痛い体にムチを打ち立ち上がる。そして、ドアノブをつかんで外側に開かないように力を入れた。
だが、その万が一が当たってしまったようで、外から引っ張る力が加わってきた。
あの太った先輩が参戦した場合、俺達の未来は無いだろう。
およそ8発ずつの弾。
知佳子を殺すことはまず無いだろう。そのため、残りの残弾2発、俺に1発、警備員に1発で最低限の仕事は出来る。
俺は壁になることを決意したが、警備員にはそこまでの義理も無い。そのため、痛む体だが、無理に声を出す。
「知佳子! 警備員さんと一緒に逃げろ!」
俺は扉に向かって力を込めているため、彼女がどのような顔をしているのか見ることが出来ない。だが、彼女がこの警備室から出て行った事だけは確認できた。
これでこの会社内で隠れていれば、最低限、警察や警備会社の到着までは時間が稼げるだろう。
俺の命はこの体力がいつまで持つかと言う事だけになる。
「どうしてこうなった……」
思わずここ数日よくつぶやいてた言葉が浮かび上がる。
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今回も、外的要因もあるが、結局は知佳子関連だ。もうこうなる運命だったのだろうなと諦め、そして腹をくくった。
「来るなら来やがれ!」
そう心に思った瞬間、外から声が聞こえた。
「おう、お前やれ!」
「はいっす!」
太った先輩の返事が聞こえる。
どうやら、この意気込みも短い時間で終わりを告げそうだ……。
だが、負けてなるか! と全身に力を入れた直後、意図も簡単に俺は扉を開けられ、外に引きずり出された。
「よう、つづき。良い根性してるな」
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だが、知佳子はこのビルのどこかに隠れている。だから、後は時間の問題だ。そう思ったとき、上から声が聞こえた。
「くらえー!」
力の入った女性の声。
俺が守りたいと思っていた知佳子の声だった。
そして、彼女の攻撃が金本に直撃する。
「あっちーーーー!!!!!!!」
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俺にもその二人への攻撃の余波が届き、どのような攻撃をしたのかはっきりとわかってしまった。
金本と、太った先輩は、知佳子から、熱湯をかけられた様だ。
ざまあみろ! とも思ったが、俺の右腕にも何滴も跳ねてきているため、俺もすごく熱かった。
しかし、太った先輩は服を脱ぎながら近くを走り回っているが、金本はそのまま耐え続け、怒りの声を上げていた。
「殺してやる……!」
その言葉を聞いて慌てて金本の方を見ると、顔が真っ赤になった金本が、怒りながら歯ぎしりしていた。そして、彼の左手には、まだ未使用と思われる拳銃のマガジンが握られていた。
このままでは知佳子が殺されてしまう! そう思った俺は、無理矢理立ち上がり、金本にタックルを決める。
しかし、力を使い果たした男のタックルは、非常に弱い。だが、熱湯にひるんでいた金本を倒すには十分だった。
「この野郎!!」
怒りのままに俺のことを殴り続ける金本。だが、俺も彼の足を全力でつかんでいた。知佳子の元に行かさないようにと。
そして、金本の腕による攻撃が収まり、一瞬の間があく。多分、俺に銃口を向けているのだろう。
走馬灯の様に色々なことが思い出される。だが、それらの殆どは俺のつまらない人生の中で珍しく色濃い物、知佳子との数日の思い出だった。
ああ、このまま死ぬのかな……と思ったとき、事態は好転する。
警察のサイレンだった。
俺の命には届かなくても、知佳子の命には間に合った。そう思った俺は、次の瞬間意識を失った。
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明けましておめでとうございます。
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併せて、このような所で途切れて申し訳無いです。
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