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夏休み特別編
後日談
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さて、中学生のボランティア引率から帰ってきた加藤は、兄の憲章に呼び出され、厭々ながらも霞が関まで出向いた。
「お昼まだならレストランでも行く? 虎ノ門か帝国ホテルあたりの」
ニコニコしながら言う憲章に、加藤は全力でお断りをした。
「食って来たから。それに、そういういかにも高そうな場所、イヤだから」
「分かった。相変わらず控えめだね、せいちゃん。じゃあ、珈琲でも飲もうか」
控え目というより、憲章と堅苦しい場所で食事なんて面倒臭いだけなのだが、反論せずに従った。
「それで、今日は何?」
加藤が仏頂面で訊くと、待ってましたとばかりに、憲章は喋り始める。
「ほらほら、この前、引率のボランティアせいちゃんに頼んだじゃない。超高級な虫取り網、買ってあげるからって」
「ああ……」
そう。
一文の得にもならないような、中坊の引率を引き受けたのは、そのためだった。
そして、体調不良になった少年を病院に連れて行って、闇が深そうだったもう一人の子に説教じみた事まで言った。
日々の仕事と変わらないじゃん!
ボランティアの枠を越えてないか?
まあ、目先の欲に釣られた、単なる自業自得かも知れないが。
「それでどうだったか、話を聞きたいと思ったんだ」
いつもならウザイと思って放置する加藤だったが、少し気になることもあったので、珈琲一杯分くらいは付き合おうと思った。
「そうだな、まずは虫取り網買ってもらったから、その報告からだ。あの丘陵地帯は、いろいろなチョウの生息地域なので、朝早くに家を出て、絶滅危惧種とかそれに近い種のクロツバメシジミやシルビアシジミを観察し、マップを作ったよ。あとは……」
なんとかシジミと聞いても、憲章にそれらの蝶々のイメージは湧かないのだが、嬉しそうに加藤が語るので、しばらくニコニコ付き合った。
「それで、俺は先に『少年の家』に着いて、中学生たちが来るのを待っていた。来たのは四人。皆、都内の中高一貫校の生徒だった。線の細いタイプが二人、中肉中背が一人、ガタイの良いのが一人。線の細い、綺麗な顔をしたのがリーダー格だったな」
「うんうん。それで?」
「線の細いコのもう一人が、俺には女子に見えた。男子四人と聞いていたので、あえて訊かなかったよ。残りの三人も男子扱いしていたから」
「ああ、そのコが例の……」
「うん。すぐに分かったよ」
珈琲が冷めてきた。
「中学生の夏の外泊なんて、花火とか怪談とか、そんなもんだろうと思ってた。彼らもあの場所に決めたのは、心霊スポットだから、肝試しをしたいなんて言ってた」
「へえ、どんな心霊スポット?」
憲章が怪談話に興味持つとは知らなかった。
加藤は、「苛められた少女が吸血鬼の仲間になった。それからイジメていた連中が、高熱や赤い斑点が出る病気で死んだ」と、情緒なく伝えた。
「あああ、それかあ」
憲章が一人で頷いている。
「それって、何だよ憲章。知ってたの? この話」
憲章は顎を指で支えながら言う。
「知ってるも何も。それ作ったの僕の後輩。ヤラセの噂だから。イジメなんて止めようねっていう、願いを込めて」
「はあっ? ヤラセ?」
「うん。『イジメダメ絶対!』というキャンペーンしてたんだけど、それに便乗して厚労省の知り合いから、一緒にやろうってお願いされたんだ」
心霊関係の噂を作る?
お国のエライ人たちが?
「こうろうしょう? ああ、休み明けに自死が多いから? 家族や学校も、不登校やイジメに気をつけよう、とか?」
「うん。それは勿論そうなんだけど、それだけじゃなくて」
厚生労働省が文部科学省に首を突っ込むとしたら、あとは……。
感染症か?
「そうそう。まさにそれ。稀になんだけど、あの地域にはダニの噛傷による感染症が報告されていてね。だから、噛まれやすい薄着の季節、要は夏前になると、注意喚起も兼ねた心霊話を流すことにしたんだ」
「観光業を妨害していないか?」
「管轄外だからね、観光は。冬場は厚着になるから大丈夫だし」
なんだソレ。いいのか、それで!
呆れた顔をした加藤に、憲章は言う。
「とはいえ、ほら、心霊スポット巡りが好きな人もいるじゃない。今回の中学生なんかもそれでしょ。だから、妨害にはなってないよ」
「まあ、あの土地には、昔から伝承があるからな。なんというか、『雨月物語』の浅茅が宿の話みたいなのが」
上田秋成作の雨月物語に「浅茅が宿」という話がある。秋になったら帰ると言った、夫を待っていた妻が亡くなってしまい、ようやく帰り着いた夫が一晩、霊魂になった妻と再会する、と言う内容だ。
「へえ、そうなんだ。あ、だから噂の信憑性みたいなのが、出しやすかったんだね」
憲章は爽やかな笑顔になるが、加藤は無表情で、ズズっと珈琲を飲み干した。
そして秋を迎える。
二学期が始まった。
ここ葛城学園の保健室も、これからは毎日二人の養護教諭、即ち白根澤翠子と加藤誠作が在室する。
夏休み中は、夏期特別休暇で不在になるだけでなく、それぞれが研修や養護教諭大会などに出席するため、二人揃って保健室にいることは少ないのだ。
二学期は、健康診断に忙殺される一学期とは違う多忙さが待っている。行事ごとの健康指導や救急対応、あるいは宿泊を伴う帯同が予定されていて、傍で見ているよりも、養護教諭という職種に暇はない。
「あら、せいちゃん、今日はパリッとした服着てるじゃない」
頬に人差し指を当て、白根澤翠子は「うふふ」と笑う。
「今日は職会があるからな。また教頭にウザイことでも言われたら、面倒だし」
白根澤はこの道三十年以上ご随意の超ベテラン。
今夏は都の養護教諭部会から、なんだか良く分からないが表彰されたそうだ。
「長くやってるだけよ」
至って謙虚な白根澤だが、養護教諭としての実力は折り紙つきだ。
だからふと、加藤は訊いてみたくなる。
「あのさ、いわゆる性同一性障害を抱えた生徒の対応って、したことある?」
「あるわよ、何人も」
あっさりと答える白根澤。
「数年前だけど、全国の小学校から高校、特別支援学校まで、文科省の調査依頼があったのよ。性同一性障害について。その時に事例をまとめておいたわ」
「へえ……覚えてないな」
それは調査の実施と報告を、白根澤が一人で行ったからである。
「そもそも、せいちゃんの好きなSDGsにも出てくるでしょ? ジェンダーの平等を実現しようって」
「別に好きってわけじゃ……ああジェンダーに関しては、まあそうだな」
白根澤はパチリと瞳を開く。
「何か、あったのかしら?」
加藤は、ボランティアで中学生の宿泊引率を行って、一人の生徒を病院に連れて行き、ちょっと言動が不安定だった生徒の対応もしたことなどを白根澤に話した。
「それで、不安定だった生徒っていうのが、男子と同じ様な格好して来たんだけど、女子だった。一緒に来た男どもも、同性として扱っていた。それはそれで、双方納得しているなら、問題なかったんだ」
「その生徒さん、女性の身体を持って生まれて、心は男性だったのね」
「うん。その子が言うには、男として扱われているのに、男性を好きになってしまった。どうやら、それが一番辛かったみたいだ」
「そう……。その生徒さん、本当に辛かったでしょうね」
「俺は話を聞くだけで、何も出来なかったよ。日頃、ジェンダーフリーとか、偉そうに生徒に言ってるくせに。……今後はその子の親御さんや、通っている学校の先生とかカウンセラーに、任せるしかないよな」
白根澤は書棚から何冊かの書籍を取り出すと、加藤の前に置いた。
「取り敢えずは、読んでみて」
識者が書いた性自認に関する単行書の他に、文部科学省の性同一性に関する調査結果の冊子もあった。職員会議の時間まで、加藤はパラパラと書籍を眺めた。
その日の午後の職員会議では、いくつかの議題が可決されたのだが、最後の議決で会議が紛糾した。
ちなみに加藤は、長い会議は睡眠確保の時間と割り切っているので、発言も何もせず、椅子の上で腕組みをしたまま寝ていた。
だが、周囲の声は、聞くともなく聞こえて来る。
「いや、いくらなんでも無理だろう」
「しかもよりによって、国立付属の中学からでしょ? 三年生が今の時期に転入なんて、なぜ……」
「ウチは歴史ある、中高一貫校ですよ」
「……そういうタイプなら、やはり共学で、『特別な配慮』を受けた方が……」
紛糾した議題には、こう書いてあった。
「生まれつきの性別は女性であるが、心は男性である生徒が、当学園への編入を希望している件について。その可否を伺う」
当然だが、否定意見が多かった。
この案件は、理事長から持ち込まれたものだという。
「まあ、理事長が全ての責任をお取りになると言うなら……」
「いよいよとなったら、保健室登校でも……」
日和見な声の一つに、加藤は覚醒する。
『保健室』というワードに反応したのかもしれない。
「他に、何か意見はありますかしら?」
理事長が真っすぐに加藤を見ていた。
仕方なく、加藤は挙手する。
校長と教頭は、カマドウマでも見るような目つきをした。
「俺は、許可すべきだと思います。なぜならば……」
一人で三十分以上、加藤はSDGsやらジェンダーフリーやら、人権だとを語り続け、加藤の御高説を聞きたくなくなった教員たちは、諦めて受け入れを認めた。
「では、許可でよろしいですね」
理事長はにっこり。校長教頭はげっそりしていた。
「受け入れる生徒の名前をお伝えいたします。名前は…………」
加藤は大きく伸びをした。
新しい学期は、始まったばかりだ。
了
「お昼まだならレストランでも行く? 虎ノ門か帝国ホテルあたりの」
ニコニコしながら言う憲章に、加藤は全力でお断りをした。
「食って来たから。それに、そういういかにも高そうな場所、イヤだから」
「分かった。相変わらず控えめだね、せいちゃん。じゃあ、珈琲でも飲もうか」
控え目というより、憲章と堅苦しい場所で食事なんて面倒臭いだけなのだが、反論せずに従った。
「それで、今日は何?」
加藤が仏頂面で訊くと、待ってましたとばかりに、憲章は喋り始める。
「ほらほら、この前、引率のボランティアせいちゃんに頼んだじゃない。超高級な虫取り網、買ってあげるからって」
「ああ……」
そう。
一文の得にもならないような、中坊の引率を引き受けたのは、そのためだった。
そして、体調不良になった少年を病院に連れて行って、闇が深そうだったもう一人の子に説教じみた事まで言った。
日々の仕事と変わらないじゃん!
ボランティアの枠を越えてないか?
まあ、目先の欲に釣られた、単なる自業自得かも知れないが。
「それでどうだったか、話を聞きたいと思ったんだ」
いつもならウザイと思って放置する加藤だったが、少し気になることもあったので、珈琲一杯分くらいは付き合おうと思った。
「そうだな、まずは虫取り網買ってもらったから、その報告からだ。あの丘陵地帯は、いろいろなチョウの生息地域なので、朝早くに家を出て、絶滅危惧種とかそれに近い種のクロツバメシジミやシルビアシジミを観察し、マップを作ったよ。あとは……」
なんとかシジミと聞いても、憲章にそれらの蝶々のイメージは湧かないのだが、嬉しそうに加藤が語るので、しばらくニコニコ付き合った。
「それで、俺は先に『少年の家』に着いて、中学生たちが来るのを待っていた。来たのは四人。皆、都内の中高一貫校の生徒だった。線の細いタイプが二人、中肉中背が一人、ガタイの良いのが一人。線の細い、綺麗な顔をしたのがリーダー格だったな」
「うんうん。それで?」
「線の細いコのもう一人が、俺には女子に見えた。男子四人と聞いていたので、あえて訊かなかったよ。残りの三人も男子扱いしていたから」
「ああ、そのコが例の……」
「うん。すぐに分かったよ」
珈琲が冷めてきた。
「中学生の夏の外泊なんて、花火とか怪談とか、そんなもんだろうと思ってた。彼らもあの場所に決めたのは、心霊スポットだから、肝試しをしたいなんて言ってた」
「へえ、どんな心霊スポット?」
憲章が怪談話に興味持つとは知らなかった。
加藤は、「苛められた少女が吸血鬼の仲間になった。それからイジメていた連中が、高熱や赤い斑点が出る病気で死んだ」と、情緒なく伝えた。
「あああ、それかあ」
憲章が一人で頷いている。
「それって、何だよ憲章。知ってたの? この話」
憲章は顎を指で支えながら言う。
「知ってるも何も。それ作ったの僕の後輩。ヤラセの噂だから。イジメなんて止めようねっていう、願いを込めて」
「はあっ? ヤラセ?」
「うん。『イジメダメ絶対!』というキャンペーンしてたんだけど、それに便乗して厚労省の知り合いから、一緒にやろうってお願いされたんだ」
心霊関係の噂を作る?
お国のエライ人たちが?
「こうろうしょう? ああ、休み明けに自死が多いから? 家族や学校も、不登校やイジメに気をつけよう、とか?」
「うん。それは勿論そうなんだけど、それだけじゃなくて」
厚生労働省が文部科学省に首を突っ込むとしたら、あとは……。
感染症か?
「そうそう。まさにそれ。稀になんだけど、あの地域にはダニの噛傷による感染症が報告されていてね。だから、噛まれやすい薄着の季節、要は夏前になると、注意喚起も兼ねた心霊話を流すことにしたんだ」
「観光業を妨害していないか?」
「管轄外だからね、観光は。冬場は厚着になるから大丈夫だし」
なんだソレ。いいのか、それで!
呆れた顔をした加藤に、憲章は言う。
「とはいえ、ほら、心霊スポット巡りが好きな人もいるじゃない。今回の中学生なんかもそれでしょ。だから、妨害にはなってないよ」
「まあ、あの土地には、昔から伝承があるからな。なんというか、『雨月物語』の浅茅が宿の話みたいなのが」
上田秋成作の雨月物語に「浅茅が宿」という話がある。秋になったら帰ると言った、夫を待っていた妻が亡くなってしまい、ようやく帰り着いた夫が一晩、霊魂になった妻と再会する、と言う内容だ。
「へえ、そうなんだ。あ、だから噂の信憑性みたいなのが、出しやすかったんだね」
憲章は爽やかな笑顔になるが、加藤は無表情で、ズズっと珈琲を飲み干した。
そして秋を迎える。
二学期が始まった。
ここ葛城学園の保健室も、これからは毎日二人の養護教諭、即ち白根澤翠子と加藤誠作が在室する。
夏休み中は、夏期特別休暇で不在になるだけでなく、それぞれが研修や養護教諭大会などに出席するため、二人揃って保健室にいることは少ないのだ。
二学期は、健康診断に忙殺される一学期とは違う多忙さが待っている。行事ごとの健康指導や救急対応、あるいは宿泊を伴う帯同が予定されていて、傍で見ているよりも、養護教諭という職種に暇はない。
「あら、せいちゃん、今日はパリッとした服着てるじゃない」
頬に人差し指を当て、白根澤翠子は「うふふ」と笑う。
「今日は職会があるからな。また教頭にウザイことでも言われたら、面倒だし」
白根澤はこの道三十年以上ご随意の超ベテラン。
今夏は都の養護教諭部会から、なんだか良く分からないが表彰されたそうだ。
「長くやってるだけよ」
至って謙虚な白根澤だが、養護教諭としての実力は折り紙つきだ。
だからふと、加藤は訊いてみたくなる。
「あのさ、いわゆる性同一性障害を抱えた生徒の対応って、したことある?」
「あるわよ、何人も」
あっさりと答える白根澤。
「数年前だけど、全国の小学校から高校、特別支援学校まで、文科省の調査依頼があったのよ。性同一性障害について。その時に事例をまとめておいたわ」
「へえ……覚えてないな」
それは調査の実施と報告を、白根澤が一人で行ったからである。
「そもそも、せいちゃんの好きなSDGsにも出てくるでしょ? ジェンダーの平等を実現しようって」
「別に好きってわけじゃ……ああジェンダーに関しては、まあそうだな」
白根澤はパチリと瞳を開く。
「何か、あったのかしら?」
加藤は、ボランティアで中学生の宿泊引率を行って、一人の生徒を病院に連れて行き、ちょっと言動が不安定だった生徒の対応もしたことなどを白根澤に話した。
「それで、不安定だった生徒っていうのが、男子と同じ様な格好して来たんだけど、女子だった。一緒に来た男どもも、同性として扱っていた。それはそれで、双方納得しているなら、問題なかったんだ」
「その生徒さん、女性の身体を持って生まれて、心は男性だったのね」
「うん。その子が言うには、男として扱われているのに、男性を好きになってしまった。どうやら、それが一番辛かったみたいだ」
「そう……。その生徒さん、本当に辛かったでしょうね」
「俺は話を聞くだけで、何も出来なかったよ。日頃、ジェンダーフリーとか、偉そうに生徒に言ってるくせに。……今後はその子の親御さんや、通っている学校の先生とかカウンセラーに、任せるしかないよな」
白根澤は書棚から何冊かの書籍を取り出すと、加藤の前に置いた。
「取り敢えずは、読んでみて」
識者が書いた性自認に関する単行書の他に、文部科学省の性同一性に関する調査結果の冊子もあった。職員会議の時間まで、加藤はパラパラと書籍を眺めた。
その日の午後の職員会議では、いくつかの議題が可決されたのだが、最後の議決で会議が紛糾した。
ちなみに加藤は、長い会議は睡眠確保の時間と割り切っているので、発言も何もせず、椅子の上で腕組みをしたまま寝ていた。
だが、周囲の声は、聞くともなく聞こえて来る。
「いや、いくらなんでも無理だろう」
「しかもよりによって、国立付属の中学からでしょ? 三年生が今の時期に転入なんて、なぜ……」
「ウチは歴史ある、中高一貫校ですよ」
「……そういうタイプなら、やはり共学で、『特別な配慮』を受けた方が……」
紛糾した議題には、こう書いてあった。
「生まれつきの性別は女性であるが、心は男性である生徒が、当学園への編入を希望している件について。その可否を伺う」
当然だが、否定意見が多かった。
この案件は、理事長から持ち込まれたものだという。
「まあ、理事長が全ての責任をお取りになると言うなら……」
「いよいよとなったら、保健室登校でも……」
日和見な声の一つに、加藤は覚醒する。
『保健室』というワードに反応したのかもしれない。
「他に、何か意見はありますかしら?」
理事長が真っすぐに加藤を見ていた。
仕方なく、加藤は挙手する。
校長と教頭は、カマドウマでも見るような目つきをした。
「俺は、許可すべきだと思います。なぜならば……」
一人で三十分以上、加藤はSDGsやらジェンダーフリーやら、人権だとを語り続け、加藤の御高説を聞きたくなくなった教員たちは、諦めて受け入れを認めた。
「では、許可でよろしいですね」
理事長はにっこり。校長教頭はげっそりしていた。
「受け入れる生徒の名前をお伝えいたします。名前は…………」
加藤は大きく伸びをした。
新しい学期は、始まったばかりだ。
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とても楽しく読ませていただきました。ありがとうございます。
翠山都様
お読みくださいまして、ありがとうございます!!
感想、大変嬉しいです(^^)/
おっしゃる通り、謎解き編は言葉足らずで、駆け足だったと思います。トリックも、最初に考えていたものが、諸般の事情で変更したりして、説明不足になってしまいましたm(__)m
折を見て、加筆したいと思っています。
本作を選んでお読みくださいまして、心より感謝申し上げます!!