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10 2人の聖女と偽りの魔王

10ー9 帰ろう!

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 10ー9 帰ろう!

 俺たちが勇者との対決を果たしていた頃、ラダクリフ辺境伯とライディアたちは、飛竜騎士団と共にラダクリフ辺境伯の屋敷を急襲していた。
 この アナトリア公国で最強といわれるラダクリフ辺境伯の飛竜騎士団の前にラダス男爵の私兵たちは、散り散りに逃げ去りラダス男爵は、捕らえられすぐに裁きを受けさせるために首都アルディスへと護送されたのだという。
  「さあ、その石を渡してください、エスメラルダ姫」
 俺は、嫌々と頭を振っている姫に告げた。
 「それは、あなた方が持つには危険すぎる物なんですよ?」
 「それでも」
 エスメラルダ姫は、俺に潤んだ瞳で訴えかけた。
 「これには、私たちにも責任があります!これは、私たち勇者のパーティーの仲間で守るべきではないですか!」
 「しかし」
 言いかけた俺にサハロフとスクルドが頭を下げる。
 「これは、我々が持ち帰りラミアトス王国において管理したいと思う。頼む、トカゲの谷のクロージャー殿!」
 俺は、迷っていたけど、彼らの真摯な姿を見て仕方なく頷いた。
 「この封印石は、あなた方の手で守ってもらいたい」
 俺の言葉にぱぁっとエスメラルダ姫の顔がほころんだ。
 「ありがとう、クロージャー様」
 こうして、勇者の起こした事件は、幕を閉じた。
 マリージアには、平和が戻った。
 街は破壊されていたが、それもじきに修復されることだろう。
 俺たちは、ラダクリフ辺境伯とライディアたちに感謝の宴を開いてもらい存分にもてなされた。
 宴が終わる頃、俺は、リリウスたちにそっと呟いた。
 「さあ、トカゲの谷に帰ろう」
 トカゲの谷に戻る俺たちを惜しみつつもライディアとラダクリフ辺境伯たちは、見送ってくれた。
 もちろん、また、アナトリア公国の首都アルディスの魔法学園での再会を約束して。
 無事にトカゲの谷に戻った俺たちは、トカゲの谷のすべての住民たちから歓迎された。
 魔族も、ダークエルフも、そして、トカゲたちもみな、春の祭りに沸き立った。
 しばらくは、俺たちは、トカゲの谷のお祭りを楽しんだ。
 そして、それが落ち着く頃には、俺たちは、魔法学園へと戻ることを決意した。
 マリージアへと戻ることにしたライドウたちと共に俺とリリウス、エディット、ロナード、それにルウシエは、魔法学園へと復帰するために首都アルディスへと転移魔法で移動した。
 俺たちの功績は、すでに魔法学園にも伝えられていたため、俺たちは、そこでも歓待された。
 俺たちは、事情を考慮され、特別に進級できることになった。
 俺たちは、2年生を飛び級して、この春から3年生になることになった。
 ルウシエとロナードは、無事に魔法学園を卒業することになった。
 ルウシエは、家族の反対を押しきって鍛冶職人になるために家を出た。
 ロナードは、魔法学園のさらに上の学校である魔法院へと進学することになった。
 

 
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