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10 2人の聖女と偽りの魔王

10ー6 新しい魔王ですか?

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 10ー6 新しい魔王ですか?

 勇者の記憶が俺の中へと流れ込んでくる。
 希望と絶望。
 暖かな記憶と、思い出。
 そして、悲しみと無力感。
 だが、どこにも怪しいところはなかった。
 俺は、どんどん勇者の記憶を見ていった。
 それは、突然始まった。
 魔王城を目指して1人旅を続ける勇者の心の中で起きた葛藤。
 行くべきか、行かざるべきか。
 そのとき、誰かが囁いた。
 『お前は、栄光ある勇者だ。こんなことが許されるわけはない』
 そう。
 勇者は思っていた。
 こんなところで力尽きて引き返すなんてできない。
 勇者の心の中を彼が見捨ててきた者たちの思い出がよぎっていく。
 勇者は、やっとの思いで魔王城へとたどり着く。
 そして、魔王城へと入っていったところ辺りから勇者の記憶が途切れていく。
 闇に魂が飲まれていく。
 暗闇。
 そこからマリージアへと勇者が現れるまでの記憶が俺には見えなかった。
 この間に勇者に何があったのか?
 「魔王城で誰かにあったのか?」
 俺は、勇者に訊ねたが勇者は頭を振った。
 「わからないんだ。何も覚えていない」
 マジかよ?
 おそらくそこで勇者は、誰かと出会ったのだ。
 その誰かに操られていたのか?
 俺は、なんとかして魔王城に入ってからの勇者の記憶を覗こうとした。
 すると、勇者の様子に異変が起きた。
 「人の記憶を覗き見るとは、つくづく悪趣味なトカゲだな」
 勇者が暗い眼差しで俺のことを見上げた。
 「俺の頭の中から出ていけ!このちびトカゲが!」
 「お前は、誰だ?」
 俺は、そいつにきいた。
 「なんのために勇者の中に入り込んでいる?」
 「俺か?俺は」
 勇者が低い声で囁くように告げた。
 「俺は、お前たちの知らぬもの。遠い昔から存在する者。俺のことをかつての者たちは『悠久の虚』と呼んだ」
 それは、続けた。
 「俺は、勇者でありそして、同時に新しい魔王でもある」
 勇者の姿のそれは俺たちに話した。
 「俺こそは、この世界を滅ぼすもの。この世界の終末だ」
 マジですか?
 俺は、自分の体に刻まれた『魔王紋』が焼けつく様に熱くなるのを感じていた。
 こいつが新しい魔王?
 どういうこと?
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