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3 トカゲの谷と生け贄の姫
3ー4 生け贄ですか?
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3ー4 生け贄ですか?
春がきた。
俺たちは、畑を耕したり種をまいたりと忙しくなる。
それに、俺とリリウスにとっては、ライディアとの約束の日が近付いていた。
俺たちは、毎日、することがいっぱいあって仕事に追われていた。
そんな頃のことだ。
事件は起こった。
ある日のことだ。
良く晴れた日で、俺たちは、みな総出で田畑で働いていた。
そんな折りに、いきなり崖の上から何かが降ってきた。
一応、魔物の襲撃に備えて結界を張っていたので、俺は、すぐにそれに気がついた。
俺は、覚えたばかりの飛行魔法で空を飛んで確認に向かった。
崖の下に広がる森の大きな木の枝にそれは引っ掛かっていた。
それは、一人の少女だった。
木の枝に引っ掛かっていたおかげで命は助かっていたが、全身酷い怪我だった。
俺は、持っていたエリクサーを少女に飲ませた。
気を失っていたが整った顔立ちの美しい少女だ。
長いはちみつ色の髪が光にきらきらと輝いていた。
俺は、その少女をクローディア母さんに任せることにした。
少女は、数日眠り続けた。
数日後、目覚めた少女のもとを訪ねると、少女は、クローディア母さんのおかげですっかり元気になっていた。
少女の名は、エディットといった。
「私は、カトラーシュ王国の王の娘、エディット・オ・カトラーシュと申します」
なんでも、エディットの国では、100年に一度、トカゲの谷に未婚の少女を捧げることになっているのだとか。
マジですか?
このことは、ティミストリ父さんも知らなかった。
トカゲの一生は、そんなに長くはないからな。
みんな、100年も前のことなんて知らないし。
でも、そんな危険な風習は、すぐにやめてほしい。
俺は、エディットに頼んだ。
「トカゲの谷には、もうトカゲはいないから、そういうのは必要ない。国に帰ってそう、みんなに伝えてほしい」
だが、俺がそう言うとエディットが泣き出してしまった。
どういうこと?
クローディア母さんがなだめて、やさしい言葉をかけるとやっとエディットは、落ち着いた。
エディットがクローディア母さんに話したことによると、どうやらエディットの国では、俺たちトカゲ族を災いの神として恐れているのだという。
それで、100年に一度、王の娘を捧げて鎮めるのだ。
「トカゲ神に一度捧げられた者は、もう帰ることは許されません」
エディットがクローディア母さんに伝えた。
「どうか、私をここに置いてください」
仕方なく、俺たちは、エディットを受け入れることにした。
というか、クローディア母さんがエディットを気に入ってしまったのだ。
「やっぱり、女の子はいいわぁ」
クローディア母さんは、エディットをそばに置いてかいがいしく世話を焼いていた。
エディットもクローディア母さんのことを実の母親のように慕うようになっていた。
春がきた。
俺たちは、畑を耕したり種をまいたりと忙しくなる。
それに、俺とリリウスにとっては、ライディアとの約束の日が近付いていた。
俺たちは、毎日、することがいっぱいあって仕事に追われていた。
そんな頃のことだ。
事件は起こった。
ある日のことだ。
良く晴れた日で、俺たちは、みな総出で田畑で働いていた。
そんな折りに、いきなり崖の上から何かが降ってきた。
一応、魔物の襲撃に備えて結界を張っていたので、俺は、すぐにそれに気がついた。
俺は、覚えたばかりの飛行魔法で空を飛んで確認に向かった。
崖の下に広がる森の大きな木の枝にそれは引っ掛かっていた。
それは、一人の少女だった。
木の枝に引っ掛かっていたおかげで命は助かっていたが、全身酷い怪我だった。
俺は、持っていたエリクサーを少女に飲ませた。
気を失っていたが整った顔立ちの美しい少女だ。
長いはちみつ色の髪が光にきらきらと輝いていた。
俺は、その少女をクローディア母さんに任せることにした。
少女は、数日眠り続けた。
数日後、目覚めた少女のもとを訪ねると、少女は、クローディア母さんのおかげですっかり元気になっていた。
少女の名は、エディットといった。
「私は、カトラーシュ王国の王の娘、エディット・オ・カトラーシュと申します」
なんでも、エディットの国では、100年に一度、トカゲの谷に未婚の少女を捧げることになっているのだとか。
マジですか?
このことは、ティミストリ父さんも知らなかった。
トカゲの一生は、そんなに長くはないからな。
みんな、100年も前のことなんて知らないし。
でも、そんな危険な風習は、すぐにやめてほしい。
俺は、エディットに頼んだ。
「トカゲの谷には、もうトカゲはいないから、そういうのは必要ない。国に帰ってそう、みんなに伝えてほしい」
だが、俺がそう言うとエディットが泣き出してしまった。
どういうこと?
クローディア母さんがなだめて、やさしい言葉をかけるとやっとエディットは、落ち着いた。
エディットがクローディア母さんに話したことによると、どうやらエディットの国では、俺たちトカゲ族を災いの神として恐れているのだという。
それで、100年に一度、王の娘を捧げて鎮めるのだ。
「トカゲ神に一度捧げられた者は、もう帰ることは許されません」
エディットがクローディア母さんに伝えた。
「どうか、私をここに置いてください」
仕方なく、俺たちは、エディットを受け入れることにした。
というか、クローディア母さんがエディットを気に入ってしまったのだ。
「やっぱり、女の子はいいわぁ」
クローディア母さんは、エディットをそばに置いてかいがいしく世話を焼いていた。
エディットもクローディア母さんのことを実の母親のように慕うようになっていた。
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