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1 進化の実と『渡り人』
1ー8 女神様?
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1ー8 女神様?
俺は、翌日、森へと出掛けて行った。
あのピッカリンコの木をなんとか村へと移動させるためだ。
だって、あんな危険なもの放置できないだろ?
間違えてとんでもないものを進化させちゃったらまずい。
だけど。
ピッカリンコの木は、どこを探しても見つからなかった。
代わりに小さな石板を一枚拾った。
なんか、どこかで見たことがあるような形だ。
俺は、それを拾い上げるとじっと凝視した。
と、突然、石板から誰かの声が聞こえてきた。
「異世界からの転生者よ。私からの贈り物を無事に受け取ってくれたようですね」
はい?
俺は、はっと気づいた。
これ、スマホ、だ。
俺は、石板を耳にあてえると訊ねた。
「誰ですか?」
「私は、この世界の女神アマルティス」
ほぇっ!
俺は、もう少しで石板を取り落とすところだった。
「女神様、ですか?」
驚いている俺に女神様は続ける。
「実は、こちらの手違いであなたを人でなくトカゲに転生させてしまったので、そのお詫びに特別に進化の実を贈ったのです」
マジですか?
でも、そのせいで巻き込まれたトカゲたちにとっては必ずしもそれが幸せだったのかどうかは疑問だ。
なんか、申し訳ない。
「これからも見守っているので、がんばって生き抜いてくださいね」
女神様は、そう言うと通信を終えた。
俺は、静かになった石板を手にはぁっと深いため息をついた。
なんか、勝手だな。
まあ、神様なんてそんなもんか。
俺は、その石板を村へと持ち帰った。
この話をきいたティミストリ父さんとクローディア母さんたちは、この石板をもともと俺たちの住んでいた洞窟に祭壇を作って奉った。
これが、俺たちの神様になったわけだ。
ところで、俺たちの村は、回りを切り立った崖に囲まれた窪地にあるわけだった。
今まではトカゲだったのでそれでも不自由なかったのだが、ヒト化した今では、ずいぶんと不便になってしまった。
それにこのままでは、またいつ食糧難になるかもしれないし、上から魔物に攻撃されたらまずい。
いまのところこの切り立った崖を降りてくる魔物なんていないからいいけど、いつ、何が起きるかわかったもんじゃない。
できればもっと広くて畑とか作れるような土地に村を移したい。
だけど、それには、他の連中が反対した。
いわく、昔から住んでいる土地を守っていくべきだと。
どうするべきか悩んでいる俺に
ティミストリ父さんが申し分けなさげに告げた。
「ここは、昔から我々の 住みかだった。いくら狭いからといってもここから動きたくないというみなの気持ちも察してやってくれ、クロージャー」
うん?
狭い?
俺は、ティミストリ父さんの言葉にはっと気づいた。
狭ければ拡げたらいいじゃないか!
俺は、翌日、森へと出掛けて行った。
あのピッカリンコの木をなんとか村へと移動させるためだ。
だって、あんな危険なもの放置できないだろ?
間違えてとんでもないものを進化させちゃったらまずい。
だけど。
ピッカリンコの木は、どこを探しても見つからなかった。
代わりに小さな石板を一枚拾った。
なんか、どこかで見たことがあるような形だ。
俺は、それを拾い上げるとじっと凝視した。
と、突然、石板から誰かの声が聞こえてきた。
「異世界からの転生者よ。私からの贈り物を無事に受け取ってくれたようですね」
はい?
俺は、はっと気づいた。
これ、スマホ、だ。
俺は、石板を耳にあてえると訊ねた。
「誰ですか?」
「私は、この世界の女神アマルティス」
ほぇっ!
俺は、もう少しで石板を取り落とすところだった。
「女神様、ですか?」
驚いている俺に女神様は続ける。
「実は、こちらの手違いであなたを人でなくトカゲに転生させてしまったので、そのお詫びに特別に進化の実を贈ったのです」
マジですか?
でも、そのせいで巻き込まれたトカゲたちにとっては必ずしもそれが幸せだったのかどうかは疑問だ。
なんか、申し訳ない。
「これからも見守っているので、がんばって生き抜いてくださいね」
女神様は、そう言うと通信を終えた。
俺は、静かになった石板を手にはぁっと深いため息をついた。
なんか、勝手だな。
まあ、神様なんてそんなもんか。
俺は、その石板を村へと持ち帰った。
この話をきいたティミストリ父さんとクローディア母さんたちは、この石板をもともと俺たちの住んでいた洞窟に祭壇を作って奉った。
これが、俺たちの神様になったわけだ。
ところで、俺たちの村は、回りを切り立った崖に囲まれた窪地にあるわけだった。
今まではトカゲだったのでそれでも不自由なかったのだが、ヒト化した今では、ずいぶんと不便になってしまった。
それにこのままでは、またいつ食糧難になるかもしれないし、上から魔物に攻撃されたらまずい。
いまのところこの切り立った崖を降りてくる魔物なんていないからいいけど、いつ、何が起きるかわかったもんじゃない。
できればもっと広くて畑とか作れるような土地に村を移したい。
だけど、それには、他の連中が反対した。
いわく、昔から住んでいる土地を守っていくべきだと。
どうするべきか悩んでいる俺に
ティミストリ父さんが申し分けなさげに告げた。
「ここは、昔から我々の 住みかだった。いくら狭いからといってもここから動きたくないというみなの気持ちも察してやってくれ、クロージャー」
うん?
狭い?
俺は、ティミストリ父さんの言葉にはっと気づいた。
狭ければ拡げたらいいじゃないか!
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