異世界に転生したもののトカゲでしたが、進化の実を食べて魔王になりました。

1 進化の実と『渡り人』

1ー5 服を作ろう！

　１ー５　服を作ろう！

　「大丈夫。怖くないよ」
　俺は、みんなに呼び掛けた。
　だが、みな、怯えて近寄ろうとはしない。
　「これは、暖かいな」
　父さんが俺の側によると炎に手をかざした。母さんも、同じように炎に近付いた。
　それを見て他の連中も恐る恐る炎に近づき暖をとりだした。
　俺は、それを見て頷きながら炎に手をかざした。
　次は、服をなんとかしなくては。
　俺たちは、まだ産まれたままの格好で過ごしていた。
　みんな、それをなんとも思っていないようだったが、俺は、目のやり場にこまっていたし、何より子供の体とはいえ恥ずかしかった。
　俺は、ステイタスの中の魔法書『スキルイーター』というものを調べることにした。
　俺が魔法書『スキルイーター』を思い浮かべるとぼん、と目の前に分厚いちょっとした鈍器並みの本が現れた。
　俺は、本を抱えるとページをめくってみた。
　途中にページが明るく輝いている場は所があったのでそこを開いてみる。
　その場所には、レッドスパイダーの糸を使って布を作る魔法と縫製魔法が載っていた。
　レッドスパイダーというのは、お尻の部分が赤い蜘蛛でこの洞窟にもたくさん住みついている中型の大人しい魔物だ。
　俺は、すぐにレッドスパイダーを何匹か探し出すとその糸を使って布を作ってみた。
　母さんが蜘蛛を相手に俺がモゾモゾしていると興味深げに覗き込んできた。
　俺は、糸に集中して布に編み上がっていく様をイメージした。
　するとたちまち白い滑らかな絹のような布が織り上がっていく。
　俺は、ある程度布ができると、縫製魔法でまず、母さんに服を作ってみた。
　白いワンピースのような服が出来上がったので、それを母さんに渡して着るように促す。
　母さんは、それを頭から被るとすらっとした白い腕を通した。
　すごく似合っていて、可愛らしい。
　でも、母さんは、なんだか微妙な表情を浮かべている。
　うん、そうだよね。
　俺たちトカゲは、服を着る習慣なんてなかったもんね。
　でも、もうトカゲじゃないし服は着てほしい。
　目のやり場に困るしね！
　俺は、次々と他の連中の分も服を作っていった。
　なんとなく前世で見たことがあるどこかの民族衣裳のようなデザインの服が出来上がっていって、それをみんなに着てもらう。