2 / 121
1 進化の実と『渡り人』
1ー2 進化の実?
しおりを挟む
1ー2 進化の実?
「母さん、大丈夫。大丈夫だよ」
俺は、そう言うとその首の辺りに少し赤っぽい差し色のある小さめのトカゲに向かって手を伸ばした。
母さんトカゲは、俺にそっとよってくると俺の手に頭を擦り寄せてきた。
「ぐるる」
俺は、母さんトカゲの背を優しく撫でながら声をかけた。
「母さん、俺、大丈夫だから」
なんで、こんなことになったのか。
それは、俺たちが食糧難だったことが原因だった。
俺たちの住む土地は、痩せていて、食べるものがあまりなかった。
だから、俺たちは、森を越えて遠くの人間たちの村へと食料を求めて旅しなくてはならなかった。
だが、人の村に行くのは危険が多い。
毎回、多くの仲間たちが人間の手で殺されていた。
俺は、まだ子供トカゲだったから今まで遠征には行ったことがなかった。今回の遠征から初めて加わった。
そして、森の途中で俺は、それを見つけてしまったのだ。
それは、ピッカリンコと輝く金色の木の実のなる奇妙な木だった。
その暗い森の中でもその木だけはイルミネーションのように輝いていたが、俺の仲間のトカゲたちは誰もそれに近寄ろうとはしなかった。
だが、俺は、ついついその実のおいしそうな匂いにつられて近付いてしまった。
そして、その黄金色に輝く木の実をパクッと口にしてしまった。
とにかく、すごく旨かったことを覚えている。
その木の実は、甘くて、口に含むと溶けるように消えていった。
夢のようにおいしかった。
その後は、今に続くというわけだった。
俺は、トカゲから竜人へと進化してしまい、そして、転生前の記憶を思い出したのだった。
俺は、抱き締めていた母さんトカゲにピッカリンコの実を一つ拾い上げると差し出した。
「食べて、母さん」
それは、ひとりぼっちになって寂しかったからかもしれない。
母さんたちの言葉も理解できなくなって、俺は、どうすればいいのかわからなくなっていたんだ。
母さんトカゲは、俺が差し出した木の実を戸惑いながらも口にした。
そして。
母さんトカゲの体がピッカリンコと黄金の光に包まれたかと思うと、その場に金髪に白い肌の、美しい青い瞳をした女の人が現れた。
「私の子!」
俺と母さんは、裸のまま抱き合った。
俺は、柔らかい母さんの体に抱き締められて、なんだか、恥ずかしいような気持ちになっていた。
「母さん、大丈夫。大丈夫だよ」
俺は、そう言うとその首の辺りに少し赤っぽい差し色のある小さめのトカゲに向かって手を伸ばした。
母さんトカゲは、俺にそっとよってくると俺の手に頭を擦り寄せてきた。
「ぐるる」
俺は、母さんトカゲの背を優しく撫でながら声をかけた。
「母さん、俺、大丈夫だから」
なんで、こんなことになったのか。
それは、俺たちが食糧難だったことが原因だった。
俺たちの住む土地は、痩せていて、食べるものがあまりなかった。
だから、俺たちは、森を越えて遠くの人間たちの村へと食料を求めて旅しなくてはならなかった。
だが、人の村に行くのは危険が多い。
毎回、多くの仲間たちが人間の手で殺されていた。
俺は、まだ子供トカゲだったから今まで遠征には行ったことがなかった。今回の遠征から初めて加わった。
そして、森の途中で俺は、それを見つけてしまったのだ。
それは、ピッカリンコと輝く金色の木の実のなる奇妙な木だった。
その暗い森の中でもその木だけはイルミネーションのように輝いていたが、俺の仲間のトカゲたちは誰もそれに近寄ろうとはしなかった。
だが、俺は、ついついその実のおいしそうな匂いにつられて近付いてしまった。
そして、その黄金色に輝く木の実をパクッと口にしてしまった。
とにかく、すごく旨かったことを覚えている。
その木の実は、甘くて、口に含むと溶けるように消えていった。
夢のようにおいしかった。
その後は、今に続くというわけだった。
俺は、トカゲから竜人へと進化してしまい、そして、転生前の記憶を思い出したのだった。
俺は、抱き締めていた母さんトカゲにピッカリンコの実を一つ拾い上げると差し出した。
「食べて、母さん」
それは、ひとりぼっちになって寂しかったからかもしれない。
母さんたちの言葉も理解できなくなって、俺は、どうすればいいのかわからなくなっていたんだ。
母さんトカゲは、俺が差し出した木の実を戸惑いながらも口にした。
そして。
母さんトカゲの体がピッカリンコと黄金の光に包まれたかと思うと、その場に金髪に白い肌の、美しい青い瞳をした女の人が現れた。
「私の子!」
俺と母さんは、裸のまま抱き合った。
俺は、柔らかい母さんの体に抱き締められて、なんだか、恥ずかしいような気持ちになっていた。
0
お気に入りに追加
438
あなたにおすすめの小説
辺境の契約魔法師~スキルと知識で異世界改革~
有雲相三
ファンタジー
前世の知識を保持したまま転生した主人公。彼はアルフォンス=テイルフィラーと名付けられ、辺境伯の孫として生まれる。彼の父フィリップは辺境伯家の長男ではあるものの、魔法の才に恵まれず、弟ガリウスに家督を奪われようとしていた。そんな時、アルフォンスに多彩なスキルが宿っていることが発覚し、事態が大きく揺れ動く。己の利権保守の為にガリウスを推す貴族達。逆境の中、果たして主人公は父を当主に押し上げることは出来るのか。
主人公、アルフォンス=テイルフィラー。この世界で唯一の契約魔法師として、後に世界に名を馳せる一人の男の物語である。
ただしい異世界の歩き方!
空見 大
ファンタジー
人生の内長い時間を病床の上で過ごした男、田中翔が心から望んでいたのは自由な世界。
未踏の秘境、未だ食べたことのない食べ物、感じたことのない感覚に見たことのない景色。
未だ知らないと書いて未知の世界を全身で感じることこそが翔の夢だった。
だがその願いも虚しくついにその命の終わりを迎えた翔は、神から新たな世界へと旅立つ権利を与えられる。
翔が向かった先の世界は全てが起こりうる可能性の世界。
そこには多種多様な生物や環境が存在しており、地球ではもはや全て踏破されてしまった未知が溢れかえっていた。
何者にも縛られない自由な世界を前にして、翔は夢に見た世界を生きていくのだった。
一章終了まで毎日20時台更新予定
読み方はただしい異世界(せかい)の歩き方です
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
最弱クラスと言われている死霊術師、前世記憶でサブサブクラスまで得て最強無敵になる~最強ネクロマンサーは全てを蹂躙する~
榊与一
ファンタジー
ある日突然、ユーリは前世の記憶を思い出す。
そして気づく。
今いる場所が、自分がやり込んでいたヘブンスオンラインというゲームに瓜二つである事に。
この物語は最弱職と言われる死霊術師クラスで生まれて来たユーリが、前世廃知識を使って最強のネクロマンサーに昇り詰める物語である。
器用さんと頑張り屋さんは異世界へ 〜魔剣の正しい作り方〜
白銀六花
ファンタジー
理科室に描かれた魔法陣。
光を放つ床に目を瞑る器用さんと頑張り屋さん。
目を開いてみればそこは異世界だった!
魔法のある世界で赤ちゃん並みの魔力を持つ二人は武器を作る。
あれ?武器作りって楽しいんじゃない?
武器を作って素手で戦う器用さんと、武器を振るって無双する頑張り屋さんの異世界生活。
なろうでも掲載中です。
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~
未来人A
ファンタジー
主人公、田宮シンジは妹のアカネ、弟のアオバと共に異世界に転移した。
待っていたのは皇帝の命令で即刻処刑されるという、理不尽な仕打ち。
シンジはアンデッドを自分の配下にし、従わせることの出来る『死霊王』というスキルを死後開花させる。
アンデッドとなったシンジは自分とアカネ、アオバを殺した帝国へ復讐を誓う。
死霊王のスキルを駆使して徐々に配下を増やし、アンデッドの軍団を作り上げていく。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる