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8 最果ての国へ(5)

8ー7 優しさ

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 8ー7 優しさ

 アルカザルク王国からブルーベル王国までは馬車で1週間ほどの旅だった。
 馬車の手配などは、ローラさんがしてくれていたのですぐに旅立てる筈だったがグリフォン様の都合で私たちはしばらくこのラントルツォに留まることになった。
 なんでもローラさんの実のお兄さんでありモンテローザ王国の次期国王であるラムジィード王太子が会いに来られるとか。
 確か、モンテローザ王国とアルカザルク王国とブルーベル王国は、三国同盟を結んでいた筈。
 でも、モンテローザ王国とアルカザルク王国は、ブルーベル王国が魔物に滅ぼされたとき何の手助けもしなかったらしい。
 もともとこの三国は、最果ての地に存在する小国であったから、魔物に攻められたときのためにそういった同盟を結んでいたのになぜ、この二国はブルーベル王国を見捨てたのか。
 グリフォン様は、裏切った人々を責めるつもりはない様だったがローラさんは、とても気に病んでいた。
 それというのも、グリフォン様が婚約を解消されたのは国がブルーベルを裏切ったからではないか、と思っているからだった。
 そのために偽の婚約者まで用意したのでは、というのがローラさんの考えだった。
 当たらずとも遠からず。
 確かに私は、ローラさんとの婚約をきっぱりと断るためにグリフォン様に頼まれて婚約者のふりをしているわけだ。
 だけど。
 グリフォン様がそうまでしてローラさんを遠ざけようとするのはいろいろと理由があるような気がする。
 その内の一つが、今回の最果てへの旅だ。
 この旅は、危険な旅なのだ。
 いくらグリフォン様とはいえ無事に帰れる保証はなかった。
 だから、ローラさんにきっぱりくっきりと別れを告げておこうと考えているのかも。
 ローラさんに幸せになってもらうために。
 きっと、これがグリフォン様なりの優しさなのだ。
 私は、グリフォン様に頼まれてラムジィード王太子と会うときに同席することになった。
 もちろん、婚約者としてだ。
 そして、『精霊の器』を持つものとして。
 
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