85 / 109
8 最果ての国へ(5)
8ー7 優しさ
しおりを挟む
8ー7 優しさ
アルカザルク王国からブルーベル王国までは馬車で1週間ほどの旅だった。
馬車の手配などは、ローラさんがしてくれていたのですぐに旅立てる筈だったがグリフォン様の都合で私たちはしばらくこのラントルツォに留まることになった。
なんでもローラさんの実のお兄さんでありモンテローザ王国の次期国王であるラムジィード王太子が会いに来られるとか。
確か、モンテローザ王国とアルカザルク王国とブルーベル王国は、三国同盟を結んでいた筈。
でも、モンテローザ王国とアルカザルク王国は、ブルーベル王国が魔物に滅ぼされたとき何の手助けもしなかったらしい。
もともとこの三国は、最果ての地に存在する小国であったから、魔物に攻められたときのためにそういった同盟を結んでいたのになぜ、この二国はブルーベル王国を見捨てたのか。
グリフォン様は、裏切った人々を責めるつもりはない様だったがローラさんは、とても気に病んでいた。
それというのも、グリフォン様が婚約を解消されたのは国がブルーベルを裏切ったからではないか、と思っているからだった。
そのために偽の婚約者まで用意したのでは、というのがローラさんの考えだった。
当たらずとも遠からず。
確かに私は、ローラさんとの婚約をきっぱりと断るためにグリフォン様に頼まれて婚約者のふりをしているわけだ。
だけど。
グリフォン様がそうまでしてローラさんを遠ざけようとするのはいろいろと理由があるような気がする。
その内の一つが、今回の最果てへの旅だ。
この旅は、危険な旅なのだ。
いくらグリフォン様とはいえ無事に帰れる保証はなかった。
だから、ローラさんにきっぱりくっきりと別れを告げておこうと考えているのかも。
ローラさんに幸せになってもらうために。
きっと、これがグリフォン様なりの優しさなのだ。
私は、グリフォン様に頼まれてラムジィード王太子と会うときに同席することになった。
もちろん、婚約者としてだ。
そして、『精霊の器』を持つものとして。
アルカザルク王国からブルーベル王国までは馬車で1週間ほどの旅だった。
馬車の手配などは、ローラさんがしてくれていたのですぐに旅立てる筈だったがグリフォン様の都合で私たちはしばらくこのラントルツォに留まることになった。
なんでもローラさんの実のお兄さんでありモンテローザ王国の次期国王であるラムジィード王太子が会いに来られるとか。
確か、モンテローザ王国とアルカザルク王国とブルーベル王国は、三国同盟を結んでいた筈。
でも、モンテローザ王国とアルカザルク王国は、ブルーベル王国が魔物に滅ぼされたとき何の手助けもしなかったらしい。
もともとこの三国は、最果ての地に存在する小国であったから、魔物に攻められたときのためにそういった同盟を結んでいたのになぜ、この二国はブルーベル王国を見捨てたのか。
グリフォン様は、裏切った人々を責めるつもりはない様だったがローラさんは、とても気に病んでいた。
それというのも、グリフォン様が婚約を解消されたのは国がブルーベルを裏切ったからではないか、と思っているからだった。
そのために偽の婚約者まで用意したのでは、というのがローラさんの考えだった。
当たらずとも遠からず。
確かに私は、ローラさんとの婚約をきっぱりと断るためにグリフォン様に頼まれて婚約者のふりをしているわけだ。
だけど。
グリフォン様がそうまでしてローラさんを遠ざけようとするのはいろいろと理由があるような気がする。
その内の一つが、今回の最果てへの旅だ。
この旅は、危険な旅なのだ。
いくらグリフォン様とはいえ無事に帰れる保証はなかった。
だから、ローラさんにきっぱりくっきりと別れを告げておこうと考えているのかも。
ローラさんに幸せになってもらうために。
きっと、これがグリフォン様なりの優しさなのだ。
私は、グリフォン様に頼まれてラムジィード王太子と会うときに同席することになった。
もちろん、婚約者としてだ。
そして、『精霊の器』を持つものとして。
6
お気に入りに追加
1,238
あなたにおすすめの小説
前世は大聖女でした。今世では普通の令嬢として泣き虫騎士と幸せな結婚をしたい!
月(ユエ)/久瀬まりか
ファンタジー
伯爵令嬢アイリス・ホールデンには前世の記憶があった。ロラン王国伝説の大聖女、アデリンだった記憶が。三歳の時にそれを思い出して以来、聖女のオーラを消して生きることに全力を注いでいた。だって、聖女だとバレたら恋も出来ない一生を再び送ることになるんだもの!
一目惚れしたエドガーと婚約を取り付け、あとは来年結婚式を挙げるだけ。そんな時、魔物討伐に出発するエドガーに加護を与えたことから聖女だということがバレてしまい、、、。
今度こそキスから先を知りたいアイリスの願いは叶うのだろうか?
※第14回ファンタジー大賞エントリー中。投票、よろしくお願いいたします!!
やり直し令嬢の備忘録
西藤島 みや
ファンタジー
レイノルズの悪魔、アイリス・マリアンナ・レイノルズは、皇太子クロードの婚約者レミを拐かし、暴漢に襲わせた罪で塔に幽閉され、呪詛を吐いて死んだ……しかし、その呪詛が余りに強かったのか、10年前へと再び蘇ってしまう。
これを好機に、今度こそレミを追い落とそうと誓うアイリスだが、前とはずいぶん違ってしまい……
王道悪役令嬢もの、どこかで見たようなテンプレ展開です。ちょこちょこ過去アイリスの残酷描写があります。
また、外伝は、ざまあされたレミ嬢視点となりますので、お好みにならないかたは、ご注意のほど、お願いします。
伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦
未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?!
痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。
一体私が何をしたというのよーっ!
驚愕の異世界転生、始まり始まり。
へぇ。美的感覚が違うんですか。なら私は結婚しなくてすみそうですね。え?求婚ですか?ご遠慮します
如月花恋
ファンタジー
この世界では女性はつり目などのキツい印象の方がいいらしい
全くもって分からない
転生した私にはその美的感覚が分からないよ
転生者だからって無条件に幸せになれると思うな。巻き込まれるこっちは迷惑なんだ、他所でやれ!!
柊
ファンタジー
「ソフィア・グラビーナ!」
卒業パーティの最中、突如響き渡る声に周りは騒めいた。
よくある断罪劇が始まる……筈が。
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。
【完結】君を愛することはないと言われた侯爵令嬢が猫ちゃんを拾ったら~義母と義妹の策略でいわれなき冤罪に苦しむ私が幸せな王太子妃になるまで~
綾森れん
ファンタジー
侯爵令嬢ロミルダは王太子と婚約している。王太子は容姿こそ美しいが冷徹な青年。
ロミルダは茶会の折り王太子から、
「君を愛することはない」
と宣言されてしまう。
だが王太子は、悪い魔女の魔法で猫の姿にされてしまった。
義母と義妹の策略で、ロミルダにはいわれなき冤罪がかけられる。国王からの沙汰を待つ間、ロミルダは一匹の猫(実は王太子)を拾った。
優しい猫好き令嬢ロミルダは、猫になった王太子を彼とは知らずにかわいがる。
ロミルダの愛情にふれて心の厚い氷が解けた王太子は、ロミルダに夢中になっていく。
魔法が解けた王太子は、義母と義妹の処罰を決定すると共に、ロミルダを溺愛する。
これは「愛することはない」と宣言された令嬢が、持ち前の前向きさと心優しさで婚約者を虜にし、愛されて幸せになる物語である。
【第16回恋愛小説大賞参加中です。投票で作品を応援お願いします!】
※他サイトでも『猫殿下とおっとり令嬢 ~君を愛することはないなんて嘘であった~ 冤罪に陥れられた侯爵令嬢が猫ちゃんを拾ったら幸せな王太子妃になりました!?』のタイトルで掲載しています。
結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤
凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。
幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。
でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです!
ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?
水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?
ラララキヲ
ファンタジー
わたくしは出来損ない。
誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。
それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。
水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。
そんなわたくしでも期待されている事がある。
それは『子を生むこと』。
血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……
政略結婚で決められた婚約者。
そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。
婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……
しかし……──
そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。
前世の記憶、前世の知識……
わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……
水魔法しか使えない出来損ない……
でも水は使える……
水……水分……液体…………
あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?
そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──
【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】
【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】
【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる