74 / 109
7 最果ての国へ(4)
7ー6 異国の地
しおりを挟む
7ー6 異国の地
それから数日後。
船は、無事にラントルツォの港へと到着した。
「港が見えたぞ!」
誰かが叫ぶ声がきこえて私たちは、甲板へと急いだ。
「わぁっ!」
私は、思わず立ち尽くした。
遠くに緑が広がっていくのが見えた。
北の地であるアルカザルク王国は、農作物が豊富に作られている農耕の国だ。
ずっとずっと遠くまで果てしなく続く緑の大地に私の胸は高鳴った。
「アルカザルク王国は、この港で行う貿易でも有名なんだ」
グリフォン様が私の耳元で囁いた。
「国で作られる豊富な農作物やらの産物をこの港から世界各地へと届けている」
私は、異国情緒に溢れるラントルツォの港の光景に目を奪われていた。
石壁に沿って広がっている美しい街並み。
そして、イグニス王国では見かけることのあまりなかった獣人たち。
「この国には、獣人の方がたくさんすんでいるのですか?」
「アルカザルク王国は、モンテローザ王国の同盟国だ。国民の中には獣人も多いだろうな」
グリフォン様が私に教えてくれる。
「本当は、その2国にブルーベル王国が加わって三国同盟を築いていたんだ」
「でも、この二国は、土壇場でブルーベル王国のことを裏切ったのでしたわね」
ラッシーを抱いたリリアさんがにっと笑ったのを見て、グリフォン様の顔色が変わる。
「裏切ってなどない!あのときは、仕方がなかったんだ。ブルーベルを救おうとすれば他の国々までもが魔族に狙われたかもしれんのだ!もし、魔族に攻められていたら人の国などひとたまりもない!」
それからグリフォン様は、黙り込むと客室へと戻り荷物をまとめた。
私たちも。
グリフォン様は、うつむいたままだった。
私は、声をかけることもできないまま船を降りた。
港の雑踏の中を歩いていく私たち一行の前にその少女は現れた。
「グリフォン兄様!」
そう呼ぶと少女は、グリフォン様の胸元へと飛び込んできた。
なんですのん?
「やめないか!ローラ」
グリフォン様が困惑した様子で言うとローラは顔を上げて微笑んだ。
「だって、やっと兄様に会えたんですもの」
それから数日後。
船は、無事にラントルツォの港へと到着した。
「港が見えたぞ!」
誰かが叫ぶ声がきこえて私たちは、甲板へと急いだ。
「わぁっ!」
私は、思わず立ち尽くした。
遠くに緑が広がっていくのが見えた。
北の地であるアルカザルク王国は、農作物が豊富に作られている農耕の国だ。
ずっとずっと遠くまで果てしなく続く緑の大地に私の胸は高鳴った。
「アルカザルク王国は、この港で行う貿易でも有名なんだ」
グリフォン様が私の耳元で囁いた。
「国で作られる豊富な農作物やらの産物をこの港から世界各地へと届けている」
私は、異国情緒に溢れるラントルツォの港の光景に目を奪われていた。
石壁に沿って広がっている美しい街並み。
そして、イグニス王国では見かけることのあまりなかった獣人たち。
「この国には、獣人の方がたくさんすんでいるのですか?」
「アルカザルク王国は、モンテローザ王国の同盟国だ。国民の中には獣人も多いだろうな」
グリフォン様が私に教えてくれる。
「本当は、その2国にブルーベル王国が加わって三国同盟を築いていたんだ」
「でも、この二国は、土壇場でブルーベル王国のことを裏切ったのでしたわね」
ラッシーを抱いたリリアさんがにっと笑ったのを見て、グリフォン様の顔色が変わる。
「裏切ってなどない!あのときは、仕方がなかったんだ。ブルーベルを救おうとすれば他の国々までもが魔族に狙われたかもしれんのだ!もし、魔族に攻められていたら人の国などひとたまりもない!」
それからグリフォン様は、黙り込むと客室へと戻り荷物をまとめた。
私たちも。
グリフォン様は、うつむいたままだった。
私は、声をかけることもできないまま船を降りた。
港の雑踏の中を歩いていく私たち一行の前にその少女は現れた。
「グリフォン兄様!」
そう呼ぶと少女は、グリフォン様の胸元へと飛び込んできた。
なんですのん?
「やめないか!ローラ」
グリフォン様が困惑した様子で言うとローラは顔を上げて微笑んだ。
「だって、やっと兄様に会えたんですもの」
6
お気に入りに追加
1,245
あなたにおすすめの小説

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。

きっと幸せな異世界生活
スノウ
ファンタジー
神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。
そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。
時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。
女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?
毎日12時頃に投稿します。
─────────────────
いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。
とても励みになります。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

へぇ。美的感覚が違うんですか。なら私は結婚しなくてすみそうですね。え?求婚ですか?ご遠慮します
如月花恋
ファンタジー
この世界では女性はつり目などのキツい印象の方がいいらしい
全くもって分からない
転生した私にはその美的感覚が分からないよ
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる