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4 最果ての国へ

4ー11 客

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 4ー11 客

 なんだか大型犬につきまとわれている感じ?
 最近じゃ、かわいい様な気すらしてきているし。
 はやく無事だってことを知らせたい。
 私は、ふとあの板のことを思い出した。
 ランスロットが作ってくれたあの魔道具のことだ。
 ランスロットは、試作品を2つ作っていた。
 それを一つ私にも持たせてくれていた。
 私は、それを腰につけていたバッグから取り出すと魔力を流し込んで起動させた。
 中央にある丸い紋様に軽く触れるとヴォンっと音がしてランスロットの姿が空中に浮かび上がった。
 「姉上!どこにいるんですか?」
 怒り狂っているランスロットに私は、少しびびりつつも答えた。
 「あの・・たぶん、歓楽街のどこか、かな?」
 「なんだって?」
 ランスロットが叫んだ。
 「いいですか?そこを動かないでくださいね!あと、スマホの電源を切らないでください!」
 「は、はいっ!」
 私は頷くと電源を入れたまま通信を切った。
 通りに面したドアの向こうに人の気配がしたのだ。
 ごとっと音がしてドアが開く。
 中に入ってきたのは赤い髪の優男だった。
 「なんだ、人がいたのか」
 その男は私を見て訊ねた。
 「あんた、なんでこんなとこにいるんだ?」
 私は、しどろもどろに答えた。
 「あ、あの、知り合いとはぐれてしまって道に迷っていたんですが、さっきエルフの人に助けてもらって。ここで待ってろって言われたんですが」
 「ふん。なるほどな。リリアの客、か」
 その赤毛の男は、私についてくるようにと促した。
 「来な。リリアの客なら俺の客も同じだ」
 私は、どうしたものかと迷ったがその人についていくことにした。
 だって、ここ、何かいるし!
 ゴソゴソいって怖いんだもん!
 男がエルフの人が入っていったドアを開いて入っていくのに私もついていった。
 眩しい光がこうこうと照っていて私は、目を細めた。
 美味しそうな食べ物の匂いがして私のお腹がぐぅっと鳴った。
 「いらっしゃい、若旦那。リリアが部屋でお待ちしてますよ」
 枯れた感じのおじさんが声をかけてきたのに、その赤毛の男は、鷹揚に手を振った。
 「ああ、ありがとう、スティル。それから、部屋に食事を持ってきてくれ」
 「かしこまりました」
 赤毛の男は、私を連れて上に向かう階段を上がっていった。
 2階には、いくつもの部屋があったがどの部屋も閉じられていた。
 男は、それらの扉の中でも一際立派な造りの扉を押し開いて入っていった。
 私もそれに続く。
 そこは、豪奢な家具の置かれた部屋だったが、どこか生活感が薄くて奇妙な感じがした。
 「来たのね、カイさん」
 部屋の奥から薄い絹のドレスを身にまとったさっきのエルフのお姉さんが現れた。
  
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