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2 姉と弟

2ー2 素振りですか?

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 2ー2 素振りですか?

 ランスロットに睨まれて私は、体が震えた。
 こわっ!
 私、何か、地雷を踏んでしまった?
 私がアワアワしているのを見てランスロットは、ちっ、と舌打ちをした。
 はい?
 私は、信じられないものを見たような気がしていた。
 あの、優等生で隙のないランスロットが舌打ち?
 しかも、すごく嫌そうな顔をしている?
 もしかして婚約が嫌だったとか?
 ランスロットがふいっと横を向くと小声で呟いた。
 「あなたがそれを言うのか」
 んん?
 訳がわからなくてキョトンとしている私を見てランスロットがため息をついた。
 なんだか見てはならないものをみてしまったような気がして動揺を隠せない私にランスロットは、笑顔で剣を差し出した。
 「さあ、次は、姉上の番ですよ」
 はいぃ?
 私は、不意に差し出された伝説の聖剣にびびりまくっていた。
 というか、私は、練習用の木製の剣以外には触れたこともなかった。
 ランスロットは、戸惑っている私に微笑みかけた。
 「どうしましたか?姉上」
 ランスロットの無言の圧力に私は、仕方なく差し出された聖剣を受けとった。
 うん。
 すごく重い。
 いつも振っている木刀の何倍も重い。
 こんなの振れねぇよ!
 ちらっとランスロットの様子を伺うと、奴は笑顔を浮かべたまま私のことを見つめている。
 なんか、ムカつく!
 私は、ふらつきながらランスロットから少し離れると剣を構えた。
 剣の重さに持っているだけでも腕が痺れる。
 私は、なんとか一振剣を振った。
 うわっ!
 剣を握ったままよろけた私をランスロットが抱き止める。
 裸の胸に抱かれて私は、思わず頬が熱くなるのを感じた。
 「もう少し、肘を閉じて」
 ランスロットがいつの間にか背後に回り込み私のことをふわりと抱え込んでいた。
 「ひゃいっ!」
 私が驚いて変な声をあげるとランスロットが叱責してくる。
 「剣術は遊びではないのですよ、姉上。もっと集中してください」
 「はいぃっ!」
 私は、そのままランスロットに背後から抱き締められたまま剣を振った。
 ランスロットの吐息が耳元にかかる。
 くすぐったくって肩をすくめるとランスロットが囁いた。
 「もっと集中してって言ったでしょう?姉上」
 「ランスロット・・あなた」
 私が抗議をしようとするとランスロットは、ふぃっと手を離した。
 「さあ、もう10回、素振りをしてください」
 「10回・・・」
 
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