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第1章 獣は、抗う。
その11
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「それでは、私たちもそんな・・体が変化していくのですか?」
ルシィが青ざめる。
ローラがいさめるようにルシィを見た。
「いいんじゃないかしら。どうせ、もとの世界にはもう、帰れないんだから。ここで生きることを私たちは、選んだのだもの」
「でも・・」
うつむくルシィに向かってミリアがスラッと腰の短剣を抜く。
「なら、今すぐここで死ねばいい」
ひっとルシィが顔をひきつらせるのを見てローラがはぁっとため息をつく。
「どうせ、私たちの他に人間はいないんだし。どんな化け物になったって誰も何もいいやしないわよ、ルシィ」
ルシィが静かに泣き出す。
ミリアは、ルシィを睨んだ。
「ほんとに死にたいの?」
ミリアに短剣の切っ先を向けられてルシィが泣き止んだ。
そして、三人と邪神の生活が始まった。
邪神は、洞窟の奥の寝台をローラとルシィのために明け渡した。
自身とミリアは、枯れ草をひいた居間のような場所で休んだ。
邪神は、もとクーランド公爵家のものらしくなかなかの紳士だったといえる。
自らドレスを切り裂いて動きやすい服装になっているミリアに比べて、ローラとルシィは、美しいドレス姿だった。
ローラは、赤いドレス。
ルシィは、ピンクのドレスを着ている。
「そんな格好ではこの異界で生き残れないぞ」
邪神に言われても二人は、ドレスを切り裂くようなことはできなかった。
なぜならこのドレスだけが彼女らともとの世界を繋ぐものだから。
邪神は、二人のために動きやすい服が必要だ、と考えていた。
ミリアにも。
いつまでも切り裂かれたドレスを着せておくことは憚られる。
翌日に邪神は、三人を抱えると洞窟から飛び立った。
しばらく川上へと飛ぶと巨木の生い茂った森が拡がる場所があった。
「ここは、ニモネという魔物が住み着いている森だ。ニモネは、比較的安全な魔物だが、それでも気を抜くな」
森の入り口に降り立った邪神は、三人から体を離すと森の中へと歩き出した。
薄暗い森の中を彼らは、奥に向かって歩いた。
一際大きな木の根元で邪神が歩みを止める。
「ニモネよ」
ルシィが青ざめる。
ローラがいさめるようにルシィを見た。
「いいんじゃないかしら。どうせ、もとの世界にはもう、帰れないんだから。ここで生きることを私たちは、選んだのだもの」
「でも・・」
うつむくルシィに向かってミリアがスラッと腰の短剣を抜く。
「なら、今すぐここで死ねばいい」
ひっとルシィが顔をひきつらせるのを見てローラがはぁっとため息をつく。
「どうせ、私たちの他に人間はいないんだし。どんな化け物になったって誰も何もいいやしないわよ、ルシィ」
ルシィが静かに泣き出す。
ミリアは、ルシィを睨んだ。
「ほんとに死にたいの?」
ミリアに短剣の切っ先を向けられてルシィが泣き止んだ。
そして、三人と邪神の生活が始まった。
邪神は、洞窟の奥の寝台をローラとルシィのために明け渡した。
自身とミリアは、枯れ草をひいた居間のような場所で休んだ。
邪神は、もとクーランド公爵家のものらしくなかなかの紳士だったといえる。
自らドレスを切り裂いて動きやすい服装になっているミリアに比べて、ローラとルシィは、美しいドレス姿だった。
ローラは、赤いドレス。
ルシィは、ピンクのドレスを着ている。
「そんな格好ではこの異界で生き残れないぞ」
邪神に言われても二人は、ドレスを切り裂くようなことはできなかった。
なぜならこのドレスだけが彼女らともとの世界を繋ぐものだから。
邪神は、二人のために動きやすい服が必要だ、と考えていた。
ミリアにも。
いつまでも切り裂かれたドレスを着せておくことは憚られる。
翌日に邪神は、三人を抱えると洞窟から飛び立った。
しばらく川上へと飛ぶと巨木の生い茂った森が拡がる場所があった。
「ここは、ニモネという魔物が住み着いている森だ。ニモネは、比較的安全な魔物だが、それでも気を抜くな」
森の入り口に降り立った邪神は、三人から体を離すと森の中へと歩き出した。
薄暗い森の中を彼らは、奥に向かって歩いた。
一際大きな木の根元で邪神が歩みを止める。
「ニモネよ」
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