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第16章 魔王
16ー2 ありがとう
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16ー2 ありがとう
苗は、どんどん弱っていく。
わたしは、悲しくって。
知らないうちに涙が流れていた。
乾いた大地にわたしの涙がぽつぽつと落ちる。
それは、どんどん増えていき。
気がつくと、いつしか雨が降っていた。
優しい雨が王都を包んでいた。
わたしは、目を閉じた。
どうか。
どうか、この幼い聖樹が世界を守ってくれますように。
強く大地に根をはって。
子々孫々までもこの世界を守ってくれますように。
精霊の光が。
集まっていく。
光は。
どんどん拡がっていき王城を、王都ハクトレアを、そして、イーサ王国を包み込んでいく。
精霊たちの力が膨れ上がっていくのをわたしは感じていた。
庭の朽ち果てていた花や木々が再び芽吹き茎を伸ばし葉を繁らせ花を咲かせて。
辺りには、とてもいい香りが満ちていた。
わたしは、ふと空を見上げた。
青い。
澄みわたった空だ。
わたしは、微笑んだ。
世界は。
この世界は、大丈夫。
大丈夫。
きっとこれから大変だろうけど、きっとみんなが守ってくれる。
わたしは、幸せな気持ちで眠りに落ちていった。
眠りの中でわたしは、再び魂の故郷へと戻っていた。
「どうされたのですか?サラサリア様」
「ええ、夢を見ていたの」
わたしは、微笑んだ。
「夢の中でわたしは、聖女の騎士で、『光の乙女』と呼ばれていて。そして、世界を救うの」
わたしは、くすくすと笑った。
メイドのクーナがつられるように微笑む。
「いい夢を見れたのですね、サラサリア様。今日は、お顔の色がとてもいいですわ」
「そう?」
わたしは、ベッドから立ち上がると夜着のまま駆け出した。
「サラサリア様?」
驚いているクーナの脇をすり抜けてわたしは、走り続けた。
素足のまま冷たい廊下を走りわたしは、目的の場所へと向かう。
光が。
眩しい光にわたしは、目をすがめた。
そこには、銀色に輝く精霊王がたっていた。
「サラサリア」
「お父様!」
わたしは、精霊王の胸元へと飛び込んだ。
精霊王は、戸惑いながらもわたしを抱き締めた。
「どうした?サラサリア」
「お父様、わたし、お父様にお礼をいいたくって!」
わたしは、お父様の耳元で囁いた。
「わたしを転生させてくださって、ありがとうございます」
苗は、どんどん弱っていく。
わたしは、悲しくって。
知らないうちに涙が流れていた。
乾いた大地にわたしの涙がぽつぽつと落ちる。
それは、どんどん増えていき。
気がつくと、いつしか雨が降っていた。
優しい雨が王都を包んでいた。
わたしは、目を閉じた。
どうか。
どうか、この幼い聖樹が世界を守ってくれますように。
強く大地に根をはって。
子々孫々までもこの世界を守ってくれますように。
精霊の光が。
集まっていく。
光は。
どんどん拡がっていき王城を、王都ハクトレアを、そして、イーサ王国を包み込んでいく。
精霊たちの力が膨れ上がっていくのをわたしは感じていた。
庭の朽ち果てていた花や木々が再び芽吹き茎を伸ばし葉を繁らせ花を咲かせて。
辺りには、とてもいい香りが満ちていた。
わたしは、ふと空を見上げた。
青い。
澄みわたった空だ。
わたしは、微笑んだ。
世界は。
この世界は、大丈夫。
大丈夫。
きっとこれから大変だろうけど、きっとみんなが守ってくれる。
わたしは、幸せな気持ちで眠りに落ちていった。
眠りの中でわたしは、再び魂の故郷へと戻っていた。
「どうされたのですか?サラサリア様」
「ええ、夢を見ていたの」
わたしは、微笑んだ。
「夢の中でわたしは、聖女の騎士で、『光の乙女』と呼ばれていて。そして、世界を救うの」
わたしは、くすくすと笑った。
メイドのクーナがつられるように微笑む。
「いい夢を見れたのですね、サラサリア様。今日は、お顔の色がとてもいいですわ」
「そう?」
わたしは、ベッドから立ち上がると夜着のまま駆け出した。
「サラサリア様?」
驚いているクーナの脇をすり抜けてわたしは、走り続けた。
素足のまま冷たい廊下を走りわたしは、目的の場所へと向かう。
光が。
眩しい光にわたしは、目をすがめた。
そこには、銀色に輝く精霊王がたっていた。
「サラサリア」
「お父様!」
わたしは、精霊王の胸元へと飛び込んだ。
精霊王は、戸惑いながらもわたしを抱き締めた。
「どうした?サラサリア」
「お父様、わたし、お父様にお礼をいいたくって!」
わたしは、お父様の耳元で囁いた。
「わたしを転生させてくださって、ありがとうございます」
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