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第15章 魔王国
15ー9 砦
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15ー9 砦
「確かに、彼は、フェンリルのようだが」
クロノフさんが問いかけた。
「なぜ、イーサ王国の王家にゆかりのある方が盗賊なんかしている?」
「お、俺は・・」
その盗賊の少年が‘口を開こうとしたとき、背後から黒髪の少女が駆け出してきた。
「お許しください、『光の乙女』よ!」
その少女は、少年をかばうようにわたしの前に立った。
「すべては、イーサ王国の再興のため。そのためにジェリコ様は、盗賊に身をやつしておられるのです」
はい?
なんですと?
ジェリコと名乗った盗賊のリーダーとその右腕だという少女ルゥナは、わたしたちを盗賊の砦へと案内した。
そこは、森の奥に隠された岩山の内部にあった。
「ジェリコ様が帰ってきた!」
小さな猫耳と尻尾を持った子供たちが駆け寄ってくるのをジェリコは、笑顔で向かえた。
「お前たち、客人だ。丁重にもてなすようにな」
「お客様?」
子供たちは、耳と尻尾をぴんと立てるとわたしたちの方へと近づいてきた。
「ジェリコ様のお客様?」
「怪我してる?」
子供たちは、傷ついた騎士たちをみて目を丸くした。
「見たことない魔族?」
「彼らは、魔族ではない」
砦の奥から赤い髪の片腕の大男が出てきた。
「なぜ、人間をここにつれてきたのですか?ジェリコ様」
「シタール」
ジェリコが怖い顔をしている大男に歩み寄るとわたしを紹介した。
「これは、カイラ。失われた筈の『光の乙女』イーシュア姫だ」
「イーシュア姫だって?」
その大男は、わたしをじろりと見下ろした。
「姫というにはずいぶんと物騒な」
「あなたは?」
わたしが問いかけると大男は、膝を折った。
「わたしは、もとイーサ王国の将シタール・ハインダーともうします」
シタールは、わたしに跪いたままで話した。
「よく無事にお戻りくださいました、イーシュア姫よ」
砦のあちこちから人々が顔を出してこちらをうかがっていた。
ざわついている人々にシタールは、指示を出した。
「客人の中には、怪我人もおられる。すぐに治癒師を呼べ!」
「確かに、彼は、フェンリルのようだが」
クロノフさんが問いかけた。
「なぜ、イーサ王国の王家にゆかりのある方が盗賊なんかしている?」
「お、俺は・・」
その盗賊の少年が‘口を開こうとしたとき、背後から黒髪の少女が駆け出してきた。
「お許しください、『光の乙女』よ!」
その少女は、少年をかばうようにわたしの前に立った。
「すべては、イーサ王国の再興のため。そのためにジェリコ様は、盗賊に身をやつしておられるのです」
はい?
なんですと?
ジェリコと名乗った盗賊のリーダーとその右腕だという少女ルゥナは、わたしたちを盗賊の砦へと案内した。
そこは、森の奥に隠された岩山の内部にあった。
「ジェリコ様が帰ってきた!」
小さな猫耳と尻尾を持った子供たちが駆け寄ってくるのをジェリコは、笑顔で向かえた。
「お前たち、客人だ。丁重にもてなすようにな」
「お客様?」
子供たちは、耳と尻尾をぴんと立てるとわたしたちの方へと近づいてきた。
「ジェリコ様のお客様?」
「怪我してる?」
子供たちは、傷ついた騎士たちをみて目を丸くした。
「見たことない魔族?」
「彼らは、魔族ではない」
砦の奥から赤い髪の片腕の大男が出てきた。
「なぜ、人間をここにつれてきたのですか?ジェリコ様」
「シタール」
ジェリコが怖い顔をしている大男に歩み寄るとわたしを紹介した。
「これは、カイラ。失われた筈の『光の乙女』イーシュア姫だ」
「イーシュア姫だって?」
その大男は、わたしをじろりと見下ろした。
「姫というにはずいぶんと物騒な」
「あなたは?」
わたしが問いかけると大男は、膝を折った。
「わたしは、もとイーサ王国の将シタール・ハインダーともうします」
シタールは、わたしに跪いたままで話した。
「よく無事にお戻りくださいました、イーシュア姫よ」
砦のあちこちから人々が顔を出してこちらをうかがっていた。
ざわついている人々にシタールは、指示を出した。
「客人の中には、怪我人もおられる。すぐに治癒師を呼べ!」
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