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第14章 光の乙女

14ー3 必ず幸せになります!

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 14ー3 必ず幸せになります!

 「だけど」
 ルシーディア様が泣きそうな顔で告げられた。
 「私は、君を、君たちをそんな旅に送り出したくはない」
 それは、そうだ。
 魔王国は、遠い。
 ほとんど地の果てといえるぐらい。
 そして、その魔王国の王である魔王を倒すことはもっと果てしない。
 例え、無事に魔界国にたどり着けたとしても魔王を倒すのは至難の技だ。
 たった数名の者たちがなせることではないし、心あるものならそんな無理なことをわたしたちに課すことはできまい。
 だって、わたしたちは、まだ子供なのだから。
 サニタリア王立魔法学園の生徒であり、本来守られるべき存在であるわたしたちに過酷な旅に出て、そのうえ魔王を倒してほしいなんていえるわけがない。
 だから、ルシーディア様は、ただの王太子であるご自分のお願いで、といわれているのだ。
 わたしたちを追い詰めないように。
 わたしには、ルシーディア様のお気持ちがよく理解できた。
 「わたしは」
 わたしは、ルシーディア様を見つめた。
 「この世界が好きです。この国も、今の家族も大好きです。それに」
 わたしは、少し言葉を切った。
 「婚約者であられるルシーディア様のことも好きです。もちろんセツラウス様、王妃様だって好きです。一番は、もちろん、家族やマオですが、学園のみんなのことも好きです」
 「カイラ」
 「わたしは、この世界で失ってもいいものなんて何一つありません」
 わたしは、頭を垂れた。
 「どうか、ご命令を、ルシーディア様」
 わたしは、頭を下げたまま胸に手を当てて訴えた。
 「あなたが望んでくれるならわたしは、あなたのための剣になるつもりです」
 「カイラ・・」
 ルシーディア様が悲しげな表情をされた。
 「わたしを愛する人を一人死地へと送り込む男だと思っているのか?」
 「ルシーディア様」
 わたしは、ルシーディア様に向かってきっぱりと宣言した。
 「あなたは、わたしを舐めてるんですか?わたしは、自分の任務は必ず果たします。騎士ですからね。でも、そのうえで必ず幸せな人生を送ってみせます!」
 「しかし、いつ帰ってこれるのかも、いや、そもそも生きて帰れるのかもわからないんだよ?」
 ルシーディア様が涙ぐまれる。
 わたしは、わざと冷たく突き放すように言った。
 「わたしは、必ず帰ってきます。あなたは、わたしの言葉を疑われるのですか?ルシーディア様」
 
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