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第11章 交流戦

11ー10 竜騎士

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 11ー10 竜騎士

 午後の最後の試合には、わたしとマオで挑むことになった。
 だが。
 マオとわたしは、騎乗での戦いの経験もなければ訓練すらしていない。
 どう考えても勝つことは難しい。
 それに。
 マオのテンションがダダ下がりなのだ。
 なにしろ相手は、おそらく『運命の番』だ。
 戦いたくない。
 しかし、メルロープ王国の騎士としてこの一戦を断ることはできない。
 会場は、すごい熱気に溢れていた。
 なにしろ騎士の花である竜に騎乗しての対戦だ。
 盛り上がらない方がおかしい。
 マオは、かなり乗り気でなかった。
 「カイラ、あたし、大丈夫かな。戦えるのかな」
  いつになく気弱なマオをわたしは、叱咤した。
 「この戦いにメルロープ王国の未来がかかってるらしいのよ、マオ。わたしは、この国が好きだし、これからもこの国で生きていきたいの」
 マオがため息をついた。
 「わかったわ、カイラ。あたしがんばる!」
 闘技場にわたしとマオが現れるとどっと会場内が沸いた。
 すでにキルハと名前も知らないマオの『運命の番』は、騎乗してわたしたちを待ち構えていた。
 「逃げなかったこと、後悔しますよ、カイラ様」
 キルハがにぃっと笑った。
 わたしは、マオの背の上からじっとキルハを見た。
 キルハは、鎧を着込んでいたし、猫竜には鞍もつけられていた。
 このまま戦場にだって駆けつけられるな。
 わたしは、ごくりと息を飲んだ。
  対してわたしは、軽い防具をつけただけでマオには、鞍もつけてはいない。
 こんなの無理!
 キルハは、わたしが後悔すると言ったけど、もうすでに後悔していた。
 勝てる気がしない。
 わたしとマオにキルハを乗せた猫竜が近づいてきた。
 審判が手を振り上げる。
 「はじめっ!」
 キルハがすらりと剣を抜いた。
 わたしも剣を抜く。
 この戦いに限っては、精霊の力を借りることも許されていた。
 わたしが魔剣オニタリスをかまえるとオニタリスは、ごぅっと音をたてて剣気をあげる。
 「すごい剣ですわね、カイラ様」
 キルハが突然動いて剣を繰り出してきた。
 澄んだ金属音が響く。
 わたしは、キルハの剣を払うとマオに訊ねた。
 「いける?マオ」
 「うん!」
 マオが答えてキルハとその猫竜の方へと駆け出した。
 
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