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第11章 交流戦

11ー9 申し出

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 11ー9 申し出

  午後からライモンドとムスタファ王国のもう一人の選手との試合が行われた。
 ライモンドの相手は、あの地味で小柄な女の子だった。
 わたしは、セシリア様に訊ねた。
 「あの方は?」
 「あれは、キルハ・ダグランディス公爵令嬢よ」
 公爵令嬢?
 わたしは、闘技場の上の小さな女の子をもう一度凝視した。
 この子が、マオの思い猫のご主人様か。
 ほんとに地味な外見だ。
 よくある栗色の髪は、くすんでいるし、瞳は、よどんだような暗い茶色。
 ほんとにこの子が人形をとれるような猫竜のご主人様なのかな。
 わたしがそう思いながらみていると試合が始まった。
 ライモンドがキルハに切りかかっていく。
 キルハは。
 一瞬、体が揺らいだかと思ったら、次の瞬間、ライモンドの剣が弾かれた。
 そして。
 キルハが間合いに踏み込んだと思った時には、すでに勝敗は決していた。
  キルハの剣がライモンドの首をとらえている。
 「ぐっ!」
 ライモンドが呻き声をあげる。
 つぅっとライモンドの首もとから一滴の血が流れ落ちた。
 審判が慌てて勝者の名を呼び上げる。
 「勝者、キルハ・ダグランディス!」
 こうして剣技の試合は、二敗一勝となった。
 本来は、これでムスタファ王国の勝ちなのだが、この交流戦では、最後に決勝戦が行われる。
 お互いの最強を送り込み雌雄を決するのだ。
 「なんとか最終戦でカイラに勝ってもらわいとね」
 エラード様がハードルをあげてくるのでわたしは、苦笑した。
 午後の最後に行われる最終戦に備えて準備をしていると交流戦の運営から連絡が届いた。
 「ムスタファ王国からの申し出で最終戦はお互いの竜に騎乗しての戦いにしたいとのことなのですが」
 わたしは、ドキッとしていた。
 「猫竜に騎乗しての戦いですか?」
 わたしは、運営の方に訊ねた。
 わたしは、マオに騎乗して戦ったこともなければ、そのための訓練もしたことがなかった。
 運営のスタッフは、緊張した面持ちで頷いた。
 マジですか?
 「拒否は、できないのかしら?」
 セシリア様が問うとスタッフは、首を振った。
 「断ることはできません。この竜騎士の国であるメルロープ王国の聖女の騎士であるカイラ様が騎乗での試合を申し込まれて断ることは我が国の沽券に関わることですから」
 セシリア様が舌打ちした。
 「まずいわね」
 
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