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第9章 スタンピード
9ー7 王家の闇
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9ー7 王宮の闇
「ランタスタ伯爵もまた利用されただけだろう」
ルシーディア様が静かに口を開いた。
「おそらく今回のことの背後には、第2王子派の連中が絡んでいる」
「セツ様、いや、その、セツラウス様の?」
わたしの質問にルシーディア様が顔を曇らせる。
「たぶんセツラウスの一派の者が手を回したのだろうな。事故にみせかけて私を殺害するために」
マジですか?
王宮の闇にわたしは、背筋が寒くなった。
兄弟で殺し合うなんて。
お二人ともいい方なのに。
わたしにとっては、お二人とも大切な失いたくない人だ。
わたしが考え込んでいると、ルシーディア様がわたしに告げた。
「セツラウスは、今回のことでしばらく離宮で謹慎を命じられることになった」
「謹慎ですか?」
「ああ」
ルシーディア様が頷いた。
「父王は、セツラウスの王位継承権を剥奪するつもりでおられるようだ」
はい?
わたしは、ルシーディア様をうかがった。
ルシーディア様は、自ら王位継承権を手放して魔道具師になるつもりだと言っていた。
しかし、このままではそれは、できないことになる。
ルシーディア様は、深いため息をつかれた。
わたしは、ルシーディア様たちに近い存在と見なされているから狙われるかもしれないので気をつけるようにという忠告を受けた後、その場を辞した。
今、サリタニア王立魔法学園は、混乱を納めるためにしばらくの間、休校になっていた。
だから、わたしは、授業もないのでそのまま僚へと戻るつもりだった。
『ドリー』に向かう途中でわたしは、呼び止められた。
「カイラ、カイラ・ルドクリフ」
わたしが声の方へと振り返るとそこには、アイリス様が立っていた。
「アイリス様?」
「少しお話があるの。お時間よろしいかしら?」
アイリス様は、わたしの返事を待つことなく歩きだした。
仕方なくわたしは、アイリス様の後に続いた。
アイリス様は、わたしをサリタニア王立魔法学園の外へと導いた。
正門の外には立派な黒い馬車が待っていた。
それは、ブリュエス侯爵家の家紋がはいっていた。
アイリス様に促されてわたしは、その馬車に乗り込んだ。
わたしたちが座席に座ると馬車は静かに動き出した。
「安心なさい。私の家に行くだけだから」
アイリス様が呟くように告げた。
「ランタスタ伯爵もまた利用されただけだろう」
ルシーディア様が静かに口を開いた。
「おそらく今回のことの背後には、第2王子派の連中が絡んでいる」
「セツ様、いや、その、セツラウス様の?」
わたしの質問にルシーディア様が顔を曇らせる。
「たぶんセツラウスの一派の者が手を回したのだろうな。事故にみせかけて私を殺害するために」
マジですか?
王宮の闇にわたしは、背筋が寒くなった。
兄弟で殺し合うなんて。
お二人ともいい方なのに。
わたしにとっては、お二人とも大切な失いたくない人だ。
わたしが考え込んでいると、ルシーディア様がわたしに告げた。
「セツラウスは、今回のことでしばらく離宮で謹慎を命じられることになった」
「謹慎ですか?」
「ああ」
ルシーディア様が頷いた。
「父王は、セツラウスの王位継承権を剥奪するつもりでおられるようだ」
はい?
わたしは、ルシーディア様をうかがった。
ルシーディア様は、自ら王位継承権を手放して魔道具師になるつもりだと言っていた。
しかし、このままではそれは、できないことになる。
ルシーディア様は、深いため息をつかれた。
わたしは、ルシーディア様たちに近い存在と見なされているから狙われるかもしれないので気をつけるようにという忠告を受けた後、その場を辞した。
今、サリタニア王立魔法学園は、混乱を納めるためにしばらくの間、休校になっていた。
だから、わたしは、授業もないのでそのまま僚へと戻るつもりだった。
『ドリー』に向かう途中でわたしは、呼び止められた。
「カイラ、カイラ・ルドクリフ」
わたしが声の方へと振り返るとそこには、アイリス様が立っていた。
「アイリス様?」
「少しお話があるの。お時間よろしいかしら?」
アイリス様は、わたしの返事を待つことなく歩きだした。
仕方なくわたしは、アイリス様の後に続いた。
アイリス様は、わたしをサリタニア王立魔法学園の外へと導いた。
正門の外には立派な黒い馬車が待っていた。
それは、ブリュエス侯爵家の家紋がはいっていた。
アイリス様に促されてわたしは、その馬車に乗り込んだ。
わたしたちが座席に座ると馬車は静かに動き出した。
「安心なさい。私の家に行くだけだから」
アイリス様が呟くように告げた。
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