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第2章 聖女の騎士
2ー7 グリンヒルデ
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2ー7 グリンヒルデ
メルロープ王国の王都ラキシスには、ルドクリフ辺境伯領から竜車で一週間ほどで到着した。
わたしたちは、ルドクリフ辺境伯の王都の屋敷である『グリンヒルデ』の玄関でずらりと並んだ使用人のみなさんに迎えられた。
い並ぶ人々の中からちょっとダニエルさんに似ているパリッとした服装のおじさんが進み出た。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「ああ、バルトハルト。ご苦労」
竜車から降りたアルタス様は、わたしとウルティア様の手をとってわたしたちが竜車から降りるのを手伝ってくださってからわたしをバルトハルトさんに紹介した。
「この子が私たちの娘になったカイラだ。カイラ、このバルトハルトは、先代から我が家につかえてくれている家令で領地の屋敷の執事であるダニエルの父親だ。なんでも困ったことがあればバルトハルトに相談するように」
「はい」
わたしは、頷くとバルトハルトさんのことを見上げた。
バルトハルトさんは、ダニエルさんよりも背が高く、がっしりとしていた。
眉間のシワと顎の髭がなんだかこわい感じがする。
バルトハルトさんは、わたしのことをじっと品定めするかのように見つめていたが、やがてにっこりと微笑んだ。
「よろしくお願いいたします、カイラお嬢様」
思ったよりも柔らかい笑顔にわたしは、ほっとしてぺこりと頭を下げた。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
バルトハルトさんは、わたしを広くて明るい部屋へと案内してくれた。
「ここは、この『グリンヒルデ』で一番いいお部屋でございます」
バルトハルトさんが手に持っていたわたしの荷物を部屋の中で待っていた小柄なメイドさんに手渡しながら話した。
「アルタス様がどうしてもカイラ様には、このお部屋を使っていただきたいとのことでして」
その部屋は、暖かい日差しが差し込む部屋だった。
いたるところにレースや、庭で摘まれたらしい花が飾られていた。
何より置かれている家具がなんだかかわいい?
「すてきなお部屋ですね」
わたしの言葉にバルトハルトさんが少しだけ口ごもった。
「ここは、生まれてくる筈だったアルタス様とウルティア様のお子様の部屋になる筈だった部屋なのでございます」
メルロープ王国の王都ラキシスには、ルドクリフ辺境伯領から竜車で一週間ほどで到着した。
わたしたちは、ルドクリフ辺境伯の王都の屋敷である『グリンヒルデ』の玄関でずらりと並んだ使用人のみなさんに迎えられた。
い並ぶ人々の中からちょっとダニエルさんに似ているパリッとした服装のおじさんが進み出た。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「ああ、バルトハルト。ご苦労」
竜車から降りたアルタス様は、わたしとウルティア様の手をとってわたしたちが竜車から降りるのを手伝ってくださってからわたしをバルトハルトさんに紹介した。
「この子が私たちの娘になったカイラだ。カイラ、このバルトハルトは、先代から我が家につかえてくれている家令で領地の屋敷の執事であるダニエルの父親だ。なんでも困ったことがあればバルトハルトに相談するように」
「はい」
わたしは、頷くとバルトハルトさんのことを見上げた。
バルトハルトさんは、ダニエルさんよりも背が高く、がっしりとしていた。
眉間のシワと顎の髭がなんだかこわい感じがする。
バルトハルトさんは、わたしのことをじっと品定めするかのように見つめていたが、やがてにっこりと微笑んだ。
「よろしくお願いいたします、カイラお嬢様」
思ったよりも柔らかい笑顔にわたしは、ほっとしてぺこりと頭を下げた。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
バルトハルトさんは、わたしを広くて明るい部屋へと案内してくれた。
「ここは、この『グリンヒルデ』で一番いいお部屋でございます」
バルトハルトさんが手に持っていたわたしの荷物を部屋の中で待っていた小柄なメイドさんに手渡しながら話した。
「アルタス様がどうしてもカイラ様には、このお部屋を使っていただきたいとのことでして」
その部屋は、暖かい日差しが差し込む部屋だった。
いたるところにレースや、庭で摘まれたらしい花が飾られていた。
何より置かれている家具がなんだかかわいい?
「すてきなお部屋ですね」
わたしの言葉にバルトハルトさんが少しだけ口ごもった。
「ここは、生まれてくる筈だったアルタス様とウルティア様のお子様の部屋になる筈だった部屋なのでございます」
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