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7 終わらない世界を目指して。厄災と勇者の物語。
7ー1 厄災 VS 勇者
しおりを挟む翌朝早くに俺は、1人で部屋を出た。
エンリコを迎えに来た馬車がちょうど屋敷の前に到着したところだった。
俺は、白いローブに身を包み屋敷を出て馬車に乗り込もうとするエンリコを呼び止めた。
「なんです?カナメ」
「ちょっと、急用があって」
俺は、訝しんでいるエンリコを屋敷まで連れていくと、ドアの内側で彼を魔導銃で撃った。
もちろんただの眠りの魔法の銃弾だ。
俺は、エンリコが羽織っていたローブを脱がせると代わりに自分がそれを羽織った。そして、俺は、屋敷を出ると無言でうつ向いて馬車へと乗り込んだ。
それから、ほぼ一日馬車に揺られて、俺は、最果ての街アマンダへと到着した。
といってもそこには、ただの抉り取られたようなクレーターしか残されてはいなかった。
すでに、辺りは、暗くなっていた。
俺は、馬車を降りた。
神官らしき人々が俺を待ち受けていた。
辺りは、真っ暗闇で、篝火が燃えていた。
「ファーガスン伯爵、本当に、よろしいんですか?」
神官たちが俺に問いかけるので、俺は、黙って頷いた。
神官たちは、溜め息をついた。
「あなたのような前途有望な若者を失うことは、この国にとって大変な損失となるでしょう」
神官は言うと、クレーターの中央を指差した。
「あちらへお進みください」
俺は頷くと、クレーターへと歩き出した。
クレーターは、崩れやすい砂で出来ていて、俺は、足をとられて途中から転げ落ちた。
だが、幸いにもクレーターの中は、柔らかな土で出来ていて、俺は、怪我をすることもなくクレーターの底へと滑り降りた。
クレーターの中央には、小さな祭壇のようなものが作られていた。どうやら生け贄となるものは、その祭壇へのぼればいいようだった。
俺は、祭壇へとのぼり、天を仰いだ。
幾千、幾万の星星が輝く夜空の向こうから何かが来るのがわかった。
ピコン。
『裏スキル 絶対防御』
俺は、両手を天に向けて伸ばした。
『防壁を張ります』
俺の両手のほんの数ミリ先で、その闇は行く手を阻まれて制止した。
〈なゼだ?〉
その何かは、俺に問いかけてきた。
〈なゼ、我をコバむ?〉
「こっちも、まだ、死にたくないんでね!」
俺は叫ぶと、魔導銃に特製の弾丸をこめて上空へと銃口を向けた。
「厄災、お前は、消えろ!」
俺は、銃を撃った。
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