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6 ゲートを開け!敵は、クリスティア王国にあり!!
6ー11 2人の夜
しおりを挟むその夜、 俺は、1人、ベッドに横になって考えていた。
このまま、エンリコを生け贄にしてしまっていいのか?
この国は、滅べばいい。
それは、かまわない。
それは、この国の勝手だし、俺たちは、関わりないことだ。
だけど、その厄災がこの国のみでおさまるかどうかはわからない。
もしかしたら、この国が滅んでも、厄災は止まらないかもしれない。
俺は、決意していた。
「カナメ、起きてる?」
部屋の扉がそっと開いてアズミちゃんが入ってきた。
夜着姿のアズミちゃんは、足音を忍ばせてベッドに横たえた俺の側へとやって来ると、ベッドに、俺に背を向けて腰かけた。
「もしかして、明日、自分が生け贄になろうとか、思ってた?」
アズミちゃんが俺に背を向けたままきいたので、俺は、答えた。
「もし、そうなら?」
「うん。たぶん、カナメならそうするんじゃないかって思ってた」
アズミちゃんが俺の横に仰向けに横になると、言った。
「約束だったよね?この国から戻ったら、僕と結婚するって」
「うん」
俺は、頷いた。
「でも、帰れそうにないんだ」
「嘘つき」
アズミちゃんが囁いた。俺は、答えた。
「ごめんね、アズミちゃん」
「もし、カナメが生け贄になるなら」
アズミちゃんが言った。
「僕も一緒にいくから」
「ええっ?」
俺は、隣に横たえているアズミちゃんを見た。アズミちゃんは、じっと目を閉じて言った。
「僕も生け贄になる」
マジですか?
俺は、慌てて言った。
「そんなこと、できるわけが」
「生け贄が2人だといけない、なんてことはないでしょ?」
アズミちゃんは、言った。
「僕も絶対、一緒にいくから」
絶対、に。
アズミちゃんは、そう繰り返した。
「仕方がないなぁ」
俺は、溜め息をついた。
「じゃあ、一緒にいこう、アズミちゃん」
「うん」
アズミちゃんが俺の手を握った。
「約束だよ、、カナメ」
俺たちは、お互いの手を握りしめたままでその夜は、眠った。
繋いだ手から伝わる温もりが、俺に、力を与えてくれていた。
俺は、やっぱり、1人でいくしかないんだ。
そう、思っていた。
だって、アズミちゃんが生きていてくれるから、俺は、生け贄になるんだ。
アズミちゃんのために、俺は、生け贄になる。
でも、死ぬかどうかはわからない。
俺は、出来る限りあがいてやるつもりだった。
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