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5 俺が姫だって?いやいや冗談でしょ!

5-4 ガーランド公国

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              5ー4   ガーランド公国

   なんだろう?
   この展開。
   俺は、湯気に包まれた浴室の中で湯船に浸かってふぅっと吐息をついた。
   ここは、空船の中だ。
   あの後、俺とクロとあの3人は、空船の中へと招き入れられた。
   それから俺は、彼らと別れてこの浴室へと案内されちょっとかわいいメイドさんたちに服を脱がされて風呂へと入れられていた。
    ええっと?
   なんでこんなことに?
  俺は、髪を洗われ、全身を柔らかな布で擦られてピカピカになっていた。
   「くつろいでいるか?メリッサ」
    浴室のドアが開いてあの女が入ってきた。
   マジか?
   俺は、慌ててお湯に潜って体を隠した。女はそんな俺を見てくすっと笑った。
   「やはり、かわいいな、あなたは」
    「あの・・その、かわいい、とかやめてもらえませんか?」
   俺は、頬が熱くなるのを感じていた。
  女は、無言で俺の濡れた肩にそっと触れた。
   「かわいいのは嫌なのか?メリッサ」
  「そ、そう、いうわけじゃ、ただ俺は」
    「俺は、なんだ?」
    女が優しく俺の肩にお湯をかけながらきいた。
    俺は。
   あれ?
   俺は、なんだか目眩がしていた。
  目の前が・・
   暗くなっていく・・?

   「俺は、男だ!!」
    がばっと体を起こして叫んだ俺は、はっと気づいて荒い呼吸を繰り返しながら考えていた。
    えっと・・
   俺は、夜着を着せられてベッドの上にいた。
   「あれ?」
    「何、騒いでるんだよ?メル」
    クロが枕元の椅子に腰かけて俺をじっと見つめていた。
   俺は、柔らかくて肌触りのいいシーツの感触を確かめながらクロに訊ねた。
   「ここ、どこ?」
    「覚えてないのか?メリッサ」
    クロが溜め息をついた。
   「ここは、空船の中だ。俺たちは、今、ガーランドの空船に乗せられてるんだ」
   ガーランド?
   俺の頭の中にこの世界の、というかアルゴス大陸の地図が思い浮かんだ。
   確か、ガーランド公国は、北の果てにある大国だった筈。
   そこの船がなんで南の果ての島まで俺たちを迎えに来たわけ?
    なんで?
   「どうしてガーランドの船が俺たちを救いに来てくれたわけ?」
   「それは・・」
    いいよどむクロの背後にいたあの女が立ち上がった。
   「それは、私が説明しよう」
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