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9 魔王と聖者と浄化の旅(3)
9ー6 もう、触れさせない!
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9ー6 もう、触れさせない!
「ははっ!お前、なかなかよかったぞ!だが、しょせん人間、玩具に過ぎんがな」
「ああっ!」
滾るイグルトの魔力に翻弄されてぼくは、何度も何度も達していた。
それでもまだ快感は引かず、僕は、ついには意識を手放した。
なんだろう。
どこかで水音がしている。
僕は、途切れていた意識を手繰り寄せるようにしてゆっくりと目覚めていった。
目を開くと、眩い光と共にヤマトの顔が目に飛び込んできた。
「・・ヤマ、ト?」
「ラムダ!」
ヤマトが横たわっている僕を覆い被さる様にして抱き締めた。
「よかった!気がついて」
ヤマトは、僕のことを抱いたまま安堵のため息を漏らした。
「魔人に抱かれてそのまま廃人になってしまう者もいるんだ。お前の意識が戻らなかったらどうしようかと思ったぞ!」
「僕・・・?」
僕は、体を動かそうとして身動きがとれないことに気づいた。
全身がじんじんと熱く疼くようで動くと堪らない快感が走る。
僕は、熱い吐息をついた。
ヤマトが僕の頬を撫でながら訊ねた。
「大丈夫か?ラムダ。辛くないか?」
「んっ・・・」
僕は、なおも身の内にくすぶっている悦楽に手も足も動かすことができなかった。
動かしたら、そのままいってしまいそうなほどの快感が僕のことを捕らえて離さない。
「ヤマト・・僕、どうしちゃったの?」
「ラムダ」
ヤマトは、僕のことを抱き起こすと支えながらそっと額に口づけた。
「無理はするな。なにしろ魔人に酷い目にあわされたんだからな。しばらくは、じっと体を休めた方がいい」
僕は、ヤマトに抱かれてその匂いに包まれて心が安らぐのを感じていた。
僕は、ほぅっとため息をつき目を閉じてヤマトに身を任せる。
ちりっと頭が痛んだかと思うと、イグルトに蹂躙された記憶が脳裏をよぎった。
何度も、何度も。
僕は、求めてしまった。
それでも、体の飢えがおさまることはなかった。
「はっ・・」
僕は、涙が溢れだすのを止めることができなかった。
「ぼ、僕・・あいつに汚されて・・」
「ああ、思い出さなくってもいい。ラムダ。眠るんだ」
ヤマトは、僕のことを頬を流れる涙を指先で拭うとそっと僕に癒しの力を使おうとした。
だけど。
僕は、止められなかった。
僕は、自分の体を抱き締めているヤマトの腕にしがみついた。
「僕、あいつに、イグルトに犯されて・・そして・・」
「ラムダ!」
ヤマトが僕を強く抱き締める。
「もう、大丈夫だ。私がお前を守ってみせる!もう、二度と奴に触れさせない!」
「ヤマト!」
僕は、ヤマトの背に手をまわしてすがり付いた。
その時。
突然、ぶわっと鳥肌がたった。
ヤマトの肩越しに僕は僕らのことを見下ろして立っているイグルトの姿があった。
「ははっ!お前、なかなかよかったぞ!だが、しょせん人間、玩具に過ぎんがな」
「ああっ!」
滾るイグルトの魔力に翻弄されてぼくは、何度も何度も達していた。
それでもまだ快感は引かず、僕は、ついには意識を手放した。
なんだろう。
どこかで水音がしている。
僕は、途切れていた意識を手繰り寄せるようにしてゆっくりと目覚めていった。
目を開くと、眩い光と共にヤマトの顔が目に飛び込んできた。
「・・ヤマ、ト?」
「ラムダ!」
ヤマトが横たわっている僕を覆い被さる様にして抱き締めた。
「よかった!気がついて」
ヤマトは、僕のことを抱いたまま安堵のため息を漏らした。
「魔人に抱かれてそのまま廃人になってしまう者もいるんだ。お前の意識が戻らなかったらどうしようかと思ったぞ!」
「僕・・・?」
僕は、体を動かそうとして身動きがとれないことに気づいた。
全身がじんじんと熱く疼くようで動くと堪らない快感が走る。
僕は、熱い吐息をついた。
ヤマトが僕の頬を撫でながら訊ねた。
「大丈夫か?ラムダ。辛くないか?」
「んっ・・・」
僕は、なおも身の内にくすぶっている悦楽に手も足も動かすことができなかった。
動かしたら、そのままいってしまいそうなほどの快感が僕のことを捕らえて離さない。
「ヤマト・・僕、どうしちゃったの?」
「ラムダ」
ヤマトは、僕のことを抱き起こすと支えながらそっと額に口づけた。
「無理はするな。なにしろ魔人に酷い目にあわされたんだからな。しばらくは、じっと体を休めた方がいい」
僕は、ヤマトに抱かれてその匂いに包まれて心が安らぐのを感じていた。
僕は、ほぅっとため息をつき目を閉じてヤマトに身を任せる。
ちりっと頭が痛んだかと思うと、イグルトに蹂躙された記憶が脳裏をよぎった。
何度も、何度も。
僕は、求めてしまった。
それでも、体の飢えがおさまることはなかった。
「はっ・・」
僕は、涙が溢れだすのを止めることができなかった。
「ぼ、僕・・あいつに汚されて・・」
「ああ、思い出さなくってもいい。ラムダ。眠るんだ」
ヤマトは、僕のことを頬を流れる涙を指先で拭うとそっと僕に癒しの力を使おうとした。
だけど。
僕は、止められなかった。
僕は、自分の体を抱き締めているヤマトの腕にしがみついた。
「僕、あいつに、イグルトに犯されて・・そして・・」
「ラムダ!」
ヤマトが僕を強く抱き締める。
「もう、大丈夫だ。私がお前を守ってみせる!もう、二度と奴に触れさせない!」
「ヤマト!」
僕は、ヤマトの背に手をまわしてすがり付いた。
その時。
突然、ぶわっと鳥肌がたった。
ヤマトの肩越しに僕は僕らのことを見下ろして立っているイグルトの姿があった。
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