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6 婚姻という呪い

6ー8 だまれ!

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 6ー8 だまれ!

 「大丈夫でございますよ、ラムダ様」
 僕の懸念を払うようにエリアンが話した。
 「そのために他の夫たちを迎えられることが許されているのでございますからね」
 はい?
 僕は、目が点だった。
 ヴァルナムを産み落とすまでは、他の夫に慰めて貰えってことですか?
 いまいち僕は、承服しかねたのでエリアンに訊ねてみた。
 「その他にこの発情をおさめる方法はないわけ?」
 「ございませんね」
 くっきりきっぱりと答えるエリアンに僕は、ショックを隠せなかった。
 このまま子供が生まれ落ちるまでこの体の疼きが続くなんてとても堪えられない!
 だが、エリアンからすればこれは、仕方のないことのようだった。
 「とにかく、ヴァルナム様がお生まれになるまではロイダール様とディダル殿と仲睦まじくくらされることですね、ラムダ様」
 婚姻の儀の打ち合わせが滞りなく終了するとエリアンは、僕のもとを辞したが、その去り際に彼は僕に告げた。
 「そうそう、あのヤマトとかいう女神の聖者でございますが、ついに北の水源の浄化のために旅立ったそうで」
 「ヤマトが?」
 久しぶりにきくその名に僕は、びくんと体を震わせた。
 ヤマトが浄化の旅に向かったのか。
 エリアンは、僕に頷くと続けた。
 「なんでも北の水源地には、魔王の本拠地があるそうで、勇者のパーティーとはいえ、そこにたった5人で挑もうだなんて笑止千万でございますよ。正気の沙汰ではございません。もうたぶん、あのあなた様にむたいを働いた聖者が戻ってくることはないでしょうね」
 ヤマトが死ぬ?
 僕は、そのエリアンの言葉に打ちのめされていた。
 僕は、呆然としてエリアンの背を見送った。
 あの、ヤマトが死ぬ。
 僕のことを陥れそして、その挙げ句に辱しめて弄んだあのヤマトが?
 「へぇ、そうなんですか。ざまぁみろでございますね、ラムダ様」
 キーンが話すのがなんだか遠くに感じられた。
 「いなくなれば、せいせいしますね。あの鬼畜聖者」
 「だまれ!」
 僕は、思わず声を荒げていた。
 キーンが僕のことをまじまじと見つめている。
 「ラムダ様?」
 
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