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5 竜人族の里
5ー11 やり直しですか?
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5ー11 やり直しですか?
「その方の体内に宿っているのは、暗黒神ヴァルナム様のお子であり、同時にヴァルナム様ご自身でもあられるお子でございます」
フードから顔を覗かせたのは、あの神官エリアンだった。
「儀式によりヴァルナム様の精を注ぎ込みご懐妊されたヴァルナム様ご自身を今、神子様は、身籠っておられるのです」
マジですか?
僕が、はじめてきかされる話に唖然としているとエリアンが僕に向かってひれ伏した。
「お迎えにくるのが遅れてしまって申し訳ございません、ラムダ様」
「お迎えって?」
僕がきくと、エリアンは答えた。
「決まっているでしょう?さあ、家に帰りましょう、ラムダ様。ロイダール様もおいででございますよ」
「ロイが?」
僕がきくとエリアンが頷いた。
「ロイダール様にあっては、ラムダ様に嫌われてしまったのではとたいそう落ち込まれておられます。もう、目も当てられないぐらい痛々しいことでございますよ、ラムダ様」
ロイが落ち込んでる?
僕は、胸がちくりと痛むのを感じた。
「別にロイが嫌いだとかで出ていったわけじゃないし」
「本当なのか?」
天幕の中へとロイが駆け込んできた。
「本当に私が嫌いだから出ていったんじゃないんだな?」
ロイは、目の下にクマができていてイケメンぶりに傷が付いていた。
「お前が出ていったときいてから夜も眠れない。初めての夜にいきなり無体を働きすぎたからではないかと思って心配していたのだ」
「それは」
僕はあえて否定はしなかった。
だって、いろいろされたのは事実だしな。
「違うんだ、ロイ。それにエリアンも。僕が家を出ていったのはもうこれ以上誰にも迷惑をかけたくなかったからなんだ」
「迷惑などと!」
ロイが僕をディダルから奪い取り抱き締めた。
「私たちは、もう夫婦(めおと)じゃないか!」
「えっ?」
僕が返答に困っているとディダルが僕をロイから奪い返した。
「神子様がお困りではないか!」
「これは、私の妻だ!さわるな!」
「だが、この方は何よりもヴァルナム様の妃だ。その理の前には貴様との婚姻など何の意味もないわ!」
「何を!」
僕を間に挟んで睨みあう二人に僕は、困り果てていた。
どうすればいいんだよ?
「これは、平等に二人との婚姻の儀式をもう一度執り行うというのはいかがですかな?ラムダ様」
エリアンが笑顔を浮かべた。
「そうしようじゃないか、ラムダ」
「俺は、それでもかまわん」
二人に迫られて僕は、断ることができなくって。
気がつくと僕は、涙ぐみながら頷いていた。
「その方の体内に宿っているのは、暗黒神ヴァルナム様のお子であり、同時にヴァルナム様ご自身でもあられるお子でございます」
フードから顔を覗かせたのは、あの神官エリアンだった。
「儀式によりヴァルナム様の精を注ぎ込みご懐妊されたヴァルナム様ご自身を今、神子様は、身籠っておられるのです」
マジですか?
僕が、はじめてきかされる話に唖然としているとエリアンが僕に向かってひれ伏した。
「お迎えにくるのが遅れてしまって申し訳ございません、ラムダ様」
「お迎えって?」
僕がきくと、エリアンは答えた。
「決まっているでしょう?さあ、家に帰りましょう、ラムダ様。ロイダール様もおいででございますよ」
「ロイが?」
僕がきくとエリアンが頷いた。
「ロイダール様にあっては、ラムダ様に嫌われてしまったのではとたいそう落ち込まれておられます。もう、目も当てられないぐらい痛々しいことでございますよ、ラムダ様」
ロイが落ち込んでる?
僕は、胸がちくりと痛むのを感じた。
「別にロイが嫌いだとかで出ていったわけじゃないし」
「本当なのか?」
天幕の中へとロイが駆け込んできた。
「本当に私が嫌いだから出ていったんじゃないんだな?」
ロイは、目の下にクマができていてイケメンぶりに傷が付いていた。
「お前が出ていったときいてから夜も眠れない。初めての夜にいきなり無体を働きすぎたからではないかと思って心配していたのだ」
「それは」
僕はあえて否定はしなかった。
だって、いろいろされたのは事実だしな。
「違うんだ、ロイ。それにエリアンも。僕が家を出ていったのはもうこれ以上誰にも迷惑をかけたくなかったからなんだ」
「迷惑などと!」
ロイが僕をディダルから奪い取り抱き締めた。
「私たちは、もう夫婦(めおと)じゃないか!」
「えっ?」
僕が返答に困っているとディダルが僕をロイから奪い返した。
「神子様がお困りではないか!」
「これは、私の妻だ!さわるな!」
「だが、この方は何よりもヴァルナム様の妃だ。その理の前には貴様との婚姻など何の意味もないわ!」
「何を!」
僕を間に挟んで睨みあう二人に僕は、困り果てていた。
どうすればいいんだよ?
「これは、平等に二人との婚姻の儀式をもう一度執り行うというのはいかがですかな?ラムダ様」
エリアンが笑顔を浮かべた。
「そうしようじゃないか、ラムダ」
「俺は、それでもかまわん」
二人に迫られて僕は、断ることができなくって。
気がつくと僕は、涙ぐみながら頷いていた。
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