35 / 110
4 邪神の神子
4ー2 逃げよう!
しおりを挟む
4ー2 逃げよう!
はやく、ここから出ていかなくては。
だけど、なぜかメイソン辺境伯は、僕から離れようとしないし、キーンもなんか微笑ましげに僕たちのことを見ているし。
そうこうしているうちに夜が明けてきた。
ソドルが一番近くの教会の神官を叩き起こして特別結婚許可証を手に入れたうえに、婚姻の儀式をするために神官まで連れて戻ってきた。
ほんとに、いらんところで優秀だな!
こうして僕の気持ちを無視して事態は進んでいった。
朝日の差し込むサンルームで僕とロイの婚姻の儀式が執り行われることになってしまった。
婚姻の儀式の準備のためにみんなが僕たちの部屋から出ていってくれたので、やっとキーンと二人っきりになれた。
僕は、そっとキーンに告げた。
「逃げよう」
「はい?」
キーンが信じられないものを見るような目で僕を見た。
「なんでですか?ラムダ様」
「だって」
僕は、キーンに答えた。
「助けてもらっただけでも迷惑をかけることになったのに、そのうえ、僕を守るために偽装結婚までしてもらうなんて、申し訳がないよ」
「ここから出ていってどうするつもりなんですか?ラムダ様」
キーンがはぁっとため息をついた。
「僕たち、お金ももうないし、よくってもヤマト様の追っ手に捕らえられて連れ戻されるだけです。悪ければ、奴隷にされちゃいますよ?」
マジですか?
僕は、悩んでいた。
それは、嫌だな。
「魔物の森に逃げれば」
僕がいいかけるとキーンがきっぱりと言った。
「却下です。死んじゃいますよ、ラムダ様」
「でも!」
僕がいうと、キーンが応じた。
「いいですか?ラムダ様。人は、愛のみのために生きられるわけではありません。普通に愛のない結婚をみんなしています。むしろ、ラムダ様は幸運でございますよ?お相手が、若くて見目のよいうえにお優しい方なんですから」
はいぃ?
僕は、キーンに反論しようとした。
「もちろん、それはわかっているけど。でも!これ以上、メイソン辺境伯に甘えられないよ」
「私から見れば、かなりいい線いってると思うんですが」
キーンは、僕がメイソン辺境伯との婚姻の儀式で着用することになっている礼服を用意しながら話した。
「私から見れば、ラムダ様のことメイソン辺境伯は、すごく好いておられるように思われるんですが。いったい何がお気に召さないんですか?ラムダ様」
はやく、ここから出ていかなくては。
だけど、なぜかメイソン辺境伯は、僕から離れようとしないし、キーンもなんか微笑ましげに僕たちのことを見ているし。
そうこうしているうちに夜が明けてきた。
ソドルが一番近くの教会の神官を叩き起こして特別結婚許可証を手に入れたうえに、婚姻の儀式をするために神官まで連れて戻ってきた。
ほんとに、いらんところで優秀だな!
こうして僕の気持ちを無視して事態は進んでいった。
朝日の差し込むサンルームで僕とロイの婚姻の儀式が執り行われることになってしまった。
婚姻の儀式の準備のためにみんなが僕たちの部屋から出ていってくれたので、やっとキーンと二人っきりになれた。
僕は、そっとキーンに告げた。
「逃げよう」
「はい?」
キーンが信じられないものを見るような目で僕を見た。
「なんでですか?ラムダ様」
「だって」
僕は、キーンに答えた。
「助けてもらっただけでも迷惑をかけることになったのに、そのうえ、僕を守るために偽装結婚までしてもらうなんて、申し訳がないよ」
「ここから出ていってどうするつもりなんですか?ラムダ様」
キーンがはぁっとため息をついた。
「僕たち、お金ももうないし、よくってもヤマト様の追っ手に捕らえられて連れ戻されるだけです。悪ければ、奴隷にされちゃいますよ?」
マジですか?
僕は、悩んでいた。
それは、嫌だな。
「魔物の森に逃げれば」
僕がいいかけるとキーンがきっぱりと言った。
「却下です。死んじゃいますよ、ラムダ様」
「でも!」
僕がいうと、キーンが応じた。
「いいですか?ラムダ様。人は、愛のみのために生きられるわけではありません。普通に愛のない結婚をみんなしています。むしろ、ラムダ様は幸運でございますよ?お相手が、若くて見目のよいうえにお優しい方なんですから」
はいぃ?
僕は、キーンに反論しようとした。
「もちろん、それはわかっているけど。でも!これ以上、メイソン辺境伯に甘えられないよ」
「私から見れば、かなりいい線いってると思うんですが」
キーンは、僕がメイソン辺境伯との婚姻の儀式で着用することになっている礼服を用意しながら話した。
「私から見れば、ラムダ様のことメイソン辺境伯は、すごく好いておられるように思われるんですが。いったい何がお気に召さないんですか?ラムダ様」
6
お気に入りに追加
663
あなたにおすすめの小説
【R18】お嫁さんスライム娘が、ショタお婿さんといちゃらぶ子作りする話
みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。
前話
【R18】通りかかったショタ冒険者に襲い掛かったスライム娘が、敗北して繁殖させられる話
https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/384412801
ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで
真実は胸の中に
mahiro
BL
名すらつけて貰えなかった子供へ、とある男が最初で最期に託したものそれは。
「……あの子に………真実を……告げよ」
とある人物に真実を伝えよというものだった。
子供は頷くだけで声は一切出さず、消え行くものに背を向けその場を去った。
そして、遺言とも言えるそれを叶えるために手紙を書き、目的の人物へ確実に届くよう魔法を使った。
その後、目的の人物に手紙が渡った頃、その子供は姿を消していた。
あれから数年が経ち、名のなかった子供はシメオン・ブロンドーという名を貰い、山奥にある店で働いていた。
ある日のこと、店に見覚えのある人物たちが記憶よりも痩せ細った状態で現れた。
「この店に『20代後半の青髪の男性』はいるか?」
彼らは人探しをしているようで、少しでも該当する人物がいれば、自分達の国へ連れていき、依頼者に直接確認して貰っているらしい。
シメオンは髪色を本当は青髪だが、茶髪に魔法で変えているため該当はしていないが、年齢と性別は該当していたため、国へ連れて行かれることになった。
そのときは、まさか人生を変える出来事になるとは知らず………
王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。
薄明 喰
BL
アーバスノイヤー公爵家の次男として生誕した僕、ルナイス・アーバスノイヤーは日本という異世界で生きていた記憶を持って生まれてきた。
アーバスノイヤー公爵家は表向きは代々王家に仕える近衛騎士として名を挙げている一族であるが、実は陰で王家に牙を向ける者達の処分や面倒ごとを片付ける暗躍一族なのだ。
そんな公爵家に生まれた僕も将来は家業を熟さないといけないのだけど…前世でなんの才もなくぼんやりと生きてきた僕には無理ですよ!!
え?
僕には暗躍一族としての才能に恵まれている!?
※すべてフィクションであり実在する物、人、言語とは異なることをご了承ください。
色んな国の言葉をMIXさせています。
いらないと言ったのはあなたの方なのに
水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬
◇いいね、エールありがとうございます!
離縁しようぜ旦那様
たなぱ
BL
『お前を愛することは無い』
羞恥を忍んで迎えた初夜に、旦那様となる相手が放った言葉に現実を放棄した
どこのざまぁ小説の導入台詞だよ?旦那様…おれじゃなかったら泣いてるよきっと?
これは、始まる冷遇新婚生活にため息しか出ないさっさと離縁したいおれと、何故か離縁したくない旦那様の不毛な戦いである
ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました
中七七三
恋愛
わたしっておかしいの?
小さいころからエッチなことが大好きだった。
そして、小学校のときに起こしてしまった事件。
「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」
その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。
エッチじゃいけないの?
でも、エッチは大好きなのに。
それでも……
わたしは、男の人と付き合えない――
だって、男の人がドン引きするぐらい
エッチだったから。
嫌われるのが怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる