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3 望まぬ妊娠

3ー9 庇護欲ですか?

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 3ー9 庇護欲ですか?

 「下がって」
 メイソン辺境伯は、僕を下がらせると腰の長剣へと手を伸ばす。
 すらりと剣を抜くとその銀色の刀身を僕に向けて構える。
 「動くなよ、ラムダ」
 一瞬。
 美しい光を放ったかと思うとその剣は、ベッドごと僕を繋いでいる鎖を切断した。
 「何事だ!」
 何人かの神官たちが部屋へと駆け込んできた。
 メイソン辺境伯は、すぐに僕を抱き上げると窓へと走った。
 窓から下を見て僕は、息を飲んだ。
 ここは、3階だった。
 僕は、メイソン辺境伯を見上げた。
 彼は、僕のことを抱く手に力を込めると窓から身を乗り出した。
 「口をしっかり閉じていろよ、ラムダ」
 そういうと彼は、僕を抱いたまま窓から身を踊らせた。
 「ぎぃやあぁあぁっ!」
 落下していきながら僕は、目を閉じて悲鳴を上げた。
 突然、ふわりと体が風に浮くのを感じた。
 ゆっくりと目を開くと僕たちは、巨大な飛竜の背に受け止められていた。
 「大丈夫でございますか?ロイダール様」
 「遅いぞ!ソドル!」
 「ラムダ様!」
 ソドルの懐からキーンが顔を出す。
 「キーン?」
 「みなさん、しっかりつかまってください!」
 ソドルが言ったので、僕らは、竜の背につかまって身を低くした。
 飛竜は、一声高く鳴くと、僕らをのせたまますごい勢いで街の上空へと急上昇した。
 街の明かりがキラキラしてまるで夢のように美しかった。
 僕をかばうように抱き締めてくれているメイソン辺境伯のことを僕は、ちらりと盗み見た。
 彼は、まるで神話の中にでてくる勇者様のように美しかった。
 僕がつい目を奪われていると、それに気づいてメイソン辺境伯は、僕ににこっと微笑んだ。
 「どうした?ラムダ」
 「なんで」
 僕は、彼に訊ねた。
 「僕を助けに来てくれたの?」
 「それは」
 メイソン辺境伯がよくとおる声で囁いた。
 「君が助けを求めていると思ったからだ」
 「そうなんだ」
 僕は、うつ向くと小声で呟いた。
 「ありがと」
 「どういたしまして」
 メイソン辺境伯が背後から僕のことをぎゅっと抱き締めた。
 「なんだか、君には、庇護欲をそそられれるんだよ、ラムダ」
 「辺境伯」
 僕は、ただ彼の中に包まれて身を固くしていた。
 
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