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3 望まぬ妊娠

3ー1 旧友たち

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 3ー1 旧友たち

 僕は、宿屋の前でキーンたちと別れると神官たちのあとについて宿屋の奥へと入っていった。
 長い通路の先には、選ばれた人々のみが宿泊することを許される貴賓室があり、ヤマトは、その一室に宿泊していた。
 「どうぞ中へ」
 入り口で神官たちに促されて僕は、その部屋へと入っていった。
 白を基調とした豪華な部屋だった。
 その部屋の中央におかれた立派なソファに腰かけたヤマトが僕の姿を見ると立ち上がって駆け寄ってくる。
 「ああ、会いたかった、僕のラムダ」
 聖者の白衣に身を包んだヤマトは、清廉で雄々しかった。
 僕は、彼の姿を見てなぜか、胸が痛んだ。
 ずっと、友達だと信じていたのに!
 僕を騙して、この地に追放させた張本人を前にして僕は、複雑な思いだった。
 そんなことは思いもしないヤマトは、僕のことをいきなり抱き締めようと手を伸ばしてきた。
 暖かい手。
 僕のことをいつも守ってくれていた手。
 だが。
 僕は、そのヤマトの手を振り払った。
 「ヤマト、君が僕にしたこと、僕はまだ許したわけじゃないんだよ?」
 「私がしたこと?」
 ヤマトが傷ついたような表情で僕のことを見つめた。
 「私は、悪くない。悪いのは、私を拒んだ君だ、ラムダ」
 「なっ!」
 僕は、つい怒りのあまり声を荒げてしまった。
 「僕を無実の罪で陥れて王都から追放させたじゃないか!」
 「あれは」
 ヤマトが目を閉じた。
 「君がどうしても私に心を開いてくれなかったから仕方なくしたことだ。でも、私の嘘偽りのない心は、君への愛に溢れていること、君が一番わかってくれているだろう?ラムダ」
 「ヤマト」
 僕は、きっぱりと告げた。
 「何度も言うけど、僕は、君のことなんか少しも愛してなんていない!」
 「まあ、話は後だ」
 ヤマトは、僕にソファに腰かけるようにと促すとにっこりと微笑んだ。
 「まずは、久しぶりに会う友人をもてなしたい。お茶でもどうだ?ラムダ」
 僕は、腹立たしかったが大人しくヤマトの言う通りにソファに腰かけるとヤマトの侍従らしき神官の差し出したお茶のカップを受け取った。
 ほのかに甘い香りがする。
 「この辺りの名産のお茶、君の好みそうな味だったから用意させたんだよ、ラムダ」
 ヤマトがじっと見守るなか僕は、お茶を一口含んだ。
 いつもと変わらない味が口中に拡がっていく。
 どうやら毒は、入れられていないようだ。
 僕は、ごくりと飲み込んだ。
 
 
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