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6 聖者なんかじゃありません!
6ー6 神官長
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6ー6 神官長
俺が神殿に入ったのは、それから3日後のことだった。
身の回りの世話をするという名目でロタもついてくることになったが、それ以外は、何も持ち込むことは許されなかった。
俺は、体一つで神殿へと赴いた。
神殿では、立派な個室を与えられた。
なんか、嫌な予感しかしない。
俺は、そこで神殿の神官服に着替えると神官長に挨拶に行くことになった。
神官長の部屋に行く途中で俺は、めまいを覚えた。
気分が悪い。
「どうされましたか?」
同じように神官服に着替えたロタが俺に訊ねた。
俺は、ロタを睨んだ。
こいつ。
すべてを知っているくせに!
「なんでも、ない」
俺は、神官長の部屋へと向かった。
案内の神官が俺のことを心配そうに見つめて訊ねた。
「大丈夫ですか?オルナム様。顔色がお悪いようですが」
「大丈夫、だ」
俺は、神官長への挨拶とやらをさっさとすませてしまいたかった。
神殿の最奥部に神官長の部屋は、あった。
案内の神官が扉をノックすると返事があった。
「お入り」
「失礼します」
案内の神官は、俺たちを引き連れて部屋へと入っていった。
「聖者見習いのオルナム様をご案内いたしました」
窓際のデスクで書類に目を通しながら神官長は、頷くと顔をあげて俺を見た。
「よく来られた。オルナム殿」
俺は、声が出なかった。
マヤハ・グーズリー神官長は、でっぷりと肥えた女だ。
灰色の冴えない髪色に茶色の瞳。
もともとは、前女王が平民の男との間に作った子供だったマヤハは、王家に受け入れられることはなく、神殿に入れられたのだという。
それ以来、王家の権力を背景に神殿で力をつけていき今の神官長の座についた。
その影で何人ものライバルたちを蹴落とし、追放に追い込んできた怖い女だ。
中には、謎の死を遂げた人物だっているらしい。
俺は、ぎゅっと身構えていた。
グーズリー神官長は、そんな俺を見て目を細めた。
「なんでもずいぶん勇ましい武勇伝を持っておられるとかお聞きしたが、なんともおかわいらしい方で驚きましたな」
神官長は、俺を値踏みするようにじっとりと見つめた。
「ぜひ、神殿に残る道を選ばれますように祈っております」
そう言って奴は、笑った。
俺が神殿に入ったのは、それから3日後のことだった。
身の回りの世話をするという名目でロタもついてくることになったが、それ以外は、何も持ち込むことは許されなかった。
俺は、体一つで神殿へと赴いた。
神殿では、立派な個室を与えられた。
なんか、嫌な予感しかしない。
俺は、そこで神殿の神官服に着替えると神官長に挨拶に行くことになった。
神官長の部屋に行く途中で俺は、めまいを覚えた。
気分が悪い。
「どうされましたか?」
同じように神官服に着替えたロタが俺に訊ねた。
俺は、ロタを睨んだ。
こいつ。
すべてを知っているくせに!
「なんでも、ない」
俺は、神官長の部屋へと向かった。
案内の神官が俺のことを心配そうに見つめて訊ねた。
「大丈夫ですか?オルナム様。顔色がお悪いようですが」
「大丈夫、だ」
俺は、神官長への挨拶とやらをさっさとすませてしまいたかった。
神殿の最奥部に神官長の部屋は、あった。
案内の神官が扉をノックすると返事があった。
「お入り」
「失礼します」
案内の神官は、俺たちを引き連れて部屋へと入っていった。
「聖者見習いのオルナム様をご案内いたしました」
窓際のデスクで書類に目を通しながら神官長は、頷くと顔をあげて俺を見た。
「よく来られた。オルナム殿」
俺は、声が出なかった。
マヤハ・グーズリー神官長は、でっぷりと肥えた女だ。
灰色の冴えない髪色に茶色の瞳。
もともとは、前女王が平民の男との間に作った子供だったマヤハは、王家に受け入れられることはなく、神殿に入れられたのだという。
それ以来、王家の権力を背景に神殿で力をつけていき今の神官長の座についた。
その影で何人ものライバルたちを蹴落とし、追放に追い込んできた怖い女だ。
中には、謎の死を遂げた人物だっているらしい。
俺は、ぎゅっと身構えていた。
グーズリー神官長は、そんな俺を見て目を細めた。
「なんでもずいぶん勇ましい武勇伝を持っておられるとかお聞きしたが、なんともおかわいらしい方で驚きましたな」
神官長は、俺を値踏みするようにじっとりと見つめた。
「ぜひ、神殿に残る道を選ばれますように祈っております」
そう言って奴は、笑った。
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