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4 魔法学園の花ですか?(3)
4ー4 守られたくない!
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4ー4 守られたくない!
一ヶ月後。
俺たちは、魔法学園恒例、クィンティラ・ダンジョンへの演習旅行に向かっていた。
クィンティラ・ダンジョンは、王都の近くでもあるし冒険者たちの乗り合い馬車も出ているようなところだ。
だから、俺は、移動について考えてはいなかったんだが、さすが天下の魔法学園だ。
全生徒がそれぞれが組んだパーティごとに貸しきり馬車に乗っての移動だった。
「いやぁ、姉上とご一緒できるとは光栄至極ですね」
アウラ王女殿下が口元を綻ばせる。
それとは反してバルトレット王女殿下は、むすっとした表情だ。
ほんとにこの二人仲悪いのな。
だって、アウラ王女殿下の目が笑ってないし。
俺たちのパーティは、この二人と俺、それにロタの4人だ。
この魔法学園の恒例行事は、一泊二日の小旅行になっている。
つまり、俺たちは、このメンバーでダンジョン内で夜営するわけだ。
嫌な予感しかない。
救いは、王女殿下たちについている護衛の騎士達が付かず離れず同行してくれてるってことだけ。
もし、二人が掴み合いの喧嘩でも始めたら飛んできて止めてくれるだろう。
だが、実際には、この二人が掴み合いの喧嘩をすることなんてない。
もしかしたら、どちらかが、というかバルトレット王女殿下がアウラ王女殿下にちょっとした毒を盛ることぐらいならあるかもしれない。
しかし、たぶん、掴み合いの喧嘩にはならないだろう。
だって、二人は、体格が違いすぎるし。
絶対にまともに喧嘩したらバルトレット王女殿下が負けるに決まっている。
それがバルトレット王女殿下のコンプレックスでもあるわけだしな。
とにかく馬車の中の雰囲気は、最悪だった。
「ダンジョンでは、俺が前衛やりますね」
俺は、少しでも雰囲気を和ませようと思って明るく宣言した。
てか、俺しか前に出れなくね?
王女殿下たちに前で戦わせて俺が守られてるわけにはいかないし。
だが、女のプライドを刺激してしまったらしく、二人とも俺に食って掛かった。
「私が前衛を勤める!」
バルトレット王女殿下が頬を上気させる。
「この私が婚約者に守られていると思われたくはない!」
「私だって」
アウラ王女殿下が負けずに口を挟む。
「愛しい男に守られたいとは思わん!」
一ヶ月後。
俺たちは、魔法学園恒例、クィンティラ・ダンジョンへの演習旅行に向かっていた。
クィンティラ・ダンジョンは、王都の近くでもあるし冒険者たちの乗り合い馬車も出ているようなところだ。
だから、俺は、移動について考えてはいなかったんだが、さすが天下の魔法学園だ。
全生徒がそれぞれが組んだパーティごとに貸しきり馬車に乗っての移動だった。
「いやぁ、姉上とご一緒できるとは光栄至極ですね」
アウラ王女殿下が口元を綻ばせる。
それとは反してバルトレット王女殿下は、むすっとした表情だ。
ほんとにこの二人仲悪いのな。
だって、アウラ王女殿下の目が笑ってないし。
俺たちのパーティは、この二人と俺、それにロタの4人だ。
この魔法学園の恒例行事は、一泊二日の小旅行になっている。
つまり、俺たちは、このメンバーでダンジョン内で夜営するわけだ。
嫌な予感しかない。
救いは、王女殿下たちについている護衛の騎士達が付かず離れず同行してくれてるってことだけ。
もし、二人が掴み合いの喧嘩でも始めたら飛んできて止めてくれるだろう。
だが、実際には、この二人が掴み合いの喧嘩をすることなんてない。
もしかしたら、どちらかが、というかバルトレット王女殿下がアウラ王女殿下にちょっとした毒を盛ることぐらいならあるかもしれない。
しかし、たぶん、掴み合いの喧嘩にはならないだろう。
だって、二人は、体格が違いすぎるし。
絶対にまともに喧嘩したらバルトレット王女殿下が負けるに決まっている。
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とにかく馬車の中の雰囲気は、最悪だった。
「ダンジョンでは、俺が前衛やりますね」
俺は、少しでも雰囲気を和ませようと思って明るく宣言した。
てか、俺しか前に出れなくね?
王女殿下たちに前で戦わせて俺が守られてるわけにはいかないし。
だが、女のプライドを刺激してしまったらしく、二人とも俺に食って掛かった。
「私が前衛を勤める!」
バルトレット王女殿下が頬を上気させる。
「この私が婚約者に守られていると思われたくはない!」
「私だって」
アウラ王女殿下が負けずに口を挟む。
「愛しい男に守られたいとは思わん!」
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