上 下
18 / 105
2 魔法学園の花ですか?

2ー9 性癖ですか?

しおりを挟む
 2ー9 性癖ですか?

 アウラ王女殿下の言葉に俺は、困り果てていた。
 どう答えても不敬にしかならん。
 俺が口をはくはくさせていると教室の扉が開いて教師が入ってきた。
 俺は、これ幸いとアウラ王女殿下から視線をそらした。
 教師は、特別クラスの生徒たちを見回した。
 小柄な藍色の髪を肩までで切り揃えた少し幼く見える女教師は、ちらりと俺を見た。
「授業を始める前に自己紹介をしようか。諸君は、これから4年間ともに学ぶ学友たちだ。お互いのことを知るのもいいことだろう」
 女教師は、教壇にもたれて身を乗り出して控えめな笑みを浮かべる。
 「私は、ミラン・フォルダ。魔法学を担当する教師であり、この特別クラスの担任を勤める。男の好みは、尻が大きな男だ。よろしく頼む」
 はい?
 俺は、遠浅に引いていた。
 いきなり性癖暴露するとか、おかしいんじゃないか?
 だが、俺とロタ以外の生徒たちは、面白げにニヤニヤ笑っている。
 チッ。
 俺は、舌打ちした。
 猿なみのレベルの低さだな!
 まあ、俺も先生の豊満なボディしか見てないし。
 「失礼な!」
 ロタが隣の席で拳を握りしめた。
 俺は、そっと、ロタの肩に手を触ると小声でささやいた。
 「落ち着け。これぐらいのこと、たえられないでどうする」
 「しかし、オルナムさま」
 「かまわんだろう。尻がどうとかどうでもいいし」
 「どうでもよくはないです!」
 ロタが頬を上気させてどん、と机を叩く。
 一瞬、教室内が水を打った様に静まりかえった。
 「じゃあ、次は、君」
 ミラン先生がロタを指差した。
 ロタは、クラス全員の視線を集めていることに気づくと顔を真っ赤にしてアワアワした。
 ミラン先生が笑いを噛み殺しているのがわかった。
 パニックになっているロタに代わって俺は、その場に立ち上がった。
 「私の従僕であるロタの代わりに主である私が先に挨拶させていただく」
 「ほう?」
 ミラン先生が愉快そうに頷いた。
 「かまわん。ジェントルファストだ」
 「では」
 俺は、ぐるりとクラス中の女たちを見回した。
 「私は、エルガーナ辺境伯家が三男、オルナム・フォル・エルガーナ。男の身でありながら今日よりこの伝統ある魔法学園の末席を汚させていただきます」
 「よく言う」
 ミラン先生が皮肉っぽく笑った。
 「このクラスの首席は、君なんだがね、エルガーナ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

無能な悪役王子に転生した俺、推しの為に暗躍していたら主人公がキレているようです。どうやら主人公も転生者らしい~

そらら
ファンタジー
【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】 大人気ゲーム「剣と魔法のファンタジー」の悪役王子に転生した俺。 王族という血統でありながら、何も努力しない怠惰な第一王子。 中盤で主人公に暗殺されるざまぁ対象。 俺はそんな破滅的な運命を変える為に、魔法を極めて強くなる。 そんで推しの為に暗躍してたら、主人公がキレて来たんだが? 「お前なんかにヒロインと王位は渡さないぞ!?」 「俺は別に王位はいらないぞ? 推しの為に暗躍中だ」 「ふざけんな! 原作をぶっ壊しやがって、殺してやる」 「申し訳ないが、もう俺は主人公より強いぞ?」 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル総合週間ランキング50位入り。1300スター、3500フォロワーを達成!

ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語

ヒィッツカラルド
ファンタジー
ハクスラ異世界✕ソロ冒険✕ハーレム禁止✕変態パラダイス✕脱線大暴走ストーリー=166万文字完結÷微妙に癖になる。 変態が、変態のために、変態が送る、変態的な少年のハチャメチャ変態冒険記。 ハクスラとはハックアンドスラッシュの略語である。敵と戦い、どんどんレベルアップを果たし、更に強い敵と戦いながら、より良いマジックアイテムを発掘するゲームのことを指す。 タイトルのままの世界で奮闘しながらも冒険を楽しむ少年のストーリーです。(タイトルに一部偽りアリ)

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

エロゲーの悪役に転生した俺、なぜか正ヒロインに溺愛されてしまった件。そのヒロインがヤンデレストーカー化したんだが⁉

菊池 快晴
ファンタジー
入学式当日、学園の表札を見た瞬間、前世の記憶を取り戻した藤堂充《とうどうみつる》。 自分が好きだったゲームの中に転生していたことに気づくが、それも自身は超がつくほどの悪役だった。 さらに主人公とヒロインが初めて出会うイベントも無自覚に壊してしまう。 その後、破滅を回避しようと奮闘するが、その結果、ヒロインから溺愛されてしまうことに。 更にはモブ、先生、妹、校長先生!? ヤンデレ正ヒロインストーカー、不良ヤンキーギャル、限界女子オタク、個性あるキャラクターが登場。 これは悪役としてゲーム世界に転生した俺が、前世の知識と経験を生かして破滅の運命を回避し、幸せな青春を送る為に奮闘する物語である。

処理中です...