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20 魔王国開拓史?
20ー2 拐ったのにはワケがある。
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20ー2 拐ったのにはワケがある。
キエとわたしは、のんびりとお茶を飲みながら話をした。
どうやらキエは、さっき見かけた兵士の妹で普段は、宮廷で魔王様の親衛隊をしているらしい。
まあ、身辺警護兼メイドさんって感じかな?
どうやらけっこういい家の子らしくってお茶を入れたりしたことはまったくなかったらしかった。
というか、本人曰く、この魔王国では、国民はみな戦士であり、兵士なのだという。
つまり誰も生産者ではないのだ。
「じゃあ、食べ物はどうしてるわけ?」
わたしがきくとキエは、屈託のない笑みを浮かべて答えた。
「全て、女神様がお恵みくださいます
」
はいぃっ?
わたしは、奇妙な既視感を持って訊ねた。
「どういうこと?」
キエは、わたしに説明してくれた。
「この国では、すべての食べ物や生活用品、衣類、はては武器に至るまで女神のダンジョンから与えられるのです」
でました!
わたしは、くぅっと呻く。
また、これだよ!
わたしは、お茶を美味しそうに飲み干したキエのためにもう一杯いれてやるために立ち上がった。
もう、完全に立場は逆転していた。
キエは、何にも考えていないのか、天真爛漫なのかしらないがわたしににこにこしながら話した。
「でも、この聖女様のいれてくれたお茶、信じられないぐらいおいしいですぅ。ダンジョンのお茶とはまったく違いますぅ!」
きくとこれは、グレングルド王国で特別に手に入れた品であり、ダンジョン製ではないのだという。
「だって、人間ってすぐに弱っちゃうから、聖女様が弱っちゃわないようにって魔王様が用意させたんです」
マジですか?
入れ直したお茶のカップをキエに渡すとキエは、喜んで受け取った。
まったく。
これは、内通者がいること確定だな!
「ところでなんで魔王様は、わたしを拐わせたわけ?」
わたしが何気なくきくとキエがうーん、と呻いた。
「わたしもよくわからないんですけど。なにせ、魔王様は、すごく頭がいいですから。きっと、何かすごい理由があるんだと思いますよ」
何?
この曖昧さ。
わたしが呆れていると部屋の扉が開いて誰かが入ってきた。
「あっ!魔王様!」
わたしは、思わず咳き込んでしまった。
魔王だって?
「大丈夫か?聖女殿」
ムセ込んでいるわたしに魔王様が心配そうに声をかけてきた。
キエが慌ててわたしの背中をバンバン叩いた。
「わぁあん!聖女様、死なないで!」
「・・れが・・」
わたしは、顔をあげるとキエに向かって喚いた。
「誰が、そんな簡単に死んじゃうんだよ!」
「あっ!大丈夫だ!」
キエがにっこりとする。
「聖女様、よかった!」
まったく。
なんか調子が狂うな!
魔王様がごほん、と咳払いをした。
「キエ。少し席をはずしてくれるか?」
「はぁい、魔王様」
キエがでていくのを見送ってから魔王様がわたし向き直った。
「この度は、よく魔王国まで来てくれた。礼を言わせてもらうぞ、聖女殿」
「いや。別に好きできたわけじゃねぇし」
わたしは、きっぱりくっきりと言ってやった。
「はっきり言ったら、あんたたちに拐われたんだし」
「まあ、そうなんだがな」
魔王様がとりつくろうように笑った。
「聖女殿に来ていただいたのには、わけがあってな」
「そりゃ、あるでしょうね」
わたしは、怒りモードに入っていた。
「理由もなくこんなおばはんを拐うわけがないですもんね」
キエとわたしは、のんびりとお茶を飲みながら話をした。
どうやらキエは、さっき見かけた兵士の妹で普段は、宮廷で魔王様の親衛隊をしているらしい。
まあ、身辺警護兼メイドさんって感じかな?
どうやらけっこういい家の子らしくってお茶を入れたりしたことはまったくなかったらしかった。
というか、本人曰く、この魔王国では、国民はみな戦士であり、兵士なのだという。
つまり誰も生産者ではないのだ。
「じゃあ、食べ物はどうしてるわけ?」
わたしがきくとキエは、屈託のない笑みを浮かべて答えた。
「全て、女神様がお恵みくださいます
」
はいぃっ?
わたしは、奇妙な既視感を持って訊ねた。
「どういうこと?」
キエは、わたしに説明してくれた。
「この国では、すべての食べ物や生活用品、衣類、はては武器に至るまで女神のダンジョンから与えられるのです」
でました!
わたしは、くぅっと呻く。
また、これだよ!
わたしは、お茶を美味しそうに飲み干したキエのためにもう一杯いれてやるために立ち上がった。
もう、完全に立場は逆転していた。
キエは、何にも考えていないのか、天真爛漫なのかしらないがわたしににこにこしながら話した。
「でも、この聖女様のいれてくれたお茶、信じられないぐらいおいしいですぅ。ダンジョンのお茶とはまったく違いますぅ!」
きくとこれは、グレングルド王国で特別に手に入れた品であり、ダンジョン製ではないのだという。
「だって、人間ってすぐに弱っちゃうから、聖女様が弱っちゃわないようにって魔王様が用意させたんです」
マジですか?
入れ直したお茶のカップをキエに渡すとキエは、喜んで受け取った。
まったく。
これは、内通者がいること確定だな!
「ところでなんで魔王様は、わたしを拐わせたわけ?」
わたしが何気なくきくとキエがうーん、と呻いた。
「わたしもよくわからないんですけど。なにせ、魔王様は、すごく頭がいいですから。きっと、何かすごい理由があるんだと思いますよ」
何?
この曖昧さ。
わたしが呆れていると部屋の扉が開いて誰かが入ってきた。
「あっ!魔王様!」
わたしは、思わず咳き込んでしまった。
魔王だって?
「大丈夫か?聖女殿」
ムセ込んでいるわたしに魔王様が心配そうに声をかけてきた。
キエが慌ててわたしの背中をバンバン叩いた。
「わぁあん!聖女様、死なないで!」
「・・れが・・」
わたしは、顔をあげるとキエに向かって喚いた。
「誰が、そんな簡単に死んじゃうんだよ!」
「あっ!大丈夫だ!」
キエがにっこりとする。
「聖女様、よかった!」
まったく。
なんか調子が狂うな!
魔王様がごほん、と咳払いをした。
「キエ。少し席をはずしてくれるか?」
「はぁい、魔王様」
キエがでていくのを見送ってから魔王様がわたし向き直った。
「この度は、よく魔王国まで来てくれた。礼を言わせてもらうぞ、聖女殿」
「いや。別に好きできたわけじゃねぇし」
わたしは、きっぱりくっきりと言ってやった。
「はっきり言ったら、あんたたちに拐われたんだし」
「まあ、そうなんだがな」
魔王様がとりつくろうように笑った。
「聖女殿に来ていただいたのには、わけがあってな」
「そりゃ、あるでしょうね」
わたしは、怒りモードに入っていた。
「理由もなくこんなおばはんを拐うわけがないですもんね」
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