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17 王都で先生になりました。
17ー5 選ばなかった未来
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17ー5 選ばなかった未来
わたしは、しばらく家にこもっていた。
やりたいことも、考えなくてはならないこともいっぱいあったし。
だけど。
わたしは、何も考えることもなくただぼんやりとして過ごしていた。
ライナス先生の望んだ国民皆保険制度をなんとか実現させるためにもやらなきゃいけないことはたくさんあった。
だけど。
わたしは、気がつくとぼんやりとして手をとめてたたずむようになっていた。
わたしは、ため息をつくとふと左の人差し指に輝いている赤い石に目をとめる。
これは、ライナス先生の形見だった。
彼がわたしに唯一残したものだ。
その赤い魔石のついた指輪は、ライナス先生のくれた結婚指輪だった。
こんなもの要らないと言うわたしに、それでもライナス先生が手をとってはめてくれた。
これは、ライナス先生からの最後の贈り物だった。
これがあるからわたしは、生きていかかなくてはならなかった。
いっそ。
このまま消えてしまえたらいいのに。
わたしは、自ら死を望むことすら許されてはいないのだ。
だめだ!
わたしは、頭を振った。
本当にこれでよかったのか?
そんなこと、永遠に答えなどでない。
きっと、自虐的なことなのだ。
わたしは、自分自身を憐れんでいるのだ。
女神にこんな隙をみせずにいなくてはならないのに。
わたしは、考えずにはいられなかった。
もっと違う未来をわたしは、選べたのではないのか?
こんなわたしが生き延びれていたのは、優秀なラーズさんとマックス様のおかげだった。
彼らは、常にわたしのことを気にかけてくれ、部下であれ、使用人であれ、誰かれに命じてわたしの様子をのぞかしてくれていた。
彼らが朝夕に運んでくれる食事がなければ、まず、わたしは、生きられなかっただろう。
わたしは、服を着替えることも風呂にはいることもせず、ただ生きていた。
そんなわたしにルゥが冷たく言った。
「もっと違う未来なんてありえないし。今あることだけが確かなことなんだから」
ルゥは、わたしに囁いた。
「君の選ばなかった未来なんかにとらわれるのはやめて、選んだ未来のために全力でいきればいいんじゃないの?トガー」
わたしは、しばらく家にこもっていた。
やりたいことも、考えなくてはならないこともいっぱいあったし。
だけど。
わたしは、何も考えることもなくただぼんやりとして過ごしていた。
ライナス先生の望んだ国民皆保険制度をなんとか実現させるためにもやらなきゃいけないことはたくさんあった。
だけど。
わたしは、気がつくとぼんやりとして手をとめてたたずむようになっていた。
わたしは、ため息をつくとふと左の人差し指に輝いている赤い石に目をとめる。
これは、ライナス先生の形見だった。
彼がわたしに唯一残したものだ。
その赤い魔石のついた指輪は、ライナス先生のくれた結婚指輪だった。
こんなもの要らないと言うわたしに、それでもライナス先生が手をとってはめてくれた。
これは、ライナス先生からの最後の贈り物だった。
これがあるからわたしは、生きていかかなくてはならなかった。
いっそ。
このまま消えてしまえたらいいのに。
わたしは、自ら死を望むことすら許されてはいないのだ。
だめだ!
わたしは、頭を振った。
本当にこれでよかったのか?
そんなこと、永遠に答えなどでない。
きっと、自虐的なことなのだ。
わたしは、自分自身を憐れんでいるのだ。
女神にこんな隙をみせずにいなくてはならないのに。
わたしは、考えずにはいられなかった。
もっと違う未来をわたしは、選べたのではないのか?
こんなわたしが生き延びれていたのは、優秀なラーズさんとマックス様のおかげだった。
彼らは、常にわたしのことを気にかけてくれ、部下であれ、使用人であれ、誰かれに命じてわたしの様子をのぞかしてくれていた。
彼らが朝夕に運んでくれる食事がなければ、まず、わたしは、生きられなかっただろう。
わたしは、服を着替えることも風呂にはいることもせず、ただ生きていた。
そんなわたしにルゥが冷たく言った。
「もっと違う未来なんてありえないし。今あることだけが確かなことなんだから」
ルゥは、わたしに囁いた。
「君の選ばなかった未来なんかにとらわれるのはやめて、選んだ未来のために全力でいきればいいんじゃないの?トガー」
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