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14 忘却と罪

14ー3 若者たち

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 14ー3 若者たち

 「もう『教団』は、あなたに目をつけているわよ、トガー様」
 レイアさんがいつもの表情でいたづらっぽく微笑んだ。
 わたしは、レイアさんに笑いかけた。
 落ち着いてくれたかな?
 穏やかな水流をおこしてレイアさんの全身をくまなく洗浄するとわたしは、お湯を消し去った。
 そして、暖かい風でレイアさんの全身を乾かした。
 「あら、便利ね」
 レイアさんは、されるがままになっていたが、さっきまでの不安げな様子はなくなっていた。
 わたしは、レイアさんのメイドさんたちと一緒にレイアさんにドレスを着せていった。
 それは、用意していた淡いピンクの可愛らしいフリルのついたドレスだった。
 そして、メイドさんがレイアさんの髪を緩く結い上げた。
 わたしは、レイアさんに軽く化粧をしてやるとその手をとった。
 「さあ、急がなくては。パーティーに遅れてしまいますよ」
 レイアさんと共に会場に戻るとわたしたちのもとへと王妃様が近づいてきた。
 「姿が見えないから心配してたのよ、あなたたち」
 王妃様は、わたしたちの後ろからミニスカメイドさんと一緒にやってきたライザを見て微笑んだ。
 「この子がフェブリウス伯爵のお嬢さんね」
 「は、はじめまして、ライザ・フォン・フェブリウスでございます。王妃様におかれましては、ご機嫌麗しく」
 「堅苦しい挨拶は、よろしくってよ、ライザ」
 王妃様がにっこりと笑みを浮かべる。
 「私の息子を紹介するわ。末っ子のアルバトスよ」
 王妃様の背後からちょこんと王妃様によく似た髪の色の美少年が顔を出した。
 「はじめまして、アルバトスと申します。よろしく」
 アルバトス少年は、慣れた手付きでライザの手をとり口づけした。
 ライザがかぁっと頬を赤らめる。
 「あ、あの」
 「あなた方は、ちょっとダンスでも踊ってらっしゃいな。若いんですもの、ダンスぐらい楽しまなくては」
 「よかったら、御一緒願えますか、レディ」
 アルバトス少年にダンスに誘われてライザは、真っ赤になっていた。
 うーん。
 さすがは、浮気者の家系だ。
 幼くとも侮れない。
 わたしは、後でライザに釘を指しておくことにした。
 わたしたちは、しばらく人々の輪の中心でダンスを始めた二人を見守っていた。
 
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