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14 忘却と罪
14ー2 ここだけの話
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14ー2 ここだけの話
わたしは、いまにも泣き出しそうになっているレイアさんを見て口を閉じた。
しかも、よくよく見るとレイアさんが身に付けている白いワンピースのような部屋着の腰の辺りには染みがあった。
あれ?
わたしは、首を傾げた。
もしかして?
「タリアさんは、どこですか?」
「あ、あの子は・・・」
レイアさんは、視線を泳がせながらもおどおどと答えた。
「トガー様、どうか、あの子を叱らないで!あの子は、悪くないの。ただ、少し、その・・・」
「タリアさんは、今、ここにいないんですね?」
わたしが訊ねるとレイアさんは視線をそらした。
「ええ、今は、いないの」
ふむふむ。
わたしは、頷いた。
「とにかく部屋を片付けましょうか、レイアさん」
わたしは、レイアさんに声をかけると彼女を促して部屋を片付け始めた。
といっても散らばった衣類を一ヶ所に集めたり、窓を開けて空気の入れ換えをしたりしてるだけだけどな。
「シーツは、どこですか?」
「シーツ?」
レイアさんが戸惑いを隠せない。
「どこかしら?」
うん。
わたしは、部屋の荒らされたタンスの中や、ワードローブの中を覗いていった。
すると、大きなタンスの1番下の引き出しに突っ込まれていた湿ったシーツを発見した。
「あ、ありました!」
わたしの言葉をきいてレイアさんがほっと吐息をもらした。
レイアさんの表情に少し余裕が感じられるようになったので、わたしもほっとしていた。
わたしは、汚れたシーツを丸めて集めた衣類の上に置くと、思い付いたようにレイアさんを振り返った。
「レイアさん、もうパーティーが始まってますよ。ドレスを着なくっちゃ」
「でも、私・・・」
レイアさんの表情がまたかげる。
わたしは、できるだけ優しく微笑んだ。
「大丈夫です、レイアさん。ゆっくりでいいから服を脱いでもらっていいですか?」
わたしは、寝室で服をっもたもたと脱ぎ始めたレイアさんの足元に体を拭うときに使われる浅い盆のようなものを部屋から探して出してきた。
「レイアさん、ここに乗ってください」
服を脱いだレイアさんをその盆の上に立たせるとわたしは、精霊さんにお願いしてお湯を作り出すとそれでそっとレイアさんの体を包み込んでいった。
レイアさんは、驚いた表情を浮かべていたのでわたしは、レイアさんに告白した。
「実は、わたしは、精霊の力を使える『精霊の愛人』なんです。でも、このことは、ここだけの 話にしてくださいね、レイアさん。でないとわたし、『教団』に目をつけられてしまうので」
わたしは、いまにも泣き出しそうになっているレイアさんを見て口を閉じた。
しかも、よくよく見るとレイアさんが身に付けている白いワンピースのような部屋着の腰の辺りには染みがあった。
あれ?
わたしは、首を傾げた。
もしかして?
「タリアさんは、どこですか?」
「あ、あの子は・・・」
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「トガー様、どうか、あの子を叱らないで!あの子は、悪くないの。ただ、少し、その・・・」
「タリアさんは、今、ここにいないんですね?」
わたしが訊ねるとレイアさんは視線をそらした。
「ええ、今は、いないの」
ふむふむ。
わたしは、頷いた。
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「シーツ?」
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「どこかしら?」
うん。
わたしは、部屋の荒らされたタンスの中や、ワードローブの中を覗いていった。
すると、大きなタンスの1番下の引き出しに突っ込まれていた湿ったシーツを発見した。
「あ、ありました!」
わたしの言葉をきいてレイアさんがほっと吐息をもらした。
レイアさんの表情に少し余裕が感じられるようになったので、わたしもほっとしていた。
わたしは、汚れたシーツを丸めて集めた衣類の上に置くと、思い付いたようにレイアさんを振り返った。
「レイアさん、もうパーティーが始まってますよ。ドレスを着なくっちゃ」
「でも、私・・・」
レイアさんの表情がまたかげる。
わたしは、できるだけ優しく微笑んだ。
「大丈夫です、レイアさん。ゆっくりでいいから服を脱いでもらっていいですか?」
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レイアさんは、驚いた表情を浮かべていたのでわたしは、レイアさんに告白した。
「実は、わたしは、精霊の力を使える『精霊の愛人』なんです。でも、このことは、ここだけの 話にしてくださいね、レイアさん。でないとわたし、『教団』に目をつけられてしまうので」
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