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13 婚約とドレスと女の戦い(2)

13ー5 マッサージですか?

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 13ー5 マッサージですか?

 わたしは、はっと思いついた。
 「そうだ!王妃様にアルノルド王を見返してやってもらいましょう!」
 「見返してやるって?」
 王妃様が小首を傾げる。
 うん。
 かわいいな!
 本当に一歩間違えば、立派なロリババア並みにかわいいし!
 「まずは、ドレスをなんとかしましょう!」
 わたしは、いそいでフェブリウス領にいるメイファさんに連絡を出した。
 小柄で華奢な王妃様にはこの世界で流行っているようなずっぽりとしたドレスは似合わないのだ。
 もっとスッキリとしたスレンダーな体の線を出した方がいいし!
 「それから化粧品だな」
 私が呟くと王妃様がびびった様子できいてきた。
 「化粧品なら私も持っているわよ、トガー」
 「いえ、そういうのではなく、基礎化粧品のことです。たぶん、王妃様に必要なのは、お肌を整えるためのものですよ」
 わたしは、ちらっと王妃様の肌を見た。
 うん。
 この世界特有の分厚く塗り重ねられた化粧でも肌年齢は誤魔化せない。
 王妃様の肌は、がっさがさに荒れている。
 実は、この世界には、基礎化粧品というものがほとんどなかった。
 そのため、わたしもはじめの頃には、めっちゃ困ったんだよ!
 肌がかさかさになってな!
 それで思い出したのが手作り化粧品のことだ。
 蜜蜂の蜜蝋から作る保湿クリームだった。
 もちろん、精霊さんにお願いしましたよ。
 それが、何か?
 すると、なんと近くの林に巣を作っていた大きな蜜蜂のようなケスラバチがわたしのもとになぜか、蜜蝋を届けてくれ出した。
 それを溶かしてあの例の畑でとれたハーブとかを加えて作ったクリームに精霊さんの祝福をもらったところ、すんごく肌にいいクリームが完成した。
 わたしは、昔から化粧はあまり得意ではなくって素肌を整えるぐらいしかしてこなかった。
 肌も荒れぎみだし。
 でもその蜜蝋クリームのおかげで全身すべすべになった。
 このクリームを王妃様にも使ってもらいたい!
 わたしは、とりあえず手持ちのクリームを使わせてもらうことにした。
 その前に。
 「まずは、お風呂ですね」
 「おふろ?」
 この世界には、風呂とかいう概念は、あまりないようだった。
 たいていは、体を拭き清めるか、生活魔法で浄化するぐらい。さもなければ、水浴びする程度だった。
 わたしは、レイアさんに大きな、人が入れるぐらいの桶を用意してもらってそこに精霊さんにお願いしてお湯をはってもらった。
 そして、王妃様を部屋へと呼ぶと服を脱がせてお風呂に浸からせる。
 最初は、山賊に襲われるぐらいの悲壮感が漂っていた王妃様だったが、だんだんとリラックスしていった。
 お湯にバスソルトを入れておいたので室内には柑橘系のいい香りが漂う。
 わたしは、王妃様をきれいに磨き上げると今度は、体を乾かしてベッドに横たわらせた。
 そして、わたしの持ってきていたこだわりの蜜蝋クリームを全身に塗りマッサージしていく。
 「な、なに、これ?」
 王妃様は、快さに次第にうとうとして眠りに落ちていった。
 
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