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12 婚約とドレスと女の戦い
12ー8 感謝します。
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12ー8 感謝します。
わたしは、『メルクリウス商会』の名で郊外の一軒家を借りることにした。
小さな、童話の中に出てくるようなかわいい家で、きっとライザも気に入ってくれると思う。
春になる頃には、そこでちょっとしたパーティーを開くつもりだ。
わたしとライナス先生の婚約を祝うパーティーだ。
もちろん、今までお世話になった人たちもみな、招いてな。
できれば精霊たちが好むサトウダケで作った篭をいっぱい庭に飾りたい。
後、その家を選んだ理由は、もう1つあった。
その小さな家の周囲にはちょっとした畑がついているのだ。
そこでスローライフの続きもしたい。
とはいえ、ライナス先生との話し合いで夏頃までには結婚の儀式をしたいと思っているのでそんなに長くは住めないんだがな。
でも。
きっと、そこで暮らす日々は、忘れられない記憶になるだろう。
ライザが落ち着くとわたしは、すぐにクラウスさんの研究室へと向かった。
広い部屋の中央に2台のベッドが置かれている。
そこには、2人の男女がそれぞれ横たわっていた。
男は、二メートル近い巨体に長いウサギ耳を持った獣人だった。
女の方は、長い美しい金色の髪をしていた。
「これがわたしたちの新しい肉体となるのね」
タリアさんが感慨深げに呟いた。
わたしは、ノラに訊ねた。
「本当にこの獣人の姿でいいのか?ノラ」
「いいんです、トガー様」
ノラは、穏やかな表情で微笑んだ。
「これが俺の姿ですから」
二人は、それぞれの肉体の脇に置かれた仰々しい装置に繋がれた椅子に腰かけた。
「これから君たち2人の体の中にゴーレムの中に守られている魂が宿る部分を移すための手術をする」
クラウスさんが告げる。
「トガー様が言われることによると魂の部分には、痛みはないということなので。必要以上に恐れることはない」
クラウスさんの言葉にタリアさんとノラは短く頷いた。
クラウスさんとその弟子たちの手で二人の身を守っていたゴーレムは暴かれて中から精霊たちによって守られている2人の脳と神経が現れた。
それを慎重に新しい肉体の中へと納めていく。
もちろん、わたしは、精霊たちの力を借りて2人の命を守っていた。
細かな作業が何時間にも渡って続けられた。
夜が更け、丸い月が天空に上る頃、ノラとタリアさんは、新しい肉体の中に目覚めた。
「ああ」
ノラが囁いた。
「まるで生まれ変わったみたいな最高の気分だ」
「そうね」
タリアさんも体をおこしながら自分の体を見下ろして呟いた。
「本当に」
「しばらくは、二人ともリハビリの方を頑張ってもらうことになる。決して無理はするな。君たちのこれからが君たちの後に続く人々の未来を切り開いていくんだということを忘れるな」
クラウスさんは言うと、ふぁっと欠伸を漏らした。
「俺は、もう寝る。なんかあれば、起こしてくれ」
二人は、それぞれ夜着を着せられていたが車イスに移ると部屋へと戻ることになった。
だが、2人ともこの興奮で眠れそうになかった。
研究室の外では大公閣下とレイアさんが待っていた。
わたしとローナに車イスを押されて出てきたタリアさんの姿を見て、彼らは目を見張った。
「タリア!」
「お父様、お母様!」
タリアさんは、よろよろと車イスから立ち上がると二人の方へと歩いていく。
「ありがとうございます。私のことを諦めないでくれたこと感謝します。ありがとう」
わたしは、『メルクリウス商会』の名で郊外の一軒家を借りることにした。
小さな、童話の中に出てくるようなかわいい家で、きっとライザも気に入ってくれると思う。
春になる頃には、そこでちょっとしたパーティーを開くつもりだ。
わたしとライナス先生の婚約を祝うパーティーだ。
もちろん、今までお世話になった人たちもみな、招いてな。
できれば精霊たちが好むサトウダケで作った篭をいっぱい庭に飾りたい。
後、その家を選んだ理由は、もう1つあった。
その小さな家の周囲にはちょっとした畑がついているのだ。
そこでスローライフの続きもしたい。
とはいえ、ライナス先生との話し合いで夏頃までには結婚の儀式をしたいと思っているのでそんなに長くは住めないんだがな。
でも。
きっと、そこで暮らす日々は、忘れられない記憶になるだろう。
ライザが落ち着くとわたしは、すぐにクラウスさんの研究室へと向かった。
広い部屋の中央に2台のベッドが置かれている。
そこには、2人の男女がそれぞれ横たわっていた。
男は、二メートル近い巨体に長いウサギ耳を持った獣人だった。
女の方は、長い美しい金色の髪をしていた。
「これがわたしたちの新しい肉体となるのね」
タリアさんが感慨深げに呟いた。
わたしは、ノラに訊ねた。
「本当にこの獣人の姿でいいのか?ノラ」
「いいんです、トガー様」
ノラは、穏やかな表情で微笑んだ。
「これが俺の姿ですから」
二人は、それぞれの肉体の脇に置かれた仰々しい装置に繋がれた椅子に腰かけた。
「これから君たち2人の体の中にゴーレムの中に守られている魂が宿る部分を移すための手術をする」
クラウスさんが告げる。
「トガー様が言われることによると魂の部分には、痛みはないということなので。必要以上に恐れることはない」
クラウスさんの言葉にタリアさんとノラは短く頷いた。
クラウスさんとその弟子たちの手で二人の身を守っていたゴーレムは暴かれて中から精霊たちによって守られている2人の脳と神経が現れた。
それを慎重に新しい肉体の中へと納めていく。
もちろん、わたしは、精霊たちの力を借りて2人の命を守っていた。
細かな作業が何時間にも渡って続けられた。
夜が更け、丸い月が天空に上る頃、ノラとタリアさんは、新しい肉体の中に目覚めた。
「ああ」
ノラが囁いた。
「まるで生まれ変わったみたいな最高の気分だ」
「そうね」
タリアさんも体をおこしながら自分の体を見下ろして呟いた。
「本当に」
「しばらくは、二人ともリハビリの方を頑張ってもらうことになる。決して無理はするな。君たちのこれからが君たちの後に続く人々の未来を切り開いていくんだということを忘れるな」
クラウスさんは言うと、ふぁっと欠伸を漏らした。
「俺は、もう寝る。なんかあれば、起こしてくれ」
二人は、それぞれ夜着を着せられていたが車イスに移ると部屋へと戻ることになった。
だが、2人ともこの興奮で眠れそうになかった。
研究室の外では大公閣下とレイアさんが待っていた。
わたしとローナに車イスを押されて出てきたタリアさんの姿を見て、彼らは目を見張った。
「タリア!」
「お父様、お母様!」
タリアさんは、よろよろと車イスから立ち上がると二人の方へと歩いていく。
「ありがとうございます。私のことを諦めないでくれたこと感謝します。ありがとう」
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