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10 ボディメイカー

10ー5 金の匂い?

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 10ー5 金の匂い?

 これは、リハビリ室の担当者であるローナの提案で始められたことだった。
 なんでもリハビリに参加している利用者の中にもと篭を作って売って生活をたてていたという農夫がいたらしい。
 その老人は、ケーナといった。
 ケーナは、貧しい村に住んでいた農民だったが、ある日、村が魔物の襲撃にあい、彼以外はみな、死んでしまった。
 残されたケーナもまたひどい怪我を負ってこの治療院へと入ってきた。
 ケーナは、幸いなことに右腕だけで
ももともとの腕が使えた。
 彼は、用意された材料を使用して器用に両足を使ってゆっくりと大きなつぼのようなものを編んでいった。
 これにルゥが興味を示した。
 「この篭、すごくいい匂いがするよ!」
 うん。
 少し目を離している間にケーナ老の編んだ篭の中には、大小様々な精霊たちがぎゅうぎゅうに詰まっていた。
 なんですと?
 「やめんか!篭が壊れるやないかい!」
 わたしが怒鳴るとしぶしぶ精霊たちは篭から出ていった。
 これは、いったい?
 「この篭、精霊の好むエイサの木でできてるよ!」
 「エイサの木?」
 ルゥが言うにはそれは、精霊が好んで集まる伝説の木なのだという。
 「その木は、黄金色に輝く木でその樹液は甘く夢見るような味わいがする。しかも、その樹液は、人間にとっては万能薬エリクサーよりも回復力が高い」
 マジですか?
 わたしは、篭を持ってリハビリ室へと行くとローナに訊ねた。
 「この篭の材料はどこから持ってきたの?」
 「はい?」
 ローナは、きょんとしてわたしを見た。
 「は、はい。実は、その、ジェイムズさんに何かいい材料がないものか相談したら・・・」
 なんですと?
 わたしは、予定よりも早かったがみんなより先に屋敷へと戻ると裏庭にあるわたしの畑へと急いだ。
 「なんてこったい!」
 しばらくみない間にわたしの畑は、竹林になっていた。
 その黄金の竹林を屋敷の若い使用人が懸命に切って倒していたのでわたしは、声をかけた。
 「それ、どうするの?」
 「ああ、トガー様!」
 若い使用人は、慌ててわたしに頭を下げた。
 なんか、この間のパーティー以来、屋敷の使用人たちのわたしに対する態度がおかしいのだ。
 なんか、へいつくばってるというか。
 妙にヘコヘコしてくる。
 ほんとにやめてほしい。
 わたしは、畑の横に詰まれた黄金の竹を一本手に取ってみた。
 これ、竹みたいだけど、サトウキビみたいだな。
 というか。
 わたしは、切り取られた竹の幹にかじりついた。
 あんまーい!
 それに、なんか体に力が漲ってくる?
 これは。
 わたしは、にやりと笑った。
 これは、金の匂いがしますよ!
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