聖女なんかじゃありません！～異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます～

8 Shall We Dance?

8ー6 ダンジョン暮らし

　８ー６　ダンジョン暮らし

　セツのカウンセリングの後でわたしは、ライナス先生に訊ねた。
　「冒険者ってどういう仕事なんですか？」
　「冒険者、か」
　ライナス先生が少し考え込んだ。
　「彼らは、女神の祝福を受けた人々だ。様々なスキルを持ち、それでダンジョンへと 挑み、魔物を倒す。彼らは、この世界の守護者であると言えるだろうな」
　「だけど、そのせいで冒険者は重い障害を負うことになる可能性があるっているのに？」
　わたしには、納得がいかなかった。
　だって、はっきりいって彼らがわざわざ危険を犯さなくてはならない理由がわからない。
　「なんでそこまでして彼らは、冒険者になるわけ？」
　「それは」
　ライナス先生がわたしにこの世界の奇妙なありようについて話してくれた。
　「君だってわかっているはずだが、この世界は、ダンジョンで魔物を倒したときに得られる物質によって成り立っている」
　はい？
　わたしは、なんのことやらわからなかった。
　ライナス先生は、ものを知らないわたしに呆れた様子できいた。
　「君だって成人の儀式でダンジョンに入ったんじゃないのか？トガー」
　「いや、その」
　わたしは、目を泳がせた。
　「ちょっとわたしは、そういうの家庭の事情でやってなくって」
　いやいや！
　どんな家庭の事情ですか？
　思わず自分で突っ込んでしまう。
　だが、育ちのいいライナス先生は、そんなことに突っ込んだりはしないのだ。
　ライナス先生は、軽く頷くとわたしに説明してくれた。
　「この世界で生きる上で必要なものの内、いくつかはダンジョンで魔物を倒したときにドロップされる。冒険者は、ドロップされたものを冒険者ギルドで換金する。そして、冒険者ギルドからそれぞれのドロップ品の性質によって各ギルドへと販売される。そして、この世界は成り立っているんだ」
　はい？
　ダンジョンで魔物を倒していろいろなものが得られる？
　どういいうこと？
　 「普通に、生活に必要なものは、生産されてるんじゃないの？」
　「だいたいのものは、生産者の手で作られている。だが、一部の特殊な薬品や武具、それに金属などは、ダンジョンで手に入れないといけない」
　マジですか？