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7 もしも願いが叶うなら

7ー9 理想ですか?

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 7ー9 理想ですか?

 今日は、明日からのリハビリを担当してもらう職員たちとの顔合わせもあった。
 なぜか、わたしに手をあわせているリックさんが去ったあと、わたしは、1人で平行棒につかまってぶらんぶらんと遊んでいた。
 そういえば、昔、こんな遊び道具あったよな!
 なんか、冷たい視線を感じて顔をあげるとそこには、白い職員用の制服を着た男女が部屋を覗き込んでいた。
 二人は、なんだか入るのをためらているようだった。
 一瞬、目があうがすぐにそらされる。
 わたしは、はっと気づいた。
 わたしは、スカート姿で平行棒にぶら下がって遊んでいた。
 これは、まともな大人の女がすることではない。
 わたしは、すぐに立ち上がるとえへん、と咳払いをした。
 「ちょ、ちょっと、強度を確かめていたんだよ」
 わたしが言うと二人は、ほっとした様子で頷いた。
 わたしは、二人を部屋へと招き入れると自己紹介をする。
 「トガー アリサです。よろしく」
 二人は、交互にわたしの差し出した手を握りしめる。
 「テス・ラミノフです。父は、商業ギルドのギルド長をしています」
 マジですか?
 わたしは、信じられずにテスのことを2度見してしまう。
 テスは、ふさふさの赤っぽい金色の巻き毛の美少年だった。
 わたしは、思わずきいていた。
 「なんでそんなお坊っちゃまがこんな仕事に?」
 黙っていても三食昼寝つきの身分じゃん!
 なんで、わざわざこんな最底辺職につこうとか思ったわけ?
 「僕は、家では三男で味噌っかすでした。何も特に優れたスキルもないし、才能もありません。自分が何のために生きたらいいのかわからなくなっていたところにここの職員の募集があったんです」
 テスは、あの宝くじの抽選会に来ていたのだという。
 「そこでフェブリウス伯爵様のお世話をしておられるトガー様をお見かけしました。そして、これだ、と思ったんです」
 はい?
 わたしは、自分を熱い眼差しで見つめている少年を信じられないものをみる思いで見ていた。
 テスは、なおも力説していた。
 「僕もトガー様のようにみなさんのために生きてみたいと思ったのです!」
 いや!
 わたしは、いつだって自分が一番大事だと思って生きてますよ!
 別に、みんなのために生きてる訳じゃないし!
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