79 / 230
7 もしも願いが叶うなら
7ー5 当たり前!
しおりを挟む
7ー5 当たり前!
相変わらずの熱々ぶりだな。
この二人、才能がなければただのバカップルだな。
わたしがはぁっと呆れてため息をつくとクラウスさんがわたしに告げた。
「トガーに見て欲しかったのは、これからなんだ」
はい?
わたしは、きょとんとしていた。
これ以上の何を見せてくれるというんですか?
クラウスさんがルイーズさんとアイコンタクトをとる。
「いよいよこの義足をアダプタと直接繋いでみることにする」
「でも」
わたしは訊ねた。
「実際に義足を繋ぐのはまだ先になりそうだって言ってたじゃないか」
「この人は、いつだってカエル飛びをやらかす天才なんだよ、トガー!」
ルイーズさんはそう言うと義足からコードをはずしてそれをベッドに座っているクラウスさんの足元へと持っていく。
クラウスさんは、慎重にアダプタと義足を繋げていった。
「このアダプタにはスライムを加工したものを使用しているんだ。それを足の残された部分に装着する。そして、そのアダプタと義足を繋ぐことによって足が繋がるわけだ」
「スライムを使っているからいちいち型をとらなくってもいいからね。いい案でしょ?トガー」
ルイーズさんがクラウスさんの足に義足が繋がれていくのを見守りながら小声で囁く。
「ほんとに、あんたの発想もすごいけど、クラウスはもっとすごいよ!実際にそれを造っちまうんだからね!」
「本当に」
わたしは、クラウスさんが義足を繋ぐのを息をつめて見つめていた。
クラウスさんは、少しだけ緊張した様子でわたしに告げた。
「これが、あんたの依頼で造った義足、だ」
クラウスさんはそういうとゆっくりと指を動かした。
最初は、少しづつ。
そして、じょじょに大きくぐっぱぐっぱと足を動かして見せる。
「動く!動くぞ!それに、感覚もある!」
クラウスさんが興奮して叫んだ。
「俺の足だ!ルイーズ!俺の足が戻ってきたんだ!」
「ああ!間違いなく、あんたの足が動いてるよ!」
クラウスさんは、嬉しそうに見つめているルイーズさんに微笑むと、足をずらしていってベッドのはしに腰かけた。
そろそろと両足を床へとおろす。
「本当のテストは、これからだ!みててくれ、二人とも」
クラウスさんは、ゆっくりとベッドの横にあるテーブルを掴んで立ち上がった。
そして。
よろよろとだったが彼は立ち上がり、歩き始めた。
といっても1メートルほど先の車イスまで歩いただけだったが。
車イスまで1人でたどり着いたクラウスさんは満面の笑みを浮かべてわたしたちを振り向いた。
「どうだ?トガー」
「すごい、すごいよ!あんたは、間違いなく天才だな!」
わたしが言うとルイーズさんが応じた。
「当たり前!あたしの旦那なんだからね!」
相変わらずの熱々ぶりだな。
この二人、才能がなければただのバカップルだな。
わたしがはぁっと呆れてため息をつくとクラウスさんがわたしに告げた。
「トガーに見て欲しかったのは、これからなんだ」
はい?
わたしは、きょとんとしていた。
これ以上の何を見せてくれるというんですか?
クラウスさんがルイーズさんとアイコンタクトをとる。
「いよいよこの義足をアダプタと直接繋いでみることにする」
「でも」
わたしは訊ねた。
「実際に義足を繋ぐのはまだ先になりそうだって言ってたじゃないか」
「この人は、いつだってカエル飛びをやらかす天才なんだよ、トガー!」
ルイーズさんはそう言うと義足からコードをはずしてそれをベッドに座っているクラウスさんの足元へと持っていく。
クラウスさんは、慎重にアダプタと義足を繋げていった。
「このアダプタにはスライムを加工したものを使用しているんだ。それを足の残された部分に装着する。そして、そのアダプタと義足を繋ぐことによって足が繋がるわけだ」
「スライムを使っているからいちいち型をとらなくってもいいからね。いい案でしょ?トガー」
ルイーズさんがクラウスさんの足に義足が繋がれていくのを見守りながら小声で囁く。
「ほんとに、あんたの発想もすごいけど、クラウスはもっとすごいよ!実際にそれを造っちまうんだからね!」
「本当に」
わたしは、クラウスさんが義足を繋ぐのを息をつめて見つめていた。
クラウスさんは、少しだけ緊張した様子でわたしに告げた。
「これが、あんたの依頼で造った義足、だ」
クラウスさんはそういうとゆっくりと指を動かした。
最初は、少しづつ。
そして、じょじょに大きくぐっぱぐっぱと足を動かして見せる。
「動く!動くぞ!それに、感覚もある!」
クラウスさんが興奮して叫んだ。
「俺の足だ!ルイーズ!俺の足が戻ってきたんだ!」
「ああ!間違いなく、あんたの足が動いてるよ!」
クラウスさんは、嬉しそうに見つめているルイーズさんに微笑むと、足をずらしていってベッドのはしに腰かけた。
そろそろと両足を床へとおろす。
「本当のテストは、これからだ!みててくれ、二人とも」
クラウスさんは、ゆっくりとベッドの横にあるテーブルを掴んで立ち上がった。
そして。
よろよろとだったが彼は立ち上がり、歩き始めた。
といっても1メートルほど先の車イスまで歩いただけだったが。
車イスまで1人でたどり着いたクラウスさんは満面の笑みを浮かべてわたしたちを振り向いた。
「どうだ?トガー」
「すごい、すごいよ!あんたは、間違いなく天才だな!」
わたしが言うとルイーズさんが応じた。
「当たり前!あたしの旦那なんだからね!」
0
お気に入りに追加
752
あなたにおすすめの小説
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。
勇者としての役割、与えられた力。
クラスメイトに協力的なお姫様。
しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。
突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。
そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。
なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ!
──王城ごと。
王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された!
そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。
何故元の世界に帰ってきてしまったのか?
そして何故か使えない魔法。
どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。
それを他所に内心あわてている生徒が一人。
それこそが磯貝章だった。
「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」
目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。
幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。
もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。
そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。
当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。
日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。
「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」
──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。
序章まで一挙公開。
翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。
序章 異世界転移【9/2〜】
一章 異世界クラセリア【9/3〜】
二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
七章 探索! 並行世界【9/19〜】
95部で第一部完とさせて貰ってます。
※9/24日まで毎日投稿されます。
※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。
おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。
勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。
ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。
没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
事業に失敗した父親の借金の返済期限がやって来た。数十人の金貸し達が屋敷に入って来る。
屋敷に一人残された男爵令嬢の三女カノン・ネロエスト(17歳)は、ペットの大型犬パトラッシュと一緒に追い出された。
長い金髪を切られ、着ていた高価な服もボロ服に変えられた。
そんな行く当てのない彼女に金貸しの男が、たったの2500ギルド渡して、冒険者ギルドを紹介した。
不幸の始まりかと思ったが、教会でジョブ『道具師』を習得した事で、幸福な生活がすぐに始まってしまう。
そんな幸福な日常生活の物語。
最強幼女のお助け道中〜聖女ですが、自己強化の秘法の副作用で幼女化してしまいました。神器破城槌を振り回しながら、もふもふと一緒に旅を続けます〜
黄舞
ファンタジー
勇者パーティの支援職だった私は、自己を超々強化する秘法と言われた魔法を使い、幼女になってしまった。
そんな私の姿を見て、パーティメンバーが決めたのは……
「アリシアちゃん。いい子だからお留守番しててね」
見た目は幼女でも、最強の肉体を手に入れた私は、付いてくるなと言われた手前、こっそりひっそりと陰から元仲間を支援することに決めた。
戦神の愛用していたという神器破城槌を振り回し、神の乗り物だと言うもふもふ神獣と旅を続ける珍道中!
主人公は元は立派な大人ですが、心も体も知能も子供です
基本的にコメディ色が強いです
好き勝手スローライフしていただけなのに伝説の英雄になってしまった件~異世界転移させられた先は世界最凶の魔境だった~
狐火いりす@商業作家
ファンタジー
事故でショボ死した主人公──星宮なぎさは神によって異世界に転移させられる。
そこは、Sランク以上の魔物が当たり前のように闊歩する世界最凶の魔境だった。
「せっかく手に入れた第二の人生、楽しみつくさねぇともったいねぇだろ!」
神様の力によって【創造】スキルと最強フィジカルを手に入れたなぎさは、自由気ままなスローライフを始める。
露天風呂付きの家を建てたり、倒した魔物でおいしい料理を作ったり、美人な悪霊を仲間にしたり、ペットを飼ってみたり。
やりたいことをやって好き勝手に生きていく。
なぜか人類未踏破ダンジョンを攻略しちゃったり、ペットが神獣と幻獣だったり、邪竜から目をつけられたりするけど、細かいことは気にしない。
人類最強の主人公がただひたすら好き放題生きていたら伝説になってしまった、そんなほのぼのギャグコメディ。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
異世界最強の賢者~二度目の転移で辺境の開拓始めました~
夢・風魔
ファンタジー
江藤賢志は高校生の時に、四人の友人らと共に異世界へと召喚された。
「魔王を倒して欲しい」というお決まりの展開で、彼のポジションは賢者。8年後には友人らと共に無事に魔王を討伐。
だが魔王が作り出した時空の扉を閉じるため、単身時空の裂け目へと入っていく。
時空の裂け目から脱出した彼は、異世界によく似た別の異世界に転移することに。
そうして二度目の異世界転移の先で、彼は第三の人生を開拓民として過ごす道を選ぶ。
全ての魔法を網羅した彼は、規格外の早さで村を発展させ──やがて……。
*小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる