上 下
41 / 230
3 新しい助手と新しいクエスト

3ー12 ざまあみろ!

しおりを挟む
 3ー12 ざまあみろ!

 「トガーさん?」
 ライナス先生がわたしを見てぎょっとする。
 はい?
 わたしは、立ち上がるとペコリンとお辞儀をした。
 「こんにちは、ライナス先生」
 「いらしていたんですか?トガーさん」
 ライナス先生は、ちょっとどころじゃなく焦った様子だった。
 「まさか、来てくれるとは思っていなくって」
 はぁっ?
 わたしは、ぽっかんとしていた。
 そっちが誘ったんだろうが!
 まあ、来ることを伝えてなかったのは、こっちが落ち度があるしな。
 でも、この世界には、スマホとかないし。
 「ちょっとこっちに用があったのでついでに寄らせていただきました」
 わたしは、ちらっとライナス先生の方を伺った。
 「迷惑でしたか?」
 「いいえ!」
 ライナス先生が慌てて否定する。
 「そんなことは、まったくないです。きてくださって嬉しいです」
 ライナス先生は、すぐにデスクの上に置かれていた呼び鈴を鳴らした。
 「ところでこの辺に用って?」
 「実は、お仕えしているご主人様の散歩がてら伺ったんです」
 わたしが答えるとライナス先生が頷いた。
 「そうですか。いい季節になりましたからね。あなたと散歩ができるなんてご主人が羨ましいな」
 はい?
 わたしは、ほけっとライナス先生の方を見た。
 羨ましいですと?
 「こんなおばさんと散歩しても嬉しくないでしょ?」
 「いいえ、そんなことはないです!」
 ライナス先生が力説した。
 「その辺の若い人と話をするよりトガーさんと話をする方がずっと価値がある。それに」
 ライナス先生が何かいいかけたときにドアが開いてあの女がお茶を持ってやって来た。
 黙ってわたしの前のテーブルに2人ぶんのカップを置くとすっとお辞儀する。
 「どうぞ、召し上がってください」
 女は、茶菓子を置くとじろりとわたしを睨んだ。
 もしかして、この人、ライナス先生の恋人かなんかなわけ?
 それで近づいてくる悪い虫を追い払おうとしてるのか?
 わたしは、女を睨み返した。
 「ライナス先生に手紙をいただいて、本当はすぐに来たかったんですが、お天気が悪かったのでなかなか屋敷から出られなくて。でも、ライナス先生にお会いできて嬉しいですぅ!」
 にっと笑ったわたしを見て、女がちっと舌打ちした。
 なんか知らんがざまあみろ!
 
  
 
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

そんなにホイホイ転生させんじゃねえ!転生者達のチートスキルを奪う旅〜好き勝手する転生者に四苦八苦する私〜

Open
ファンタジー
就活浪人生に片足を突っ込みかけている大学生、本田望結のもとに怪しげなスカウトメールが届く。やけになっていた望結は指定された教会に行ってみると・・・ 神様の世界でも異世界転生が流行っていて沢山問題が発生しているから解決するために異世界に行って転生者の体の一部を回収してこい?しかも給料も発生する? 月給30万円、昇給あり。衣食住、必要経費は全負担、残業代は別途支給。etc...etc... 新卒の私にとって魅力的な待遇に即決したけど・・・ とにかくやりたい放題の転生者。 何度も聞いた「俺なんかやっちゃいました?」       「俺は静かに暮らしたいのに・・・」       「まさか・・・手加減でもしているのか・・・?」       「これぐらい出来て普通じゃないのか・・・」 そんな転生者を担ぎ上げる異世界の住民達。 そして転生者に秒で惚れていく異世界の女性達によって形成されるハーレムの数々。 もういい加減にしてくれ!!! 小説家になろうでも掲載しております

大草原の小さな家でスローライフ系ゲームを満喫していたら、何故か聖女と呼ばれるようになっていました~異世界で最強のドラゴンに溺愛されてます~

うみ
ファンタジー
「無骨なドラゴンとちょっと残念なヒロインの終始ほのぼの、時にコメディなおはなし」 箱庭系スローライフが売りのゲームを起動させたら、見知らぬ大草原に! ゲームの能力で小屋を建て畑に種を撒いたりしていたら……巨大なドラゴンが現れた。 「ドラゴンさん、私とお友達になってください!」 『まあよい。こうして言葉を交わすこと、久しく忘れておった。我は邪黒竜。それでも良いのだな?』 「もちろんです! よ、よろしくお願いします!」 怖かったけど、ドラゴンとお友達になった私は、訪れる動物や魔物とお友達になりながら牧場を作ったり、池で釣りをしたりとほのぼのとした毎日を過ごしていく。

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

竜の国のカイラ~前世は、精霊王の愛し子だったんですが、異世界に転生して聖女の騎士になりました~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
辺境で暮らす孤児のカイラは、人には見えないものが見えるために悪魔つき(カイラ)と呼ばれている。 同じ日に拾われた孤児の美少女ルイーズといつも比較されていた。 16歳のとき、神見の儀で炎の神の守護を持つと言われたルイーズに比べて、なんの神の守護も持たないカイラは、ますます肩身が狭くなる。 そんなある日、魔物の住む森に使いに出されたカイラは、魔物の群れに教われている人々に遭遇する。 カイラは、命がけで人々を助けるが重傷を負う。 死に瀕してカイラは、自分が前世で異世界の精霊王の姫であったことを思い出す。 エブリスタにも掲載しています。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

リアルフェイスマスク

廣瀬純一
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります

秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。 そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。 「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」 聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。

処理中です...